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919日(水)~1111日(日)、
六本木ミッドタウンのサントリー美樹館にて開催中の
「京都・醍醐寺ーー真言密教の宇宙」を22日に見学した。

京都・山科盆地にある真言密教の一大拠点、
醍醐寺には膨大な数の仏像、仏画や聖教(経典)などが
守り伝えられている。
それら密教美術の至宝の一部が出展紹介されている。

作家の永井路子さんは、「花の寺」と言い、「水の寺」と言い、
「山の寺」と言い、そして「石の寺」と言う。
三宝院前の樹齢百五十年を超える桜の大木を描いたのが、
奥村土牛画伯の名作「醍醐」。
醍醐寺と言えば、慶長3年(1598315日に
太閤秀吉が催した盛大な宴「醍醐の花見」。

特別展の展示で最も期待していたのが、
上醍醐・薬師堂のご本尊である「薬師如来坐像」と
その脇侍像「月光菩薩立像」、「日光菩薩立像」。
この展示会のハイライトであり、期待通りの姿を目にする。

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薬師如来の前に近づくと、大きな鼻、分厚い唇が
目につくが、柔和で優しい顔が出迎えてくれる。
ほっと安心させられる。


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三尊ともに、国宝で平安時代の作。
一木造、表面に漆箔が施す。
像高は薬師如来が176.5センチ(台座を含めると
3メートルを超す威容を誇る)。
月光菩薩が120.9センチ、日航菩薩が120.1センチ。
薬師堂のご本尊だが、現在は下醍醐の霊宝館に安置。



如意輪観音菩薩坐像


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重要文化財の五大明王像(平安時代の作)など、
数多くの仏像(いずれも重要文化財、平安時代の作が多く、
鎌倉時代の作も)。


不動明王坐像。
重要文化財、鎌倉時代。


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閻魔天騎牛像。
重要文化財、平安時代の作。


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残念ながら、弥勒菩薩坐像や千手観音菩薩立像などの
出展はない。


閻魔天像図。
国宝、鎌倉時代。

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不動明王像図。
重要文化財、鎌倉時代。


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このほかに興味深い出展作品を挙げると、
「大日経開題」(国宝、平安時代、空海筆)、
「醍醐寺縁起」(国宝、江戸時代、乗淳筆)、
「五重塔初重壁画両界曼荼羅図 旧連子窓羽目板断片」
(国宝、江戸時代)、
「天長印信」(国宝、南北朝時代、後醍醐天皇筆)、
「織田信長黒印状」(国宝、安土桃山時代)、
「醍醐花見短冊」(重要文化財、安土桃山時代)、
「秀吉不例北斗法次第」(国宝、安土桃山時代)、
「三宝院障壁画 柳草花図/竹林花鳥図」
(重要文化財、安土桃山~江戸時代)
「扇面散図屏風」「芦鴨図衝立」
(重要文化財、江戸時代、俵屋宗達筆)などなど。


朝一番で出かけたが、会場内はそれほどの込み具合ではなく、
幸いゆっくりと見学できた。


この特別展は東京の後、福岡の九州国立博物館にて、
2019年1月29日(火)~3月24日(日)開催される。




























by toshi-watanabe | 2018-09-24 10:00 | 寺院・仏像 | Comments(0)


215日、東京は好天に恵まれ、春の訪れを思わせる陽気となる。
上野公園の東京国立博物館にて開催中の
特別展「仁和寺と御室派のみほとけ」を見学する。

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この展示会、116日にスタートし311日まで開催されている。
この日、見学に出かけたのには理由がある。
前日の14日から期間限定で公開された仏様をお参りするためだ。

博物館に到着したのが、11時をちょっと回ったあたり、
平成館への入場には待たされると思い、まずは腹ごしらえ。
敷地内東洋館のはずれにあるのが、レストラン「ゆりの木」。
以前にも紹介したかもしれないが、ホテルオークラの直営店で料理は美味しい。
その割に値段もリーズナブルなのは有難い。
少し早めに行ったので、待つこともなくテーブルに案内される。

特別展が開催中の平成館への入場には、やはり長蛇の列、
とはいえ、このまえの「運慶展」のようなひどさではなく、
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分待ちだという、大体予想通りに入場できる。
会場内は見学者で混雑しているものの、
何とか見学できる許容範囲と言えよう。

仁和寺は真言宗御室派の総本山で、
御室派の寺院は全国に790か寺を数える。
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日から公開された2躯の仏像が特に注目される。
大阪・葛井寺(ふじいでら)の国宝「千手観音菩薩坐像」、
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本の手を持ち、天平彫刻の最高傑作のひとつ。
殆どの千手観音は実際には40本の手であるが、
この千手観音は千本の手を有する。

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写真では見ているのだが、実物を目にするの初めてである。
東京への出開帳は、実に江戸時代初期以来だという。
秘仏なので、通常は月に1回だけ厨子の扉が開けられ、
正面から姿を拝むことができるだけなのだが、
この特別展、360度ぐるりと観音様を鑑賞できる

絶好の機会である。

奈良時代・8世紀の作品で、

像高は131.3センチメートル、脱活乾漆造・漆箔である。


もう1躯の仏像は、仁和寺の国宝「薬師如来坐像」。

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平安時代、円派の仏師、円勢・長円の作である。
像高は12センチメートルと、ごく小型な仏像さん。

日本で一番小さい国宝の仏像である。


白檀を精緻に彫刻し、金箔で細やかな文様を施している。

880年間、秘仏であったが、学術調査で

昭和61年(1986)に開扉された。

厨子の奥深く、厳重に秘匿されていたために保存状態がよく、

制作時の姿を完璧に保っている。



期間を通して展示されている、数多くの仏像からいくつか紹介したい。
大阪・道明寺の国宝「十一面観音菩薩立像」は、
数年前に訪れたばかりだが、素晴らしい仏像さんである。

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仁和寺金堂のご本尊、阿弥陀如来坐像と両脇侍立像。

国宝で平安時代の作品。

左右人差し指を背中合わせに立てる弥陀定印を組み、

観音・勢至両菩薩を脇侍とする阿弥陀三尊像の最古例。

檜の一木造である。


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仁和寺の重要文化財の文殊菩薩坐像(鎌倉時代)、

愛染明王坐像(平安時代)、吉祥天立像(平安時代)。


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仁和寺の観音堂が、通常は非公開なのだが、
今回、観音堂が再現されている。
これは見事で、ここだけは写真撮影可能なのは有難い。

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千手観音菩薩立像を中心に、降三世明王立像、不動明王立像、

二十八部衆立像、そして前方左右端には風神・雷神立像と

仏像さんたちが並んでいる。











by toshi-watanabe | 2018-02-17 11:15 | 寺院・仏像 | Comments(2)

去る10月31日、曇り空の上野公園を抜けて、東京国立博物館へ。
史上最大と銘打った「運慶特別展」が9月26日から11月26日まで開催中。
すでに開始後一カ月経過、そろそろ空いているのではと予想していたのだが、
入場券を買い求め、平成館の前に行くと、何と長蛇の列。

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列の最後尾には案内の若者が立ち、掲げたプラカードには「60分待ち」。
諦めて列に並ぶ。
日差しがないので、暑くもなく寒くもなく、辛抱する。
建物の間からは、東京スカイツリーが望める。
紅葉はまだこれからである。

実際には40分程度で平成館には入れる。
エスカレーターを登って2階の展示会場へ。
見学者でごったかえしている。
とてもゆっくり見られたものではない。
各自がかってな方向に移動するので、ぶつかることもしばしば。
それでも、会場を二回りして見学する。

時代の移り変わりに沿って、展示は大きく三つのセクションに分けられている。
第1章は「運慶を生んだ系譜 -- 康慶から運慶へ」。
康慶は仏師慶派の祖と言われ、運慶の父親である。
康慶の作品と運慶初期の作品が展示されている。
奈良長岳寺の「阿弥陀如来及び両脇侍座像」(1151年、重要文化財)。
平安時代、奈良仏師により造られた仏像、奈良仏師の一派から独立して慶派が形作られる前、
運慶がちょうどこのころ生まれたとされている。
残念ながら、10月30日以降は勢至菩薩座像のみの展示。
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山の辺の道を歩かれた方は、長岳寺に立ち寄り、参拝されていることでしょう。

奈良円成寺の「大日如来坐像」(1176年、国宝)。
現存する最も早い運慶の作品とされ、溌剌とした表情と体格、髪のふくらみも写実的、
運慶の類まれな才能を感じさせる。
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数年前円成寺を訪れた際は、本堂から離れた小さなお堂(多宝塔)の奥に安置され、
外部から覗き見るだけでは、十分に鑑賞できなかったが、
今回は間近に見られ、じっくりと観賞できた。

次いで目を引いたのが、奈良興福寺の「仏頭」(運慶作、1186年、重要文化財)。
見事な造りの仏頭である。
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この時代の運慶の他の作品と比べて、作風に疑問を感じる専門家もおられる。

康慶作、奈良興福寺の四天王立像(1189年、重要文化財)
写真は多聞天立像。
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同じく康慶作、奈良興福寺の「法相六祖坐像」(1189年、国宝)。
写真は伝行賀。
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このセクションには、他に「毘沙門天立像」(1162年、東京国立博物館所蔵、
元は奈良中川寺十輪院伝来、重要文化財)、
「地蔵菩薩坐像」(康慶作、1177年、静岡瑞林寺、重要文化財)なども出展。

第2章は「運慶の彫刻 -- その独創性」。
運慶の作品がずらっと展示されている。
静岡願成就院の「毘沙門天立像」(1186年、国宝)。
「願成就院」
この伊豆の寺院には、今回出展された毘沙門天立像の他に、
阿弥陀如来坐像、不動明王立像と2童子像の国宝が安置されている。
運慶作品の宝庫である。
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引き締まった体で左に腰をひねって立ち、力がみなぎって、
武将のような顔つき、今にも動き出しそうである。

次いで神奈川浄楽寺所蔵の仏像群。
「阿弥陀如来坐像及び両脇侍像」(1189年、重要文化財)。
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「不動明王立像」(1189年、重要文化財)。
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「毘沙門天立像」(1189年、重要文化財)。
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京都六波羅蜜寺の「地蔵菩薩坐像」(12世紀、重要文化財)。
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東京真如苑真澄寺の「大日如来坐像」(12~13世紀、重要文化財)。
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今から9年前の2008年、ニューヨークでのオークションに登場、
宗教団体・真如苑が高額な価格(約14億円)で落札し、
大きな話題になった運慶作の仏像。

栃木光得寺の「大日如来坐像」(12~13世紀、重要文化財)
珍しく厨子に納められている。
台座の下を獅子の像が支えていっるのも面白い。
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愛知瀧山寺の「聖観音菩薩立像」(運慶・湛慶作、1201年頃、重要文化財)。
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この像内に頼朝の髪と歯が納められたと、「瀧山寺縁起」に記されているが、
X線写真により確認されている。
表面の彩色は後補である。

1998年に発見され、つい最近の2014年に、運慶の作と認定されたのが、
神奈川光明院の「大威徳明王坐像」(神奈川県立金沢文庫保管、1216年、重要文化財)。
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奈良興福寺の「無著菩薩立像・世親菩薩立像」(1212年頃、国宝)。
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このセクションには、他に和歌山金剛峯寺の「八大童子立像」(1197年頃、国宝)、
奈良興福寺の「四天王立像」(13世紀、国宝)なども展示されている。

第3章は「運慶風の展開 -- 運慶の息子と周辺の仏師」。
運慶には6人の息子がおり、いずれも仏師になっている。
そのうち、単独で造った作品(仏像)が残るのは、湛慶、康弁と康勝である。
奈良東大寺の「重源上人坐像」(13世紀、国宝)。
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康弁作、奈良興福寺の「龍燈鬼立像」(1215年、国宝)。

天燈鬼立像も同時に出展されている。
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「十二神将立像」(13世紀、重要文化財)。
京都浄瑠璃寺伝来であったが、明治の初めに流失、
現在は東京静嘉堂文庫が7躯、東京国立博物館が5躯を所蔵しており、
この12立像が勢ぞろいするのは、42年ぶりのこと。
写真はそのうちの3躯。
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このセクションには、他に京都清水寺の「観音菩薩立像・勢至菩薩立像」
(12~13世紀、重要文化財)、京都東福寺の「多聞天立像」(12~13世紀)、
神奈川満願寺の「観音菩薩立像・地蔵菩薩立像」(12~13世紀、重要文化財)、
京都海住山寺の「四天王立像」(13世紀、重要文化財)、
高知雪蹊寺の「毘沙門天立像・吉祥天立像・善贓師童子立像」
(湛慶作、13世紀、重要文化財)、京都高山寺の「善妙神立像」
(湛慶作、13世紀、重要文化財)、京都妙法院の「千手観音菩薩坐像の
光背三十三身像のうち、迦楼羅・夜叉・執金剛神」(湛慶作、1254年、国宝)など。

この特別展見学後、本館の14室に向かう。
「運慶の後継者たち -- 康円と善派を中心に」と題して、
重要文化財を含む14躯が展示されている。
展示期間は、8月29日から12月3日まで。

その後、本館の裏側に広がる庭園を散策する。
紅葉はこれからである。
久し振りに歩いたので、足が棒のよう、帰途に就く。




















by toshi-watanabe | 2017-11-03 11:49 | 寺院・仏像 | Comments(6)

先月の話だが、年に一度開催の会社のOB会があり、
4月の26日に伊豆畑毛温泉へ出かける。
宿泊したのは、「大仙家」という由緒ある宿である。
畑毛温泉は東海道線の函南駅近くにあり、
江戸時代から続く湯治場として知られる。
35度前後の源泉、ぬる湯でゆっくりつかるのがイイらしい。
温泉につかりながら読めるようにと書物も更衣室に用意されている。
夜は大宴会である。

さて翌日の27日、近くに住む従妹の家を訪れ、
久し振りに旧交を温める。
昼食を共にした後、1人で伊豆長岡方面に足を延ばし、
「願成就院」を訪れる、これで三度目になる。
何といっても、鎌倉時代の仏師、運慶の造像した仏像が5躯、
安置されており、参拝するのがメインの目的。
前回訪れた折には、重要文化財だったのが、
その後国宝に指定された。
しかも前回の時には、ご本尊の阿弥陀如来坐像と毘沙門天立像は
拝観できたものの、不動明王立像と二童子像が
丁度東京の国立博物館に出張中で拝観できなかった。
今回は5躯とも無事拝顔する事が出来た。
他に参拝客はおらず、静かなお堂の中でしばらく一人佇んでいた。

今回訪れた前後ではないかと思われるが、つい最近、
願成就院さんがウェブサイトを開設された。
素晴らしい内容で、国宝の仏像の写真も本物そのままにみられる。
ぜひとも見ていただきたい。
上記の仏像については、ウエブサイトに詳しく、
また前回訪れた時のブログにも記載している。

本堂の裏側の山の傾斜地域に安置された五百羅漢像を見学する。
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寺院の案内をそのまま転記する。

「人世はいろいろ」
皆様お一人お一人の尊い人生の様々な思い出や願い、そして生き様、
また亡くなった大切な方への報恩感謝のお気持ちなどを、
ご自身も参加して石造に刻み込む今様五百羅漢づくりに挑戦してみませんか。
地元の石工さんが指導、お手伝いをさせていただきます。
道具は用意してあります。
境内にはこれまでに完成した170体の羅漢像がお出迎えです。
一度ご参詣になりご覧になって下さい。

一体は180,000円(石材、指導料、安置、供養料などすべてを含む)。

寺院を後にする頃には、雨がぽつぽつと降り始める。
伊豆長岡駅へ急ぐ。


  




by toshi-watanabe | 2017-05-06 11:02 | 寺院・仏像 | Comments(0)


春季大祭・国宝まつりが開催されるというのは聞いていたので、
4月28日、「高幡不動尊」へ出かける。
少々遠回りかなと思ったが、渋谷に出て井の頭線に乗り、
明大前で京王線に乗り換える。
高幡不動駅を降りると参道があり、両側は店が並ぶ。
200メートルほど進むと、仁王門の前に出る。
数年前に団体で訪れたときはバスだったので、
参道から仁王門を潜るのは初めてである。
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成田、大山とともに関東三大不動に挙げられる
真言宗智山派別格本山の高幡山明王院金剛寺が正式名。
9世紀後半、貞観年間に清和天皇の勅願により
東関鎮護の霊場として不動堂を建立したのが始まりと言われる。

入母屋造りの仁王門(重要文化財)は、1959年に楼門として復元された。
仁王像と共に、元は室町時代後期の作。
「高幡山」の扁額は、洛東智積院7世運敞の筆で、江戸時代初期のものである。

境内は不動堂、奥殿、五重塔、大日堂と続く。
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丁度稚児練供養があり、可愛い稚児さんたちが並んでいる。

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そして先導するお坊さんたち。
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前回訪れた際は工事中だった、重要文化財の不動堂では護摩修行が営まれている最中。
このお堂には新丈六不動明王像(身代わり本尊)が安置されている。
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御朱印をいただき、奥殿に上がり、重要文化財の本尊、丈六不動明王像を拝観する。
不動明王坐像は寄木造り、漆塗りの2,858メートルの及ぶ巨像である。
頭部と体部は檜材、膝部は榧材で、火焔光背。
正面から拝顔すると圧倒される。
前回訪れた際には、参加者全員で般若心経を唱えた。
両脇には、脇像の矜羯羅(こんがら)童子像と制咤迦(せいたか)童子像
(いずれも重要文化財)は木造漆塗り。
ともに平安時代の作である。

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このお堂では、「宝物展」が開催され、各種の宝物が見られる。
鎌倉時代の鰐口、関東地方で最古のもの、重要文化財。
不動明王像頭部に納められていた古文書、南北朝時代、重要文化財。
平安時代の作で、金剛界大日如来像。
江戸時代の舎利塔。
日本最古と言われる歓喜天像、平安時代の作。
山岡鉄舟の書とか土方歳三直筆の手紙なども展示されている。

大日堂に上がり、柏手を打って鳴り龍に願いを込める。

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運よく年に一日だけだそうだが、五重塔に登る。
心柱のまわりを巡るようにらせん状の狭い階段を上る。
ピサの斜塔を思い出す。
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一番上のところからは周りを展望できる。
丁度藤の花が満開。
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境内の裏山があり、四季の道となっている。
道の両脇にはヤマアジサイの木が植えられており、
紫陽花の季節には見事な紫陽花の花見が出来そうだ。
一輪草、鳴子百合(ホウチャクソウ?)などが咲いている。

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土方歳三の銅像と青々とした新緑を後に、帰途に就く。
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帰りは、調布で乗り換え、橋本に出て、横浜線に乗り長津田経由。









by toshi-watanabe | 2017-04-30 11:05 | 寺院・仏像 | Comments(2)

4月18日、日本橋室町の三井記念美術館にて開催中の
特別展「奈良西大寺・叡尊と一門の名宝展」を見学に出かける。
6月11日まで、東京で開催された後、
7月29日から9月24日まで、大阪のあべのハルカス美術館にて、
そして10月20日から12月10日まで、山口の山口県立美術館にて
それぞれ開催予定。

さて18日の朝、前夜から明け方まで、可成り雨風が強かったようだが、
朝9時過ぎに家を出るころには、すっかり青空が広がる。
電車に乗ったのだが、田園都市線に事故か何かあったらしく、
途中からのろのろ運転が始まる。
いくつかの駅ではしばらく動かずの状態が続き、
半蔵門線内も同様のノロノロ運転、結局目的地に着いたのは11時過ぎ。
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パンフレットの案内をそのまま転記させていただく。

西大寺は、奈良時代の後期に、女帝孝謙上皇(後に称徳天皇)によって
発願され、平城京の東大寺に相対する位置に建立された西の大寺です。
平安時代には疲弊しますが、鎌倉時代の中頃に叡尊(興正菩薩)という
高僧が、密教と戒律を柱とする宗教活動さらには社会事業を広く
展開して、その一門は大きく発展しました。

本展覧会は、西大寺創建1,250年を記念する展覧会です。
展覧会の構成は、まず昨年国宝に指定された興生菩薩像をはじめ
優れた彫刻・絵画・工芸品・典籍など総本山西大寺の寺宝を展示します。
次にその展開として、元興寺・浄瑠璃寺・白毫寺・岩船寺・
般若寺・不退寺・法華寺など著名な一門の古刹が所蔵する
貴重な宝物が多数出品されます。
そして最後に真言律宗のひろがりが分かる地方の寺院、
三井記念美術館では東国の鎌倉極楽寺、さらに稱名寺などの
名宝を一堂に展観いたします。

出展されたものの中からいくつか紹介したい。

国宝「金銅透彫舎利容器」
鎌倉時代、金銅製、高さは37.0㎝。
外部を透かし彫りの燈籠形とした舎利容器で、内部に舎利瓶を納める。
燈籠形の頂上には水晶入りの火焔宝珠形舎利容器を置き、屋根は六花形で
雲龍と蓮華唐草紋を肉薄に鋤彫りし、火袋は6間に分かち、
最上段を透かし彫りの欄間とし、中断は透かし彫りした花菱形の高欄を付け
吹玉を連ねた瓔珞を垂らす。
下段は雲龍や牡丹・蓮華などの草花文を肉薄に透かし彫りし、
株の格狭間には獅子・牡丹を透かし彫りする。
内部の舎利瓶は、蓋付きで中に金剛界大日如来を安置する。


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国宝「興生菩薩坐像」
鎌倉時代、木造彩色、像高は91.0㎝、作者は善春。
西大寺を中興し南都律宗の振興に寄与した興生菩薩・叡尊の精神性を、
見事なまでに写し伝えた肖像である。
本像は叡尊を慕う門弟たちが合力で造立した叡尊80歳の寿像だある。
垂れさがったた眉毛に窪んだ眼孔、大きく丸い鼻に結んだ口元の迫真的な相貌表現は、
まさに叡尊の真を写したと言っても過言ではない。


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重要文化財「愛染明王坐像」
鎌倉時代、木造彩色、像高は31.8㎝、愛染堂安置。
愛染堂の厨子内に安置される秘仏愛染明王坐像である。
宝瓶に支えられた大円相内の赤色蓮華座上に坐しており、
三目六臂で瞋目、頭髪は焔髪を逆立て、
獅子冠を載せ、獅子頭に五鈷鈎を置く。
檜材寄木造、玉眼嵌入で、截金彩色をはじめ持仏・装身具ともに
造像当初のままを伝えている。

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国宝「月輪牡丹蒔絵経箱」
鎌倉時代、蒔絵、縦32.7㎝、横20.3㎝、高さは14.0㎝。
「金光明最勝王経」を納める長方形の二段重ねの経箱である。
蓋には緩やかな甲盛りがあり、金の研出蒔絵の技法を用いて、
蓮華座の上に大きく月輪をあらわし、輪郭には細かい粉を密に蒔くき、
月輪の内側には荒目に粉を疎らに蒔いて、強弱を表現する。
総体黒漆塗で、側面から蓋鬘にかけて牡丹の花枝を大きく描き、
蓋裏には蝶々をあらわす。

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重要文化財「文殊菩薩騎獅座像(及び四侍者像)」
鎌倉時代、木造彩色、像高82.5㎝、本堂安置。
右手に宝剣、左手には経巻を載せた蓮華茎を持ち、
獅子の背中の蓮華座上に結跏趺坐して騎乗する文殊菩薩像である。
高く髻を結い、肉身は金泥による紛溜塗とし、
衣は盛上彩色にによって華麗ンいあらわされ、衣文のしのぎも高く、
総じて鎌倉時代後期の装飾性が見られる。
造像仏師の名は明らかでない。
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重要文化財「大黒天立像」
鎌倉時代、木造彩色、像高は82.7㎝。
頭に烏帽子を被り、袴姿で左肩に大きな袋を背負い、
右手の拳を握って腰に当てて、草鞋を履いて直立する姿に亞ラわされる。
わが国では鎌倉時代以降、厨房神・財神として祀られる場合が多い。
像内には木造大黒天の小像他の納入品が納められていた。


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重要文化財「聖徳太子立像(孝養像)」
鎌倉時代、木造彩色、玉眼、像高は119.7㎝、元興寺蔵。
父用明天皇の病気平癒を祈る16歳の聖徳太子の姿を
あらわした孝養太子像。
像内納入品中の文書に、木像を造った善春以下9人の仏師と
11人の絵仏師の名が記されている。
1268年(文永5年9の作。

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まだまだ数多くの仏像その他が出展されている。

愛染明王像について追記:
上記の愛染明王坐像は秘仏で、西大寺で参観できるのは、
1月15日~2月4日と10月25日~11月15日の期間に限定されている。
普段愛染堂で観られるのは御前立像の愛染明王坐像(江戸時代の作)である。
西大寺にはもう一体、鎌倉時代の作で、重要文化財の愛染明王坐像が
安置されていたのだが、現在は奈良国立博物館が保管している。
京都高雄の神護寺にも鎌倉時代の作で重要文化財、愛染明王坐像が
安置されていたのだが、現在は東京国立博物館が保管している。


by toshi-watanabe | 2017-04-19 15:59 | 寺院・仏像 | Comments(2)

6月29日、上野公園の東京国立博物館へ出かける。
開催中の特別展「ほほえみの御仏」を見学するためである。
ぜひとも見たいと思っていた展示会。

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昨年、日韓国交正常化50周年を迎え、その記念事業の一環として、
日韓両国の国宝、半跏思惟像が一堂に会することになった。
韓国では、5月24日から6月12日まで、ソウル市の国立中央博物館で展示された。
日本では、6月21日から7月10日まで、「ほほえみの御仏」展として、
東京国立博物館で公開されている。

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7世紀の飛鳥時代に楠の木で彫像された奈良・中宮寺の国宝・半跏思惟像。
何かを思案するように右頬にそっと指を当てるしぐさ、
右足を左足の上に乗せて半分だけ座禅を組んでいる。

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三国時代の朝鮮半島で盛んに造られた仏像の様式と技法が
日本に伝わり、独自の柔和さが加わった。
その歴史をしのばせるのが、韓国で国宝78号として
親しまれる金銅製の」半跏思惟像である。
中宮寺の像に先立つ6世紀後半の作品だが、
姿形はよく似ている。

時を経て初めて日韓両国で並ぶことになった。

入場券を買い求めるのに、10分ほど列に並んだが、大したことはない。
入場に当たっては手荷物検査を受ける。
本館を入って正面奥の部屋が展示場となっている。
明かりを暗くした広い部屋に入ると、右側に韓国の半跏思惟像、
左側に中宮寺の半跏思惟像があるだけで、他に展示物は一切なし。
(これで入場料千円とは、思った見学者がいるのかもしれない)

韓国国宝78号の半跏思惟像は像高83.2cm、台座高30.8cmと
小型だが、銅造に鍍金が施され、見事な光沢をかがやせている。
正面から見ると、優しげな微笑み、ちょっと横の方へ視線を移すと、
何かに思いに耽る表情が感じ取れる。
人々の救済を願いながら、瞑想する姿そのものである。
朝鮮半島では特に信仰が盛んだった弥勒菩薩として作られたとみられる。
もう一体国宝83号半跏思惟像があり、国立中央博物館に収蔵されている。

中宮寺の国宝半跏思惟像は像高126.1㎝、台座高79.6㎝と
韓国の像に比べると、かなり大きく見える。
楠の木造で、彩色が施されている。
普段は中宮寺本堂にご本尊として安置されており、
如意輪観音菩薩として知られている。
飛鳥時代の最高傑作であり、その高貴な微笑みは「アルカイックスマイル」の
典型として評価される。

日本と韓国の間の長い歴史をしのぶ意味でも、
大変貴重な機会ではないかと思う。
ぜひとも進めたい特別展である。









by toshi-watanabe | 2016-06-30 10:54 | 寺院・仏像 | Comments(2)

鶴見總持寺へ

3月20日、久しぶりに鶴見の總持寺へ出かける。
「禅の心とかたち」と題した、總持寺の至宝ーー旗揚げ展を見学。
3月19日から21日まで、3日間のみ開催されている。
普段は入れない仏殿(国登録有形文化財)が特別公開され、
その仏殿において、寺宝が見られる。
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鶴見駅を下車し、京浜東北線に沿ってしばらく行くと、
曹洞宗大本山總持寺の入口に出る。
以前は、参拝客のために京浜急行の駅が設けられていたと聞く。
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総門の三松関(国登録有形文化財)をくぐると暫く参道が続く。
さらに三門をくぐり、右の方に迂回し、
そして中雀門をくぐると、正面に仏殿が目に入る。
三門両脇には金剛力士像、昨年末他界された
元横綱北の湖関の15歳ころの姿をモデルに制作されたようだ。
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永平寺とともに曹洞宗の大本山である總持寺は
本来能登に建立されたのだが、明治31年大火に見舞われ焼失、
明治44年に横浜鶴見が丘の地に新たに建立された。
鶴見大学のエリアも含め、50万平米という広大な寺域を有す。
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境内ではドローンの飛行が禁止されている。
当たり前と言えば当たり前だが。
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有名人の墓所でも知られ、特に名高いのが石原裕次郎。
能登に再建された寺院は、別院として残っている。

仏殿に入ると、正面にかけられた「刺繍獅子吼文大法被」
(国指定重要文化財)の大きさに圧倒される。
金色の刺繍に目を奪われてしまう。
下記の写真はその一部である。
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この大法被は總持寺の禅風を伝える特別の法具で、江戸時代の作。
毎年10月15日、大祖堂で行われる總持寺貫首による問答の際に使用される。
獅子吼とは釈迦が説法する様を獅子の吼える姿にたとえたもの。

この大型法被の前には、大正時代、鎌倉仏師の名流で知られる、
三橋家の当主、三橋鎌岳作の鎌倉彫前机が展示されている。
足から天板にはケヤキ材、鏡板から幕板にはカツラ材を使用。
欄間に躍動感あふれる雌雄の獅子をあらわし、
唐草牡丹を立体的に表現している。
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「前田利家画像」(横浜市指定文化財、江戸時代の作)と
「前田利家夫人画像」(重要文化財、江戸時代の作)。
利家夫人まつ、利家の没後落飾して芳春院の画像は、
生前の寿像とされている。
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「提婆達多像画」(重要文化財、朝鮮高麗時代の作)。
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「榮山紹墐画像」(国指定重要文化財、鎌倉時代の作)。
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「十六羅漢像」(横浜市指定文化財、鎌倉時代の作、江戸時代補作)。
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ご本尊は釈迦如来像である。
鶴見總持寺自体は新たに建立された寺院なので、
各堂宇とも新しく、由緒のあるものもほとんどない。
とはいえ、修行を積まれている僧侶の方も多く、
大寺院としての威厳が感じられる。
衆寮と香積台を結ぶ百間廊下はピカピカに磨かれている。
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境内で見られた樹木の花。
千年桜、エドヒガン桜、白モクレン等々。
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3枚セットの散華をいただく。
そして御朱印も頂く。
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朝出がけ時は曇り空だったのが、すっかり青空が広がり、
歩いていると少し汗ばみ、風が心地よく感じられる。
気分も新たに總持寺を後にする。




by toshi-watanabe | 2016-03-21 11:48 | 寺院・仏像 | Comments(0)

寒川神社へ初詣

穏やかな日和りの三が日は、一杯やりながら駅伝のテレビ観戦。
元日は全日本実業団、そして二日と三日は関東大学の箱根駅伝を楽しむ。
ということで、ほとんど家で過ごす。
昨四日、やっと重い腰をあげて初詣に出かける。
ここ数年、明治神宮にお参りしていたのだが、
今年は、初めて寒川神社へ出かける。

寒川神社の歴史は古く、奈良時代に創建されたとある。
相模国の一之宮に位置付けられた、由緒ある神社。
一度お参りしたいと考えていたのだが、やっと実現した。

直線距離にしたら、大したことはないのに、
電車を4本乗り継いで行かねばならず、乗り換えが大変である。
朝10時に東急田園都市線の藤が丘から電車に乗る。
中央林間で小田急江ノ島線の乗り換え、
大和で相鉄線に乗り換え、さらに海老名でJR相模線に乗り換える。
この相模線は単線、駅によってはホームが一か所、
上下線が交互に停車するといった具合。
乗降する客はボタンを押さないと、ドアが開かない。

廃線寸前まで追い込まれた路線で、普段はほとんど利用客がないのだろうが、
初詣の時期は参拝客で満員状況。
それでも何とか11時15分過ぎぐらいには、目的地の宮山駅に到着。
臨時の改札が設けられ、寒川神社まで長い行列。
車も駐車場を求めて長蛇の列。

鳥居を潜り、参道を進むと神門が現れる。
門の上には晴れやかなねぶたが飾られている。
「迎春干支ねぶた」は本場青森のねぶた師が製作したものです。

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本殿(拝殿)の前には、大勢の参拝客で満たされている。
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健康と平穏無事を祈り、お参りを済ませる。
お守り札などを買い求めて、帰宅の途につく。
結構気温も上昇し、厚着をしていると電車の中も暑いくらいで、
扇子を使っているご婦人も見かける。

帰りは茅ケ崎に出て、湘南新宿ラインで藤沢へ、
小田急江ノ島線に乗り換え中央林間に出る。
すでに午後1時、「大戸屋」で昼食をとる。
ここでも人が多く、しばらく待たされる。
てきぱきと席に案内したり、明るい雰囲気で客に対応する
店の女性たちの姿は清々しい。

家に着いたのは3時近く、初詣も楽ではない。






by toshi-watanabe | 2016-01-05 09:42 | 寺院・仏像 | Comments(4)

34日は、桜が満開になる季節のような陽気でした。

思い立って上野公園へ出かける。

さすがにまだ桜の花は咲いていない。

東京国立博物館では「みちのくの仏像」特別展が開催中。

114日に始まり、45日まで開かれている。

東北6県を代表する仏像が集結、

26点ほどの仏像が出展されている。

平泉中尊寺の仏像群は含まれていない。






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東北地方にも多くの魅力的な仏像が祀られているが、

中尊寺を別にして、なかなか訪れる機会がない。

東北で仏像が本格的につくられるようになったのは

平安時代に入ってから。

この地では仏教が土地の神を取り入れながら広がった。

土地の神は、豊穣をもたらす一方、

時に容赦のない現実を突きつける存在、

厳しい自然環境の中で暮らす人々は、

仏像に土地の神の姿を重ね、生活の安寧を祈り、

仏像を大切に守ってきた。

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宮城・双林寺の薬師如来立像。

像高は119.4センチ、平安時代、9世紀の木像。

重要文化財。

ケヤキ材から彫り出されている。






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福島会津・勝常寺の薬師如来坐像および両脇侍立像。

薬師如来の像高は141.8センチ、

日光菩薩の像高は169.4センチ、

月光菩薩の像高は173.9センチ、平安時代、9世紀の作。

薬師三尊ともに、平成8年に指定された、

彫刻分野では東北初の国宝。

東京では、平成12年の「日本国宝展」以来の公開。

薬師如来像の前に立つと、その全身に

あふれるような力を感じる。

太づくりの体からは圧倒的なボリューム感、

落ち着きのある堂々とした風格を誇っている。

脇侍の日光・月光菩薩立像は、

優美に腰をひねって立つ姿。

いずれも、ケヤキの一木造りである。







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岩手・黒石寺(こくせきじ)の薬師如来坐像。

重要文化財に指定されている。

像高は126.0センチ、平安時代、貞観4年(862)の作。

大変厳しく、威厳のある表情と姿。

カツラ材の一木造り。

制作年が明確で、日本の彫刻史上大変重要な作品。

同時に展示されている両脇侍像は時代が新しく、

12世紀の作とされている。


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岩手・成島毘沙門堂の伝吉祥天立像。

像高は176.0センチ、平安時代、9世紀の作。

大変美しい像で、瞑想しているような眼からは

静けさが伝わってくる。

ケヤキの一木造りだが、木目が非常にきれいだ。

自然の美がそのまま表れている。

頭上には2頭の像が彫られている。





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岩手・毛越寺の訶梨帝母(かりていも)坐像。

像高は34.0センチ、平安時代、12世紀の作。

訶梨帝母は、一般には鬼子母神と呼ばれる。

この仏は女性で、左手に子供を抱き、

子供の顔は丸く、小さな右手を握っている。




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山形寒河江・本山慈恩寺の十二神将立像。

重要文化財であり、今回は四躯の像が出展されている。

丑神の像高が88.7センチ、

寅神の像高が88.5センチ、

卯神が91.8センチ、酉神が93.4センチ、

鎌倉時代、13世紀の作品である。

薬師堂内に、本尊の薬師如来とともに祀られる。



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宮城・給分浜観音堂の十一面観音菩薩立像。

重要文化財。

像高は2895センチと、本展示会で最も高い像。

鎌倉時代、14世紀の作。

鎌倉時代後期の仏像の特徴がよく表れている。

卵形の顔に、やや大きい目、鼻、口が表わされ、

髪筋や飾りは細かく彫られている。

3メートル近い巨像だが、一本のカヤで造られている。

4年前の東日本大震災の折、牡蠣の養殖で知られる給分浜にも

大津波が押し寄せたが、

観音堂は高台にあり、この像は難を逃れた。



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円空仏が3躯、出展されている。

青森・西福寺の地蔵菩薩立像。

像高は145.0センチ、総高は175.0センチ、

江戸時代、17世紀の作。

奥行は15センチしかなく、背面は彫刻されず、平らなまま。

横から覗くとそれとわかる。

西福寺には、ほぼ同じ大きさの十一面観音菩薩立像も祀られている。

板に浮彫りのように彫ったとみられ、細かなところも彫刻。


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青森・常楽寺の釈迦如来立像。

像高は125.9センチ、総高は145.9センチ、

江戸時代、17世紀の作。

円空作品としては、例のないほど写実的と言われる像。



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秋田・龍泉寺の十一面観音菩薩立像。

像高は161.0センチ、総高は191.5センチ、

江戸時代、17世紀の作。

厚さ15センチ程に加工されたスギの板に彫刻。

木の性質を残そうとする意図がうかがえる。

細い目や笑ったような口は、生涯を通じて

彫られた円空仏に共通した特徴である。


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東日本大震災から早や4年、仏像を通して東北の魅力に触れ、
復興の一助になればと、この特別展が開催される。
本展による収益の一部は、被災した東北の文化財の
復興に充てられる。

なお仏像の写真は、目録からスキャンさせていただいた。


by toshi-watanabe | 2015-03-05 15:44 | 寺院・仏像 | Comments(2)