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梶よう子さんの最新作「はしからはしまで ―― みとや・お瑛仕入帖」を読み終える。

江戸下町の陰影あふれる人情を描く、時代シリーズの第三弾。

新潮社発行、 1,700円+税。

両親が永代橋の崩落事故で命を落とし、

兄の長太郎とともに小さな商いをしているお瑛が物語の主人公。

まさに江戸の“百均”、「みとや」という、よろず屋繁盛記である。



江戸時代、文化48(1807)、深川富岡八幡宮の祭礼が行われ、

江戸市中から多くの町人が永代橋を渡って深川へ向かう。

詰めかけた群衆の重みに橋が耐え切れず、橋の中央部東側の部分が

数間にわたって崩壊してしまう。

死傷者・行方不明者合わせて1,400人超という大惨事があった。

これが実際に起きた永代橋の崩落事故である。



兄の長太郎が仕入れに出かけ、妹のお瑛が店番をしているのだが、

長太郎が遊び仲間と集まり、手に入れたフグを調理、

味見をした長太郎はフグの毒にあたり、

あっけなく命を落とす場面から、この物語は始まる。

一人で商いを切り盛りすることになったお瑛は、

長太郎が残した仕入帖を開き、小間物屋や工房を訪ね歩く。



「みとや」があるのは江戸の下町、茅町、

大川(隅田川)から神田川に入りすぐ、浅草橋の近くである。

半端モノや曰く因縁のある品物などを店先に並べ、

どの品物も38文という格安値で販売、

38文の値段から「みとや」、そしてどの品も同じ値段なので、

この小説の題名「はしからはしまで」となる。



お瑛はいろいろな事件に巻き込まれながら、商いを続ける。

もとは武士だった菅谷道之進の息子、直之(のちに直孝)や、

長太郎と仲の良かった商店の若旦那、寛平など多くの人たちに

助けられながらお瑛は生きてゆく。

直孝や寛平は、お瑛が仕入れで出かけている間、気分良く店番。

江戸の下町の人情がきめ細かく描かれている。






by toshi-watanabe | 2018-11-05 09:24 | 読書ノート | Comments(0)