折々の記
2024-03-18T10:45:35+09:00
toshi-watanabe
日々見たこと、 感じたこと、気づいたことをメモする
Excite Blog
葉室 麟著「不義」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29972268/
2024-03-16T10:07:00+09:00
2024-03-18T10:45:35+09:00
2024-03-16T10:07:52+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
角川文庫、720円+税。
歴史小説の名手、葉室麟さんが活写する「義」に生きた人々の物語で、
6編の作品から成っている。
「鬼火」:
新選組の沖田総司と芹沢鴨との出会い、
そして新選組を離脱した芹沢鴨を沖田総司が斬るに至る経緯。
「鬼の影」:
浅野家が断絶となり、家老の大石内蔵助良雄が
池田久右衛門という仮の名前で京都郊外の山階に隠棲。
そこへ血気盛んな堀部安兵衛が訪れる。
「ダミアン長政」:
キリスト教信者で、洗礼名ダミアンの黒田長政が登場。
関ケ原を逃れ、山中で捕らえられた、石田三成と
黒田長政は顔を合わせ、最期のはなむけの言葉をかける。
「魔王の星」:
蒲生氏郷忠三郎と織田信長。
天下布武に向かう信長の頭上に不思議な彗星が現れる。
氏郷は信長の次女・冬姫の夫で信長にとって娘婿である。
「女人入眼」:
「入眼」とは叙位や除目の際に、官位だけを記した文書に
氏名を書き入れて、総仕上げをすること。
慈円の「愚管抄」に、「女人入眼の日本国」とあり、
この時代に東西の二大権力者だったのが、京の藤原兼子(けんし)と
鎌倉の北条政子。
政子は19万騎の軍勢を京へ派遣、鎌倉幕府を護る。
いわゆる「承久の乱」で、後鳥羽上皇は隠岐に島流し、
18年を隠岐島で過ごすことに。
「不義」:
この作品は昨年、葉室麟さんの7回忌の直前に見つかったもの。
「小説 野生時代」の2023年11月号で初めて公にされた。
中國の漢の時代、長安の知事と警察長官を兼ねる
「京兆尹(きょうちょういん)」という役職があった。
謀反を未然に防いだ功によって抜擢されたのが不義で、
厳格でありつつも慈悲を忘れず、辣腕と名高い。
ある日、天子の色である黄色の車に乗った謎の男が宮殿に現れた。
男が反乱を起こして殺されたはずの皇太子を名乗ったことで、
宮殿は混乱の渦に巻き込まれる。
巻末には村木嵐さんの解説「圧倒的なリアル」。
葉室麟さんの作品には、いつも感銘を受ける。
是非読んでいただきたい著書です。
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宇江佐 真理著「夜鳴きめし屋」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29837853/
2024-01-31T10:42:00+09:00
2024-01-31T10:44:18+09:00
2024-01-31T10:42:50+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
作者が作家デビューして17年目の作品で、
「ひょうたん」の続編ともいえる作品である。
「ひょうたん」の舞台は、博打で店をつぶしかけた過去を持つ音松と
そんな夫を支えるお鈴が営む本所五間堀の古道具屋「鳳来堂」。
時代が移り、音松とお鈴は故人となり、
主人公で店の主は夫婦の一人息子、28歳になる長五郎である。
長五郎はお音松の兄が営む質屋で働いていたが、
父親が亡くなり、母親を助けるために鳳来堂へ戻った。
ところが、質屋と道具屋では勝手が違い、商売がうまく行かない、
母親の特技料理を活かして、居酒見世に鞍替え。
その後母親も亡くなり、長五郎はひとりで「鳳来堂」(店の名前はそのまま)を
夕方から朝まで開けて商売。
夜鳴き蕎麦屋ならぬ「夜鳴きめし屋」と綽名される店だ。
見世には、職人、大店の主人、武士、芸者、そして夜鷹まで、
さまざまの客が訪れて、日常茶飯事が話題になり、物語は進行。
長五郎をはじめ登場人物が、物語の中で生き生きと自在に活動している。
江戸の町に迷い込んだような気分にさせられる。
兎に角物語にすっかり引き込まれてしまう。
宇江佐真理さんの筆致には脱帽。
長五郎の初恋の彼女とその息子(実は長五郎の息子)と3人で、
除夜の鐘をききながら、年越しそばを食べるハッピーエンドで幕を閉じる。
お薦めの一作だ。
巻末に、文芸評論家・末國善己さんの解説と
作家の山口恵以子さんの一文「作家として、妻として、母として」が載っている。
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宇江佐 真理著「ひょうたん」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29830669/
2024-01-24T10:36:00+09:00
2024-01-24T10:36:49+09:00
2024-01-24T10:36:49+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
江戸は本所北森下町の古道具屋「鳳来堂」が舞台だ。
古道具屋と言っても、由緒あるお宝があるわけではなく、
文字通り中古の鍋釜、鉄瓶、漆器、花瓶、
しみのついた屏風、箪笥、長持ち。蒲団などが、
店の中に乱雑においてあるだけだ。
店の主は音松、そして家内のお鈴が主人公。
そして夫婦の一人息子、十歳になる長五郎(長と呼ばれている)は
音松の兄、竹蔵が営む質屋「菱屋」に小僧として住み込んでいる。
菱屋は浅草広小路にある。
岡っ引きの虎像が、時々鳳来堂を訪れる。
音松は定式幕で拵えた半纏を着て、古道具の整理をしたり、配達したり、
一方お鈴は店番の合間に店の外に七輪を出して、魚を焼いたり、
煮物の鍋を掛けたりしている。
通り過ぎる人々は、うまそうな匂いに、腹の虫を鳴かせる。
店には年中、音松の友人達が集い、酒を酌み交わしたり。
平穏無事な町民の生活が続くが、時折り事件が起きる。
作品は6篇のテーマで物語が進展。
「織部の茶碗」
「ひょうたん」
「そぼろ助広」
「びいどろ玉簪」
「招き猫」
「貧乏徳利」
文芸評論家の磯貝勝太郎が解説を書かれている。
また今回の新装版発行にあたって、
作家の朝倉かすみさんが「私の北極星」と題して、
宇江佐真理さんについて書かれている。
宇江佐真理作品、いずれも素晴らしく、
読んでいるうちにどんどん引き込まれてしまう。
お薦めの一作。
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宇江佐 真理著「夕映え」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29817867/
2024-01-16T10:31:00+09:00
2024-01-16T10:32:59+09:00
2024-01-16T10:31:27+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
角川文庫、980円+税。
激動の幕末期から明治へ、
この物語は慶応3年(1867)から始まる。
大川を挟んで東に位置する本所が舞台である。
浅草から御厩河岸の渡しに乗れば本所。
本所石原町の自身番のすぐ隣りに、
間口2間の小さな縄暖簾の見世(今でいう居酒屋)。
当年38歳になる女将のおあきと、
蝦夷松前藩の武士だった、今は岡っ引きの亭主・弘蔵。
夫婦には、17歳の息子・良助と16歳の娘・おてい。
そして見世の常連客に囲まれて、
つつましいが幸せな暮らしを送っていた。
ところが慶応4年(1868)に伏見の戦いが勃発。
旧幕府軍が大敗し、官軍の東征軍が東へ、江戸城総攻撃を目指す。
薩摩藩邸での勝海舟と西郷隆盛の会談で江戸城総攻撃は中止、
無血開城となったものの、
官軍に抵抗して彰義隊が結成されて上野の山に。
この彰義隊に良助が志願して、弘蔵とおあき夫婦も時代の流れに巻き込まれてゆく。
長編小説だが、筆者の巧みな筆致で、物語に引き込まれてしまう。
作品名の「夕映え」は物語の終わり近くになって出てくる。
松前の海上に二人は素晴らしい夕映えを目にして感嘆する場面だ。
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宇江佐 真理著「甘露梅」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29801861/
2023-12-29T10:58:00+09:00
2023-12-29T11:00:45+09:00
2023-12-29T10:58:07+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
サブタイトルとして「お針子おとせ吉原春秋」とある。
光文社文庫新装版、760円+税。
この作品は平成13年11月に光文社から出版されており、
今回新装版文庫が発売された。
宇江佐真理さんの作品新装文庫本は、
このあと1月、2月にもそれぞれ出版が予定されている。
6編の作品から成る短編集という形をとっているが、
物語は継続しており、1篇の長編小説として読める。
「仲の町・夜桜」、「甘露梅」、「夏しぐれ」、「後の月」、
「くくり猿」、「仮宅・雪景色」の6編である。
物語の主人公、おとせは前年の春、岡っ引きだった亭主の勝蔵が亡くなり、
口入れ屋の紹介で吉原の遊女屋を紹介された。
江戸町の「海老屋」にお針子として住み込む。
給金は年に4両、着物と布団を縫うのが主な仕事。
おとせには鶴輔という20歳の息子とお勝という18歳の娘がいる。
お勝は勝蔵が亡くなる前年に嫁入り。
鶴輔は呉服屋に奉公していたが、手代になったばかりで店の女中と懇ろになり、
あろうことか彼女の腹には子供ができ、
勝蔵の四十九日を過ぎたばかりで、祝言を急ぎ執り行い、
鶴輔には一軒家を借りるだけの甲斐性もなく、
おとせの家で暮らすことになり、おとせの居場所がなくなる。
それもおとせが家を出てお針子として住み込む原因でもあった。
お針子として働き始めたおとせが、様々な恋愛模様に直面することになり、
物語は進展して行く。
文芸評論家、末國善己さんの的確な解説が掲載されている。
また、今回の新装版発刊に伴い、
宇江佐真理さん生前に親しく付き合われていた、
作家の諸田玲子さんが、「宇江佐真理姐さんのこと」と題して、
素敵な解説を書かれている。
その中から一部をそのままご紹介すると、
「そう、宇江佐姐さんは気風がよい。
媚もしないし威張りもしない。
ご自分では、江戸っ子でもないのに江戸の市井物を書くのは後ろめたいと
仰っていたけれど、とんでもない、宇江佐さんこそ江戸っ子だった。
ひとつにはもちろん、東京人でない負い目があったから、
かえって人一倍、勉強をされたのだろう。
それは本書を読んでも分かる。
本書の舞台は吉原だが、四季折々のたたずまいから風俗しきたり、
廓言葉、そこに生きる人々のきめ細かな描写まで、
ただの上っ面な知識を超えて吉原に精通し、
自家薬籠中の物にしていなければ、とてもこれだけの小説を書くことはできない。
けれど、もっと大事なことがある。
宇江佐さんご自身が江戸から抜け出したようなお人だったということだ。
つまり、江戸庶民の生き方や考え方に心底、共鳴していればこそ、
読者諸氏を江戸へ導く水先案内人の役を見事に果たせたのだと思う。」
まったく同感である。
この作品を読んで、益々宇江佐真理ファンとなってしまった。
お薦めの一冊である。
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内田 康夫著「上海迷宮」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29791627/
2023-12-21T14:09:00+09:00
2023-12-21T14:15:18+09:00
2023-12-21T14:09:57+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
今回、新装版が徳間文庫で出版された。
850円+税。
浅見光彦は日本国内あちらこちらと飛び回っているが、
今回は中国上海が舞台と珍しいケースだ。
新宿で中国人女性が殺害され、上海から一緒に日本に来ていた親友の
曾亦依(そういい)が遺体を発見。
また曾亦依の父親が、上海で殺人容疑でとらえられるという事件が起き、
依頼を受けた光彦探偵がその彼女とともに上海へ。
飛行機が怖くて乗れない光彦だが、上手い具合に神戸から
上海へ直航フェリーがあり、乗船して上海へ向かった。
上海では、日本語のできる曾亦依や総領事館の担当官の手助けを得て、
光彦探偵が例のごとく推理を働かせて事件の糸口を探る。
それなりに興味深い物語なのだが、どうもすっきりしない終わり方だ。
著者の内田康夫さんが、自作解説(この作品を書かれた時の)を書かれている。
その一部を紹介すると、
内田さんには知人の中国人の女性が一人おられる。
十数年前に来日、浅見光彦に惚れ込み、
浅見光彦倶楽部の会員となり、それで知り合いとなった。
2000年冬のある日のこと、
その女性が友人の日本人女性のアパートを訪ねたところ、
訪ねた相手がベッドに横たわり、亡くなっていた。
彼女は驚いて、すぐに警察に通報。
司法解剖の結果、病死と判断された。
この話を彼女から聞いた内田さんは、たちまち怪しげなストーリーを思い浮かべた。
そうして生まれたのが、この作品「上海迷宮」だそうである。
「上海迷宮」は慣れない中国を舞台にしているだけに、
まるで手探り状態で生み出した難物だったと語られている。
2001年と2003年、二度にわたる取材を重ねたが、
その間も上海はどんどん変貌を遂げた。
その急激な変貌すらも、「犯行動機」であるかのよう利用。、
取材から完成まで、足掛け五年を要したそうです。
上海には、私自身も何度か仕事の出張と個人旅行で訪れており、
上海の景色を思い出しながら、この作品を読んだ。
大変興味深い作品です。
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諸田 玲子著「お順」(下巻)を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29779554/
2023-12-12T10:56:00+09:00
2023-12-12T10:56:00+09:00
2023-12-12T10:56:00+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
今年は勝海舟生誕200年にあたる。
その勝麟太郎(海舟)の妹「順」の物語、2冊のうちの下巻。
下巻は、お順が初めて嫁いだ相手、佐久間象山が国元の松代藩に呼び戻され、
あとからお順一行が江戸を出立する場面から始まる。
順にとっては家族から離れ、江戸から遠い松代での生活はきびしい。
ところが、京都に出かけていた象山は夕刻、山階宮を訪ねた帰り、
木屋町三条上ルの高瀬川傍らの道を寓居へ向かっていたところを、
物陰から飛び出した暴漢にいきなり斬りつけられ、
足を切られて落馬、めった斬りに。
寓居に運ばれたが、手当ての甲斐もなくその夜、象山は息を引き取った。
再び江戸の勝家で暮らすお順の前に現れるのが、村上俊五郎。
かってお順が憧れていた島田虎之介に似ているところがあり、
お順はすっかり俊五郎に惹かれる。
剣術指南をしたりと、剣術の腕は立つのだが、
金銭などの面ではだらしなく、その後ずっと、お順ばかりか勝家にも迷惑をかけることに。
物語の終わりは、お順と兄の麟太郎(海舟)が二人で歩いている場面。
年老いた二人、76歳の海舟は杖をついている。
「あとがき」で諸田玲子さんは書かれている。
作家の半藤一利氏との対談で、「勝海舟の妹のお順が面白いですよ」と言われた。
「ちょっと変わった女で、幕末には珍しい。 諸田さんにはもってこいかもしれない」とも。
諸田さんは生まれも育ちも静岡市です。
驚いたことに、順のお墓があるのが、諸田さんの実家の裏手にある蓮永寺(れんえいじ)。
それからは俄然、興味がわき、いつか書きたいと思うように。
更に不思議な縁でつながっていることが判明。
諸田さんの父方の祖先が勝父子と親しく付き合っていた事実がわかった。
本書に登場する、小鹿村の出島竹齋が、正に諸田さんの祖先。
出島家の蔵からは勝海舟の未読の手紙も見つかったそうです。
さらに、作家の篠綾子さんが巻末に解説を書かれている。
最後の部分を引用させていただく。
歴史を動かすのは男だけではないし、歴史に名を残す女性もいる。
中にはお騒がせな女性もいたりする。
残念ながら、お順は名を聞くだけで、その業績や人生を
思い浮かべられるほど著名な人物ではないかもしれない。
だが、男たちの活躍ばかりが取りざたされる激動の時代に、
こんなにも主体的に生きた女性がいたことを、本書は教えてくれた。
私は今、お順のことを、誰それの妹とか、誰それの妻とかではなく、
一人の女性として口にしたい。
だから、敢えて言わせていただこうと思う。
「幕末に勝順という女性あり」と。。。。。
お薦めの著書(上下巻)です。
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横浜キルト展へ
http://tnabe.exblog.jp/29755544/
2023-11-29T09:26:00+09:00
2023-11-29T09:27:38+09:00
2023-11-29T09:26:10+09:00
toshi-watanabe
一般
正式名称は「横浜ワールドキルトフェスティバル2023」
(World Quilt Festival in Yokohama)。
会場のパシフィコ横浜展示ホールDまで、みなとみらい駅から歩いて。
今回は米国、台湾、韓国などからも数多くの作品が寄せられ、
国内外のキルト作家の作品、およそ150点が展示されました。
作品の写真、アトランダムに。
日本キルト協会理事の、キャシー中島、片岡好子、斎藤泰子、上田葉子、野沢典子の方々は、
それぞれ個人コーナーがあり作品が展示されていました。
キャシー中島の「トークショー」あり。
「ワールドキルト大賞」受賞作品。
素敵なキルト作品、大いに堪能しました。
帰りはランドマークタワーの「永坂更科」に立ち寄り、
天ざるを美味しくいただき、桜木町駅へ。
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諸田 玲子著「お順」(上巻)を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29748927/
2023-11-20T15:05:00+09:00
2023-11-21T08:39:28+09:00
2023-11-20T15:05:07+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
2010年12月に単行本として刊行された際は、
「お順 勝海舟の妹と五人の男」だったが、
今回の文庫本発行では、「お順」と改題された。
今年は勝海舟の生誕200年にあたるが、
勝麟太郎(後の海舟)の妹がこの作品の主人公、お順である。
父親の勝小吉は小普請組に属していた。
小普請とは無役の武士のこと。
勝家は将軍家に仕える直参だが、役料がないため、
わずかに41石余りの禄高しかない。
これでは食べて行けない。
小吉は刀剣の鑑定や道具の売買などで、その日の銭を稼いでいた。
それでも一家は明るく暮らしていた。
お順は、気性が父親の小吉譲りだった。
年頃になったお順は結婚相手も自分で決めようとする。
この時代の武家の娘としては、かなりの「はねっかえり」だ。
お順は、相手方から望まれて素直に嫁いでいく姉のおはなを見ながら、ひそかに思う。
私は「一番の男」でなければいやだと。
お順の言う「一番の男」とは、次のように書かれている。
一番というのは、道を究(きわ)めた、という意味である。
言い換えれば、本物、ということでもあった。
お順は「一番の男」にとって、「一番の女」になりたいと望む。
五人の男とは、父親の小吉、兄の麟太郎Z(海舟)、
兄の剣の師匠である島田虎之介、思想家の佐久間象山、
そして剣客の村上俊吾郎。
島田虎之介とはお順の言う「一番の男」なのだが、
婚約迄しながら、病で亡くなる。
同じく「一番の男」である佐久間象山の妻となり、
象山の故郷、松代へ移住したところで、上巻は終わる。
つづきは下巻へ。
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紅葉の草津温泉へ
http://tnabe.exblog.jp/29736447/
2023-11-03T14:37:00+09:00
2023-11-04T09:15:27+09:00
2023-11-03T14:37:06+09:00
toshi-watanabe
旅行
家内の姪夫婦から誘われて総勢6名、大型乗用車でドライブ。
姪の旦那が運転してくれて、こちらはゆっくりとドライブの旅を楽しんだ。
東名高速道路から、圏央道に入り、さらに関越自動車道、そして上信越道を走り、
碓氷軽井沢ICを下りて、あとは国道を草津まで北上した。
高速道路ではSA二カ所に立ち寄り、昼食も済ませた。
草津町に入り、道の駅に寄った。
草津温泉の宿は、賑やかな街からはちょっと山を登った辺りにあり、
周りは別送地帯のようだ。
宿に到着。
草津温泉にはたくさんの源泉があるが、
この宿には「綿の湯」など2カ所の源泉から湯をひいている。
宿に到着して、早速温泉へ。
20カ所以上の湯処がり、温泉巡りが楽しめる。
乳白色の露天風呂も気持ちよい。
すっかり旅の疲れもとれたようだ。
個室で夕食、数々の和食料理に、日本酒「谷川岳」をいただいた。
暫く部屋で休息し、夜8時に宿出発のバスに乗り、
草津町中心部にあり、草津温泉の中核である「湯畑」を見学に出かけた。
沢山ある温泉の源泉の中で最も湯量が多く、街中の温泉の源となっている。
すごい勢いで湯が出てきて、辺り一面湯気が立ち昇っている。
因みに、草津温泉は毎分32,300リットルの自然湧出を誇り日本一だ。
群馬県民なら誰でも知っている「上毛かるた」。
このかるたの「く」は、
「草津(くさづ)よいとこ薬の源泉(いでゆ)」。
草津は、土地の人は「くさつ」ではなく、「くさづ」というようだ。
草津は標高1,100~1,200メートルの高地にある。
白根山(2,160メートル)、本白根山(2,171メートル)、
そして、逢の峰(2,110メートル)の山麓にある。
2日目、朝早々に温泉の湯船につかった。
朝8時過ぎに朝食、これも和食料理中心で盛りだくさん。
食後しばらく時間が有ったので、
宿の周りを散策。
10時半に宿をチェックアウト。
帰路も往路と同じコース。
道の駅で買い物などをし、軽井沢近辺にて昼食。
その後は高速道を横浜へ向かった。
帰途、車窓から妙義山を望む。
夕方4時半に帰宅。
のんびりと温泉入浴を楽しみ、紅葉も楽しめた1泊旅行でした。
運転手さん、ご苦労様、本当に有難うございました。
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藤田 芳康著「化けもの(南町奉行所吟味方秘聞)」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29727024/
2023-10-22T10:03:00+09:00
2023-10-22T10:06:16+09:00
2023-10-22T10:03:34+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
河出文庫、780円+税。
「今年最も期待される俊英の傑作時代小説」だと、
文芸評論家の縄田一男さんが評価された作品。
3年前に作家デビューを果たし、
この作品は2作目であると同時に初の時代小説。
読み始めたら面白く、結局一気に読み終えた。
江戸時代の名奉行と言えば、大岡越前守忠相が知られているが、
今回登場するのは、南町奉行所の奉行・桃井筑前守憲蔵。
養家で育った憲蔵は18歳の時に、急逝した養父の跡を継いだ。
非役のままでは行く末がおぼつかず、
人を押しのけ、あらゆる手立てをとって出世の道をつき進んだ。
表向きには実直で品行方正な努力家に見せていたが、
裏を返せば悪人同様の策略家だったかもしれない。
遂には南町奉行の座にたどり着いた。
吟味方筆頭与力の近藤辰之助から是非にと乞われて桃井奉行は白州へ。
白州に召し出された科人は、品川宿、旅籠尾張屋女中のお絹。
微罪ながら犯行動機について、一切語ろうとしない。
長引く吟味の果てに、敵は化けものと漏らす。
化けものとはいったい何者なのか。
お絹が捕まった真の狙いとは何なのか。
この後、白州で対決する、桃井奉行とお絹との探り合いが延々と続く。
最後には驚愕のどんでん返し。
読者を引きずり込む、著者の筆力には脱帽です。
縄田一男さんの高い評価が頷ける、凄い読み物。
次の作品が楽しみである。
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宇江佐 真理著「御厩河岸の向こう」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29725484/
2023-10-20T10:44:00+09:00
2023-10-20T10:47:37+09:00
2023-10-20T10:44:53+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
文芸評論家の菊池仁さんが、「江戸人情短編傑作編」の
第一弾「酔いどれ鳶」に続いて、
今回第二陣として、この短編傑作編を纏められた。
7作品の短編で構成されている。
「御厩河岸の向こう」:
この作品を読み始めて、すぐ気が付く。
最近読んだ作品にそっくりではないか。
主人公のおゆりは、弟、勇助から、自分はのの様で
前世の記憶があると聞く。
これが発端で摩訶不思議な物語が展開する。
先に出版された朝日時代小説文庫の短編集
お堀シリーズ「おはぐろとんぼ」に「御厩河岸の向こう・夢堀」として
掲載されており、読んだばかりだ。
面白いのでもう一度読み直す。
「蝦夷錦」:
松前藩が出処と思われる蝦夷錦にまつわる話。
江戸時代特有の職業「古手屋」が絡んでくる。
「古手屋」とは現代の古着屋にあたる。
「仲の町・夜桜」:
主人公・おとせは、岡っ引きの夫に先立たれ、
時を同じくして、息子が嫁を迎えたので、
吉原で住み込みのお針子として働くことになる。
遊女たちの様々な恋模様などが絡んでくる。
そこで展開する矜持と悲哀の人間模様。
「秘伝・黄身(きみ)返し卵」:
江戸は八丁堀には町家があり、
奉行所の与力、同心など家が建てられている。
北町奉行所、臨時廻り同心、椙田忠右衛門の組屋敷も
一番南にある岡崎町の町家に囲まれたところに。
この忠右衛門と息子正一郎の嫁、のぶとの物語が展開する。
「藤尾の局(つぼね)」:
主人公のお梅は、両替商・備前屋の後添えとなり、女の子もできる。
所が先妻の子供である息子兄弟がおり、トラブルのもとに。
お梅は大奥の元老女、家庭内をうまくまとめて行く。
読者の感動を呼ぶ物語の展開だ。
「赤縄(せきじょう)」:
主人公・権佐は仕立て屋を営む一方、南町奉行所の与力・菊井数馬の
手先も務めている。
赤縄とは将来夫婦にある運命の男と女は、
生まれ時から足と足を赤い縄で繋がれているという喩。
僧侶・清泉に一目惚れした大店の跡取り娘・おこのが結ばれる、
橋渡しをするのが権佐。
「慶長笹書大判(けいちょうささがきおおばん)」:
著者が亡くなる前年、病魔と闘いながら仕上げた作品。
ヒロインのおふくが見事に描かれている。
亭主の勇次が忽然と姿を消して、
おふくは勇次の失踪後、伯父の営む口入れ屋に戻る。
そこには伯父と双子兄弟でもある実父も来ており、
一緒に商売をしている。
世話した女中が辞めてしまい、
急遽、おふくは代わりの女中として依頼先へ出掛ける。
そして大判事件に巻き込まれる。
いずれも面白く読める短編集である。
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秋晴れの一日、上野公園で過ごす
http://tnabe.exblog.jp/29720946/
2023-10-14T11:05:00+09:00
2023-10-14T11:15:45+09:00
2023-10-14T11:05:38+09:00
toshi-watanabe
寺院・仏像
東京国立博物館にて開催中の特別展「京都・南山城の仏像」の見学が主要目的。
本館特別5室に展示された仏像は17躯で、
国宝が3躯、重要文化財が11躯を含みます。
浄瑠璃寺のご本尊「九体阿弥陀如来坐像」は平安時代の作で国宝。
だいぶ傷みが目立つようになり、
2018年から5年かけて修復作業が行われました。
その修復が完了し、その記念も兼ねて、
今回の特別展に、1躯の阿弥陀如来座像が展示されました。
素晴らしい仏像です。
浄瑠璃寺本堂でに阿弥陀如来坐像とともに四天王立像が祀られていますが、
広目天立像と多聞天立像、いずれも国宝、が出展されています。
浄瑠璃寺の宝池を挟んで本堂の向かい側には三重塔があり、
塔内に祀られている薬師如来坐像(重要文化財)も今回出展されています。
その他に出展されているのは、寿宝寺の千手観音菩薩立像。
重要文化財で、ほぼ千本の手を持つ、珍しい例です。
禅定寺の十一面観音立像は重要文化財、美しい立姿です。
現光寺の十一面観音像は重要文化財、極く小型で、珍しい坐像ですが、
美少年の様な秀麗さです。
海住山寺の十一面観音菩薩立像、
阿弥陀寺の薬師如来坐像、
薬師寺の薬師如来坐像、
禅定寺の文殊菩薩騎獅像、
極楽寺の阿弥陀如来立像など、いずれも重要文化財。
特別展見学後、本館裏側の庭園を散策。
レストラン「ゆりの木」にて昼食を済ませました。
このレストランは、ホテルオークラ系列で、美味しい料理がいただけます。
午後は、東京都美術館で開催中の「東京展」を見学。
幅広いジャンルの作品が広い会場を埋めつくし、
丁寧に観て行くと時間がかかります。
招待状を頂いた方の、奈良公園を描かれた大作も見学、素晴らしい作品です。
歩き疲れましたが、芸術の秋を堪能した一日でした。
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西條奈加著「金春屋ゴメス・因果の刀」を読み終える
http://tnabe.exblog.jp/29710563/
2023-10-07T10:26:00+09:00
2023-10-07T10:27:59+09:00
2023-10-07T10:26:22+09:00
toshi-watanabe
読書ノート
西條奈加さんは北海道出身。
2005年(平成17年)に、「金春屋ゴメス」で、
日本ファンタジーノベル大賞を受賞して、作家デビューを果たした。
その後、2012年(平成24年)、「涅槃の雪」で中山義秀文学賞を受賞。
2015年(平成27年)には「まるまるの毬」で吉川英治文学新人賞を受賞。
そして2021年(令和3年)、「心淋し川」で直木賞を受賞された。
「金春屋シリーズ」としては、2006年(平成18年)に、
「金春屋・芥子の花」を出され、今回3冊目が出版された。
私自身、このシリーズを読むのは今回初めて。
「因果の刀(かたな)」を読み始めて、最初こんがらかってしまい、
なかなか読み進めなかったのが正直のところ。
物語が進行する場所は「江戸国」で、時は21世紀半ばという設定。
江戸時代の江戸ではないが、背景は江戸時代そのもの。
自然と共存した暮らしと、木と紙で出来た町の景色だ。
31年前、江戸国は日本からの独立を宣言し、鎖国を敷いた。
江戸国は北関東から東北にまたがる一帯に、
日本の東京・千葉・神奈川を合わせたほどの領土、人口も7百万人。
物語の主人公、金春屋ゴメスは、正式には馬込播磨守寿々といい、
2人いる長崎奉行の一人で、国境の巡視などを務める。
その配下たちが登場するのだが、親方を恐れている。
身の丈6尺6寸、目方46貫という巨漢、大声で怒鳴りつけるが、
日本国に居た折は優秀な研究者として名をはせていた。
江戸国からの阿片流出について、日本からの査察が入った。
査察団の団長は、江戸城で評定が行われる中、
ゴメスに接触し、江戸国の開国と明け渡しを迫る。
ということで物語は一挙に進行する。
背景が分かると、読みやすくなり、大いに興味深く面白く、読み終える。
お薦めの一冊である。
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地球一周クルーズの回顧(その20 )
http://tnabe.exblog.jp/29703235/
2023-09-27T14:18:00+09:00
2023-09-27T14:26:05+09:00
2023-09-27T14:18:22+09:00
toshi-watanabe
旅行
エミコさんの車に乗せていただき、オアフ島巡りの最終日。
先ず訪れたのが、「プウ・オ・マフカ・ヘイアウ」Puu O Mahuka Heiau。
ワイメア湾を見下ろす、海抜914メートルの高地にある。
狭い山道を登りきると、広い平地に到着。
約2エーカー(8,094平米)あるという。
オアフ島最大のヘイアウ(古代ハワイ宗教の祭祀場)だ。
野生化したニワトリの群れが寄ってくる。
山を下り、オアフ島の北側を海岸沿いに東方へ向かう。
島の北東部に位置する、「クアロア・ランチ」に立ち寄る。
休憩所があり、土産物店も。
乗馬などの多彩なアクティビティが楽しめる。
プライベートビーチを含め、広大な敷地だ。
古代には、王族しか立ち入ることが許されず、
聖なる土地として、数々の神話が語りつかれてきた。
今は家族連れなど大勢訪れている。
次いで、島の東部カネオヘにある
「バレー・オブ・ザ・テンプルズ・メモリアルパーク」へ。
いわゆる公園墓地です。
山麓に広がるメモリアルパークで、
一画には日系人の墓地があり、日本と同じ墓石が並んでいる。
一番奥まったところに、平等院テンプル。
京都宇治の平等院鳳凰堂そっくりだ。
東海岸で、ハロナ潮吹の岩(穴)を見物。
岩から勢いよく潮が吹きあがる。
ダイアモンドヘッドの裏側の海岸に、別荘地がある。
そのエリアはプライベイトで、別荘の裏側はプライベイトビーチのようだ。
この一角に、かって石原裕次郎が5億円で購入したという別荘。
外から眺めただけだが、今は住む人もなく可成り荒れ果てたままだ。
売りに出ているという話もあるようだ。
最後に立ち寄ったのが、「カメハメハ大王像」。
ハワイ王国を建国した初代国王・カメハメハ1世の像だ。
背部に見える建物は、カメハメハ5世の宮殿として設計され、
その後、国会議事堂や裁判所として使われた。
歴史的建造物で内部を見学できるようだ。
スーパーで買い物をして港へ戻る。
ノースショア・ブブケアのミエコさん、本当に有難うございました。
紙面を借りて心よりお礼申し上げます。
7月12日夜、ホノルル港を出航、一路日本へ。
7月13日、洋上の夕陽。
7月14日、15日と2日続けて時計の針を1時間戻す。
太平洋上の日付変更線を越えると同時に1日が消えてしまう。
7月15日の翌日は、7月17日。
7月16日が誕生日の方、誕生日がなくなったと残念がって。
船内の様子を少しばかり紹介。
7月18日、19日、20日と3日連続して時間調整を行い、
日本時間と同じとなる。
7月23日夜明け前に東京湾へ。
そして朝7時ごろ、無事横浜港大桟橋に着岸。
以上
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