玉岡 かおる著「姫君の賦」を読み終える
2019年 02月 19日
「千姫流流」とサブタイトルにある通り、戦国最後の姫、
千姫の物語である。
PHP研究所出版、1,900円+税。
そしてのちの3代将軍家光の姉でもある。
徳川家安泰のため、千姫は7歳の砌に大阪城に嫁入り、秀頼の妻となる。
千姫とともに登場するのが、おちょぼ、のちの松坂局。
一つ年下のおちょぼは幼くして日頃から千姫の遊び相手、話し相手を
していたのだが、小姓として共に大阪へ向かう。
話し相手ばかりでなく、影武者のごとき使命を帯びて、
いざという時には姫の身代わりとなるためである。
秀頼と淀殿は自害して果てる。
千姫はおちょぼとともに城外へ救出される。
時に姫はまだ18歳だった。
その折、秀頼と側室の石の間に生まれた娘がおり、
千姫が命乞いをして助け、自分の養女とした。
のちに、鎌倉の東慶寺を再興し、この娘が住職となる天秀尼である。
千姫一行は尾張桑名へ向かう。
徳川四天王の一人、本多忠勝の嫡子忠政が城主、
そして忠政の嫡子忠刻(ただとき)と夫婦となる。
徳川本家から姫を迎えると同時に、本多家は姫路へ領土変え。
本多忠政は白鷺城の城主となり、忠刻と千姫も白鷺城へ。
千姫には徳川本家より10万石の化粧代が支給される。
ちょっとした大名級の特別待遇、これだけの待遇を受けた
姫は千姫の前にも後にもいない。
長女は祖父の忠勝の名前から勝姫と名付ける。
のちに池田家に嫁ぐ。
次いで待望の跡継ぎが生まれ、幸千代と名付けられる。
ところが好事魔多し、幸千代が突然亡くなる。
明石・姫路一帯は豊臣家に恩顧を抱いている土地柄で、
徳川に恨みを持つ武士も多く、毒殺されたとみられる。
千姫はその後も身まかるものの、いずれも流産。
やがて忠刻は、これも毒殺ではと疑わしい死に方で亡くなる。
義父母の忠政と熊(ゆう)も亡くなり、
運命に流されるまま、千姫は再び江戸に帰る。
髪を切り、天樹院を名乗り、江戸城内の竹橋御殿で暮らす。
時折弟の家光が訪れる。
松坂局となったおちょぼは、最期まで天樹院に仕える。
松坂局は長生きし、91歳の生涯を全うする。
千姫の生き様が見事に描かれている。
往時をしのぶことができます
春の桜の季節が一番美しいです
阪神大震災で神戸の街が壊滅した道を通り抜け
姫路城へお花見にいったときの感慨を思い出しました
歴史あるものは 大切に保存していくのが
後世の人間の務めだと その時感じました