安部 龍太郎著「おんなの城」を読み終える
2018年 12月 31日
安部龍太郎さんの著書「おんなの城」を読み終える。
最近、文春文庫で出たばかり、700円+税。
信長を始め、戦国時代の武将をテーマに数多くの小説を書かれ、
現在はライフワークの家康に取り組んでおられる安部さんが、
戦国時代に生き抜いた4人の女性をテーマに書かれた短編小説。
「霧の城」とは、奥美濃の山に囲まれた盆地にある岩村城。
朝夕霧に覆われることが多く、別名霧ヶ城と呼ばれる。
武田軍勢の攻撃が目前に迫った、この岩村城を守るのが珠子、
織田信長の叔母だが、年齢は2歳しか差がない。
最後には、信長と敵対することに。
「満月の城」とは能登半島の七尾城。
七尾城主畠山義綱の側室、佐代が登場する。
佐代には嫡男太郎丸がいるが、正室の子息、正嫡次郎丸がいる。
太郎丸は次郎丸の2歳年上。
城主の義綱が殺害され、佐代が城を守っている。
この小説の中に著者が登場させたのが長谷川信春、のちの等伯。
作り話なのだろうが、信治が佐代の肖像画を描く場面も。
著者は力作「等伯」を出され、「直木賞」を受賞された。
物語の終盤、佐代は義隆(太郎丸)に助けられて城から逃れ出る。
すでに日が暮れ、頭上を見上げると、
澄み切った空に大きな満月が浮かんでいた。
「湖上の城」とは井伊谷城、近くに浜名湖がある。
亡き父井伊直盛の六回忌の法要の場面で、小説は始まる。
喪主を務めるのは直盛の娘奈美(のちの次郎法師直虎)。
昨年、NHK大河ドラマで放映された「おんな城主直虎」の主人公だ。
「希望の城」とは立花山城である。
登場する女性は誾(ぎん)千代、亡き立花(戸次)道雪の後継者。
父親はキリシタン大名大友宗麟ではという説も。
道雪が非常の場合に備えて、立花山城に十億円相当の金銀銭を
蓄えておいてくれたのが、その後大いに役立つことに。
誾千代といえば、山本健一さんが書かれた「まりしてん 誾千代」
という素晴らしい作品がある,
安部龍太郎さんが長年にわたって取り組んでおられる、
戦国史観を女性の観点から見つめなおした作品集だろう。
気軽に読める楽しい著書である。
沢山の読書をされて、いつも丁寧なあらすじに
迷わず数冊を購入してしまいました。
足の怪我も大分良くなったと伺いましたが、
寒さはこれからが本番です、どうぞお大事になさってください。
どうぞよいお年をお迎えください。
明けましておめでとうございます。
コメントをいただき有難うございます。
馬齢を重ねるばかりで、体力も弱ってくるのでしょう。
これからも気をつけねばと思っています。
今年もよろしくお願いします。