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安部 龍太郎著「おんなの城」を読み終える

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安部龍太郎さんの著書「おんなの城」を読み終える。

最近、文春文庫で出たばかり、700円+税。



信長を始め、戦国時代の武将をテーマに数多くの小説を書かれ、

現在はライフワークの家康に取り組んでおられる安部さんが、

戦国時代に生き抜いた4人の女性をテーマに書かれた短編小説。



「霧の城」とは、奥美濃の山に囲まれた盆地にある岩村城。

朝夕霧に覆われることが多く、別名霧ヶ城と呼ばれる。

武田軍勢の攻撃が目前に迫った、この岩村城を守るのが珠子、

織田信長の叔母だが、年齢は2歳しか差がない。

最後には、信長と敵対することに。



「満月の城」とは能登半島の七尾城。

七尾城主畠山義綱の側室、佐代が登場する。

佐代には嫡男太郎丸がいるが、正室の子息、正嫡次郎丸がいる。

太郎丸は次郎丸の2歳年上。

城主の義綱が殺害され、佐代が城を守っている。

この小説の中に著者が登場させたのが長谷川信春、のちの等伯。

作り話なのだろうが、信治が佐代の肖像画を描く場面も。

著者は力作「等伯」を出され、「直木賞」を受賞された。

物語の終盤、佐代は義隆(太郎丸)に助けられて城から逃れ出る。

すでに日が暮れ、頭上を見上げると、

澄み切った空に大きな満月が浮かんでいた。



「湖上の城」とは井伊谷城、近くに浜名湖がある。

亡き父井伊直盛の六回忌の法要の場面で、小説は始まる。

喪主を務めるのは直盛の娘奈美(のちの次郎法師直虎)。

昨年、NHK大河ドラマで放映された「おんな城主直虎」の主人公だ。



「希望の城」とは立花山城である。

登場する女性は誾(ぎん)千代、亡き立花(戸次)道雪の後継者。

父親はキリシタン大名大友宗麟ではという説も。

道雪が非常の場合に備えて、立花山城に十億円相当の金銀銭を

蓄えておいてくれたのが、その後大いに役立つことに。

誾千代といえば、山本健一さんが書かれた「まりしてん 誾千代」

という素晴らしい作品がある,




安部龍太郎さんが長年にわたって取り組んでおられる、

戦国史観を女性の観点から見つめなおした作品集だろう。

気軽に読める楽しい著書である。









Commented by semineo at 2018-12-31 16:01
今年もいよいよ終わりますね。
沢山の読書をされて、いつも丁寧なあらすじに
迷わず数冊を購入してしまいました。

足の怪我も大分良くなったと伺いましたが、
寒さはこれからが本番です、どうぞお大事になさってください。

どうぞよいお年をお迎えください。
Commented by toshi-watanabe at 2019-01-01 15:32
semineoさん、

明けましておめでとうございます。
コメントをいただき有難うございます。
馬齢を重ねるばかりで、体力も弱ってくるのでしょう。
これからも気をつけねばと思っています。
今年もよろしくお願いします。
by toshi-watanabe | 2018-12-31 10:44 | 読書ノート | Comments(2)

日々見たこと、 感じたこと、気づいたことをメモする


by toshi-watanabe