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映画「散り椿」を観る


9月28日から一般公開された、
映画「散り椿」を公開日に早速観に出かけた。
昨年末他界された葉室麟さんの原作で、
映画化されたのは、「蜩の記」に次いで2作目である。
この映画作品は、名キャメラマンで監督として三作目となる
木村大作さんが撮影そして監督されており、
第42回「モントリオール世界映画祭」で、「審査員特別賞」を受賞。


最初の場面は、まだ冬の季節、寂しい庭を眺めながら夫婦が語り合っている。
夫はこの物語の主人公、瓜生新兵衛、演じるのは岡田准一。
相手は新兵衛の妻で篠、演じるのは麻生久美子。
二人は寺の庫裏に寄寓して3年、毎年春には、寺の境内に咲く
散り椿をたのしみにしていた篠だが、病の床に就いており、
今年は散り椿が見られそうもない。
自分が亡くなったら、故郷の妻の実家にある散り椿を
見に帰ってほしいと夫の新兵衛に頼む。


18年前に縁を切った扇野藩には二度と帰参することはないと
意を決していた新兵衛だが、亡くなった篠の霊を弔い、故郷へ向かう。
妻の最期の願いを胸に、藩の不正や権力に立ち向かって行く。
かって扇野藩道場の四天王と言われた新兵衛は
同じ四天王の一人で、側用人を勤める幼友達の榊原采女に再会する。
采女を演じるのは西島秀俊。
もう一人の四天王で、既に命を落としているのが
篠の妹、里美の亭主で坂下源之進である。
里美を演じるのは黒木華。
新兵衛は一時源之進を殺害した犯人ではと疑われたこともあるが、
それは事実ではなく、故郷の実家が取り潰しになっている
新兵衛は里美の家に厄介になる。


斬り合いの場面が多く、殺陣については、岡田准一も
かなり力を入れて準備をしたらしい。
迫力満点の殺陣である。
里美の息子、坂下藤吾は次第に新兵衛を理解し親密になって行く。
生前の源之進と気心の知れた同志が篠原三右衛門(四天王の一人)で、
その娘、美鈴と藤吾は婚約しており、物語の終盤で結婚の場面も。


キャメラマン監督の木村さんらしく、
この映画は全編オールロケとの話で、自然の場面が美しい。
富山ロケでは白雪の立山連峰が望める。
滋賀のロケでは彦根城の天守閣が見事な姿を見せる。
長野の松代でもロケが行われる。


新しい若き藩主が扇野藩お国入りとともに、
長きにわたって悪事を働いていた城代家老一派が倒され、
めでたしめでたしとなるのだが、
瓜生新兵衛は一人故郷から旅立って行く。
想いを掛けつつ見送る里美の姿が印象に残る。


原作によれば、京都・地蔵院の境内にある散り椿は、
秀吉が寄進した「五色八重散椿」、
朝鮮出兵の際に、加藤清正が持ち帰ったもの。
椿は花ごとポトリと落ちるのが普通だが、
散り椿は花びらが一枚一枚散っていく。
一木に白から紅まで、さまざまに咲き、艶やか。






by toshi-watanabe | 2018-09-30 10:20 | 一般 | Comments(0)

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by toshi-watanabe