葉室 麟著「青嵐の坂」を読む

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葉室麟さんの著書「青嵐の坂」を読み終える。

著者が亡くなられて、すでに半年、

つい最近角川書店から刊行された、この作品が

著者最後の単行本となるのだろうか。

1,600円+税。

葉室さんは、秋月藩シリーズ、羽根藩シリーズ、

黒島藩シリーズと藩シリーズの作品を書かれているが、

「青嵐の坂」は扇野藩シリーズの一作である。

勿論、扇野藩は実在しない架空の藩だ。

このシリーズの第1作が「散り椿」、次いで「さわらびの譜」、

「はだれ雪」、そして「青嵐の坂」は第4作。

因みに「散り椿」は映画化され、本年9月28日に一般公開される。

「蜩の記」以来4年ぶりの葉室さんの作品の映画化。

「散り椿」の主人公、瓜生新兵衛の役は岡田准一が演じる。


映画「散り椿」の公式サイト

「青嵐の坂」では扇野藩の藩財政が破綻寸前の状況で、

古い体質を改革し、藩の立て直しに立ち向かう

若き藩士の立ち向かう姿が描かれている。

「政(まつりごと)を行うということは、

いつでも腹を切る覚悟ができているということだ。

それなければ何もできぬ」と語らせている。

扇野藩の中老・檜弥八郎は、破綻寸前の藩を救うべく、

倹約政策を断行したのだが、「黒縄地獄」と忌み嫌われ、

弥八郎は家老らの陰謀により切腹に追い込まれた。

時代は移り、弥八郎から目を掛けられていた親戚の矢吹主馬の所に

預けられていた弥八郎の娘、那美はやがて主馬の妻となり、

主馬が檜家の家督を継ぐことに。

扇野藩の新しい藩主として、若き千賀谷仲家が江戸から
お国入りする。

近習頭として従うのが檜慶之助、弥八郎の息子であり、那美の兄。

慶之介と主馬は対立の立場にあるようにお互いふるまうが、

実は目指しているところは同じ。

側用人となった慶之介だが、悪徳御用商人を刺し、自らは切腹。

古参家老二人は解任蟄居となる。


檜主馬は側用人となり、妻の那美と平穏な生活を送り始める

所で物語は終わる。

葉室ファンとして、今更ながら作品に感動させられる。

匠な筆致は実に素晴らしい。

お薦めの一作である。






by toshi-watanabe | 2018-07-04 11:41 | 読書ノート | Comments(0)