内田 康夫著「天河伝説殺人事件」を読み終える


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内田康夫さんの著書「天河伝説殺人事件」を読み終える。

ご存知「浅見光彦シリーズ」の一冊。

すでに映画化されているので、映画をご覧になられている方も。

著者にとっては40作目の作品である。

初出は1988年にカドカワノベルズとして上下二巻。

今回1冊にまとめられ、角川文庫で刊行されたばかり。

880円+税。

東京新宿の高層ビルの谷間で、道行く人でにぎわう夕刻、

一人の男性が突然倒れて亡くなる。

原因不明の死に方で、警察が調べに乗り出す。

この男性、愛知県豊田市の住民で、家電メーカーの営業所勤務。

当日は大阪に出張の予定だった。

遺族も会社の同僚も不審に思う。

死んだ男の手元にはやや大型の銀製の鈴らしきもの。

「五十鈴」と呼ばれる、この鈴がその後の展開でキーワードとなる。

さて、浅見家に来客がある。

三宅譲典は光彦の亡き父親、秀一の学生時代からの親友で、

秀一の存命中は揺と仕舞いの仲間だった。

光彦の嫁さんを心配している三宅だが、

今回浅見家を訪れた目的は別の用件で、光彦への依頼だった。

それは出版社が企画した「能謡史跡めぐり」を

光彦に引き受けてほしいという話。

光彦は喜んで引き受ける。

光彦の母親、雪江や三宅がよく知っている能の水上流では、

宗家を継ぐはずだった水上和春が43歳の若さで急訃して6年、

7回忌の追善能が開かれることになる。

「二人静」を演じる「シテ」には宗家の和憲、

「ツレ」を演じるのは孫娘の秀美。

秀美には兄の和鷹がおり、和憲が引退後水上宗家を継ぐと

目されているにもかかわらず「二人静」の「ツレ」を演じず。

追善能では、「キリ」の「道成寺」を演じる。

山伏に恋した娘が山伏を追ってくる。

仕方なく白拍子姿の山伏は鐘の中に隠れる。

やがて鐘が吊り上げられると白拍子が蛇の姿に変わって

現れるという筋書きなのだが、

鐘の中からは蛇は現れず、演じた和鷹が死んでいた。

通常の死に方ではなく、警察の調べが始まる。

依頼を受けて、浅見光彦は奈良吉野の奥の天川村へ出かける。

芸能の神様として知られる天河神社がある。

土地の名前は天川(てんかわ)だが、神社の名前は

天河神社(てんかわじんじゃ)と、川と河が異なるのは興味深い。

スポンサー付きの旅なので、由緒ある旅館「桜花壇」に泊る。

実在の旅館で、作者の内田康夫さんが現地取材
の際に宿泊されている。

この奈良吉野の奥地に新宿で殺害された男性の娘、川島智春や

能の水上秀美もやって来る。
そして光彦は事件に巻き込まれ、

警察署の留置場に入れられたり。

上記の「五十鈴」は天河神社のご神体であり、

次から次と起きる事件解決の糸口となる。
水上流宗家、和憲の自殺により物語は幕を閉じる。
天河神社のことは今回初めて知り、
機会があれば訪れてみたい。















Commented by やぶひび at 2018-06-28 14:41 x
「天河神社伝説殺人事件」は、映画も観ました。
ロケ地は奈良でなくて、伊豆なので、雰囲気が違うかもしれません。
光彦の愛車も「ジャガー」です。
他の作品も映画化される予定だったようですが、
社長の逮捕で一作だけになりました。
天河神社は行った事がありませんが、吉野山なら行った事があります。
桜が綺麗でした。
Commented by toshi-watanabe at 2018-06-29 09:11
やぶひびさん、
早速のコメントを有難うございます。
内田作品を読み始めたのは比較的遅く、
この作品が出版されたころは全く、
内田康夫さんのことを知りませんでした。
したがって映画も見ておりません。
桜千本を期待して吉野を訪れたことがありますが、
残念ながらその年は早すぎました。
by toshi-watanabe | 2018-06-26 13:14 | 読書ノート | Comments(2)