安部 龍太郎著「平城京」を」読む

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久し振りに、安部龍太郎さんの作品を読む。

最近角川書店から刊行されたばかりの「平城京」。

1,800円+税。

第八次遣唐使の一行は唐に渡り、無事役目を果たした。

二年後の慶雲元年(704)、帰国の途に就くことになった。

遣唐使船の船長だった阿倍船人(あべのふなひと)は、

出航の数日前に一人の老人に声を掛けられる。

白村江(はくすきのえ)の戦いで唐の捕虜になった者で、

それ以来40年近く奴婢として働かされてきた。

他にも何人かの仲間がおり、この機会に

祖国に連れ帰ってほしいと頼まれる。

彼らの釈放を蘇州の政庁に求めたものの、

逆に船人本人が捕らえられ、二年半に及ぶ抑留生活に、

そして慶雲4年(707)、無事に帰国したものの、

これが元で、朝廷により処罰を受け、逼塞していた。

そこへ、長兄(異母兄)の宿奈麻呂(すくなまろ)から

新都造営の手助けをしてほしいとの打診がある。

しかも、たった三年で、唐の長安に並ぶ新都を

奈良に建設するという大事業。

これは朝廷一の実力者・藤原不比等(ふじわらのふびと)からの

必達の命令だった。

この大事業に失敗すれば阿倍家が没落しかねないが、

白村江の戦い以来冷遇されてきた阿倍一族にとっては、

再興のチャンス、難事業を承知のうえ、船人は引き受ける。

藤原京に遷都してまだ13年、奈良(平城京)に都を造営するには、

反抗勢力があり、何かと妨害を仕掛けてくる。

まさに史上最大の国家プロジェクトであり、

土地の買収に始まり、道路づくり、河川の移動を含む開発。

1万人の人手が必要で、自宅から通える5千人の他に、

残りの5千人は、地方からかき集めねばならない。

20人が一緒に生活できる小屋を少なくとも250棟必要。

建築材料、建築職人の手当てをどうするか。

造営前の準備も困難を極める。

28歳の青年、船人は人々の手伝いを得ながら、孤軍奮闘する。


思えば現代に通じる一大プロジェクトだが、

幾多の困難を乗り越えて、タイムリミット内に

船人は見事造営を完成させる。

大変興味深く、面白く物語は進展する。

安部さんの筆力には大いに感銘を受ける。

主人公・安倍船人には5歳上の兄(三男)・船守(ふなもり)がおり、

その息子が世に名高い阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)である。

後に、船人が再び遣唐使船の船長を務め、

仲麻呂が唐へ留学する。





Commented by semineo at 2018-06-20 11:24
ご無沙汰しています。
平城宮というと碁盤の目が浮かびます。
知らない事ばかりの歴史、平城京の成り立ちも、
記事に書かれたような、いきさつがあったのですね。
一度は田畑になった平城宮跡も建物や庭園が復元されています。
ゆっくりと歴史を感じながら奈良を歩いてみたいものです。
良い本のご紹介、有難うございます。
Commented by toshi-watanabe at 2018-06-21 09:13
semineoさん、
おはようございます。
早速のコメントを有難うございます。
平城宮跡歴史公園として公開され、古の姿を偲びながら散策できますよね。
公園内に開かずの踏切があったりしますが。
私もしばらく奈良を訪れていません。
また古都を歩いてみたいです。
by toshi-watanabe | 2018-06-20 09:30 | 読書ノート | Comments(2)