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津本陽さんを悼む


歴史・時代小説を得意とされた作家の津本陽さんが、
5月26日に亡くなられた。
享年89歳。
遺族の皆さんにお悔やみを申し上げ、
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

合掌


津本さんは、昭和4年(1929)3月、和歌山市のお生まれ。
戦時中は勤労動員で、明石市の工場で働いていた折に
空襲に遭われ、大変悲惨な目に遭われた。
戦後はサラリーマン生活を13年ばかり。
文筆生活に入ったのは遅い方。
49歳の時に、故郷の和歌山に題材を得た「深重の海」で直木賞受賞。
本格的に作家生活に入られた。

今から30年ほど前の1989年、日本経済新聞の朝刊に
連載されたのが、織田信長の生涯を描いた「下天は夢か」。
朝のラッシュアワーの通勤電車の中で、読みふけったのを思い出す。
その後単行本として出版されてベストセラーとなった。
津本さんは信長をこう見ている。
「信長はヨーロッパより百年はやく政教分離を実現し、
 中世社会の陋習、偶像を破壊する一生であったが、
 彼の足跡には出生物語のにぎやかな気配はなく、
 明晰な認識者の孤独感ともいうような虚無のにおいが漂っている。」

その後、豊臣秀吉を描いた「夢のまた夢」、徳川家康を描いた「乾坤の夢」
の夢三部作を執筆された。
戦国武将、戦国大名あるいは剣豪、歴史上に登場する人物を
ほとんどすべて網羅して、小説を書かれている。
幕末、明治に活躍した人物にもスポットを当てている。
兎に角多作、すごい筆力だった。
1981年から2010年前後まで、200冊に及ぶかという、
数多の作品を書かれている。
最近は、新作が出ないなと思っていたところ、
過日の新聞で訃報を知る。


またまた歴史・時代小説の作家が黄泉の世界に旅立たれ、
さびしい限りである。







Commented by やぶひび at 2018-05-31 14:32 x
先月 「まぼろしの維新 西郷隆盛、最期の十年 (集英社文庫)」が発売されています。
ウェブサイトの連載だったので、まだ知られていないようです。

直木賞受賞作「深重の海」読みました。
江戸時代の捕鯨の話ですが、圧巻です。
ご冥福をお祈り申し上げます。

Commented by toshi-watanabe at 2018-05-31 15:11
やぶひびさん、
こんにちは。
早速のコメントを有難うございます。
「まぼろしの維新 西郷隆盛、最期の十年 (集英社文庫)」は知りませんでした。
今度書店で見てみます。
by toshi-watanabe | 2018-05-31 09:57 | 一般 | Comments(2)

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