砂原 浩太朗著「いのちがけ」を読み終える

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砂原浩太朗さんの作品「いのちがけ」を読み終える。

講談社出版、1,750円+税。

サブテーマとして「加賀百万石の礎」とある通り、

加賀藩祖、前田利家から二代利長にかけて、

加賀百万石の礎が築かれた時代の物語。

主人公は、前田利家の家臣、村井豊後守長頼。

常に利家に付き従い、幾度もその危難を救う。

桶狭間、長篠、賤ヶ岳と戦場を駆け抜け、

貫き通した忠義の生涯が見事に描かれている。

物語の終盤、醍醐の花見のあと秀吉が亡くなり、

すでに体力の衰えていた利家もその翌年、命を全うする。

秀吉の遺言により、五大老として秀頼の傅役

中心になって務めていた利家が亡くなると、

同じく五大老の徳川家康がにわかに権力を誇示し始める。

加賀藩の力を弱体化せんものと言いがかりをつける。

二代藩主の利長は家康の元へ特使を派遣するものの、

全く相手にされず、特に二度目には家康のお目通りもかなわず。

利家の死去と共に隠居していた長頼は、

利長の要望により、藩のために再び働くことを決意し、

家康のいる大阪の加賀藩大阪屋敷を守っていた。

利長からの強い要望があり、

村井長頼が利長の特使と共に家康の元へ向かうことに。

最初は、井伊直政と本多忠勝が長頼らとの面談に応じるが、

談判の途中、家康本人が姿を現す。

利家の妻まつ(未亡人)、芳春院を人質として、

江戸の徳川家に差し出すことで解決、

前田家は安泰となる。

この家康と長頼のやり取りする場面が何とも絶妙な筆致で描かれ、

歌舞伎の舞台、最高潮の場面を見ているかのようである。

感動的な場面である。

利家と長頼とのやり取りはもちろん、

利長が長頼を試す場面なども大変興味深く、

この作品、大いに楽しみながら読み終える。


歴史・時代小説の文芸評論家、縄田一男さんも絶賛されている。

「新人にして、一級品。

 歴史小説の新しい風が

 心地よく頬を打つ。

 各戸たる文体の勝利である。」


この作家の今後を期待したい。

お薦めの一作である。


(追記):

NHKの大河ドラマ「利家とまつ ~ 加賀百万石物語」では、

的場浩司さんが村井長頼の役を演じていた。









Commented by banban0501 at 2018-04-05 12:54
おススメの一冊 是非共読んでみたくなりました

まだ知らない作家さんです

歴史小説 読み応えありそうです
Commented by toshi-watanabe at 2018-04-05 13:21
banbanさん、
早速のコメントを有難うございます。
私も初めての作家です。
お薦めの一冊です。
機会がありましたら是非手に取って見て下さい。
by toshi-watanabe | 2018-04-05 11:05 | 読書ノート | Comments(2)