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特別展「ほほえみの御仏」を見学する

6月29日、上野公園の東京国立博物館へ出かける。
開催中の特別展「ほほえみの御仏」を見学するためである。
ぜひとも見たいと思っていた展示会。

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昨年、日韓国交正常化50周年を迎え、その記念事業の一環として、
日韓両国の国宝、半跏思惟像が一堂に会することになった。
韓国では、5月24日から6月12日まで、ソウル市の国立中央博物館で展示された。
日本では、6月21日から7月10日まで、「ほほえみの御仏」展として、
東京国立博物館で公開されている。

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7世紀の飛鳥時代に楠の木で彫像された奈良・中宮寺の国宝・半跏思惟像。
何かを思案するように右頬にそっと指を当てるしぐさ、
右足を左足の上に乗せて半分だけ座禅を組んでいる。

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三国時代の朝鮮半島で盛んに造られた仏像の様式と技法が
日本に伝わり、独自の柔和さが加わった。
その歴史をしのばせるのが、韓国で国宝78号として
親しまれる金銅製の」半跏思惟像である。
中宮寺の像に先立つ6世紀後半の作品だが、
姿形はよく似ている。

時を経て初めて日韓両国で並ぶことになった。

入場券を買い求めるのに、10分ほど列に並んだが、大したことはない。
入場に当たっては手荷物検査を受ける。
本館を入って正面奥の部屋が展示場となっている。
明かりを暗くした広い部屋に入ると、右側に韓国の半跏思惟像、
左側に中宮寺の半跏思惟像があるだけで、他に展示物は一切なし。
(これで入場料千円とは、思った見学者がいるのかもしれない)

韓国国宝78号の半跏思惟像は像高83.2cm、台座高30.8cmと
小型だが、銅造に鍍金が施され、見事な光沢をかがやせている。
正面から見ると、優しげな微笑み、ちょっと横の方へ視線を移すと、
何かに思いに耽る表情が感じ取れる。
人々の救済を願いながら、瞑想する姿そのものである。
朝鮮半島では特に信仰が盛んだった弥勒菩薩として作られたとみられる。
もう一体国宝83号半跏思惟像があり、国立中央博物館に収蔵されている。

中宮寺の国宝半跏思惟像は像高126.1㎝、台座高79.6㎝と
韓国の像に比べると、かなり大きく見える。
楠の木造で、彩色が施されている。
普段は中宮寺本堂にご本尊として安置されており、
如意輪観音菩薩として知られている。
飛鳥時代の最高傑作であり、その高貴な微笑みは「アルカイックスマイル」の
典型として評価される。

日本と韓国の間の長い歴史をしのぶ意味でも、
大変貴重な機会ではないかと思う。
ぜひとも進めたい特別展である。









Commented by Jun at 2016-07-07 06:52 x
素晴らしいですね。見入ってしまいました(魅入られました)。
ことに2枚目の写真(最初のポスター?を入れると3枚目の、アップの写真、中宮寺の半跏思惟像なんですか?)に惹かれます。
写真だけでもこんなに素敵なので、本物はどんなにか・・・と思います。
Commented by toshi-watanabe at 2016-07-07 09:04
Junさん、
コメントをいただき有難うございます。
奈良に法隆寺を訪れると、必ず中宮寺にも立ち寄り、半跏菩薩思惟像を拝観します。
誰もが愛する、素晴らしい仏さんです。
韓国の思惟像のように宝冠の半跏思惟像が、
京都の広隆寺に安置されています。
この仏さんは、国宝第1号です。
by toshi-watanabe | 2016-06-30 10:54 | 寺院・仏像 | Comments(2)

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