降旗監督の映画作品に感動
2013年 08月 23日
1本はちょうど1年前に公開された「あなたへ」。
テレビで放映されたのを録画しておいた。
今年第36回日本アカデミー賞の昨j品賞、監督賞、脚本賞、
そして佐藤浩市と大滝秀治が助演男優賞、
余貴美子が助演女優賞を受賞。
2本目は現在上映中の「少年H」。
近くにショッピングセンター・グランベリーモールにある映画館で観賞。
これまた素晴らしい作品である。
高倉健、6年ぶりの映画出演となった「あなたへ」はオリジナルストーリー。
北陸のある刑務所の指導技官として勤務する倉島英二(高倉健)のもとに、
ある日、亡き妻、洋子(田中裕子)が残した2枚の絵手紙が届く。
絵手紙には一羽のスズメが描かれ、”故郷の海を訪れ、散骨して欲しい”
との想いが綴られていた。
もう1枚は、洋子の故郷、長崎県平戸市の郵便局への局留め郵便、
その受け取り期限まで、あと10日。
キャンピングカーを運転して、遺骨壷を抱え、洋子の故郷へ向けて
主人公は1200キロの旅を始める。
富山からスタートし、飛騨高山、京都、瀬戸内、北九州、門司を通り、
長崎県平戸市の漁港、薄香へたどり着く。
途中で巡りあうのが、ビートたけし演じる車上荒らし、
各地で店頭販売をしている若者を演じる佐藤浩市や草彅剛、
一期一会の旅である。
平戸の漁港では、
大滝秀治(漁船のオーナーで、海での散骨の為に
漁船を出してくれる)、三浦貴大《三浦友和、山口百恵夫妻の息子で、
映画では大滝秀治の息子役を演じる)、
「八重の桜」で八重を演じている、綾瀬はるか、
余貴美子等が登場する。
巡りあった人たちと心を通わせ、
彼らの家族や夫婦の悩みや思いに触れていくゆちに、
蘇る洋子との心温かくも何気ない日常の記憶の数々。
さまざまな人生に触れ、さまざまな想いを胸に、
目的の地に辿り着いた英二は、遺言に従い散骨する。
「少年H」は、妹尾河童の自伝小説を映画化したもの。
時代は昭和初期にさかのぼる。
神戸で洋服を仕立てる父親とその家族の物語。
父と母を演じるのは、水谷豊と伊藤蘭、実際の夫婦である
二人が、映画でも見事に夫婦役を演じている。
父親像、母親像のあるべき姿が描かれているように感じる。
水谷演じる父親は、自分の眼で見て、自分の頭で考えて、
自分の言葉で語ることの大切さを教えている。
伊藤演じる母親は、どんな苦境の中でも「愛」を忘れず
夫を信じ、子供を慈しむ母親の強さを映し出している。
そんな両親のもと、好奇心旺盛に育つ肇(頭文字をとって、H)、
そして妹の好子と4人で平和な暮らしをしていたが、
太平洋戦争が勃発、近所のお兄ちゃんが政治犯として、
逮捕されたり、召集令状を受けた男が入隊せずに脱走し、
憲兵に追われたりと、次第に不穏な空気が漂っていく。
少年H自身も、軍事教練を受け、
不満や疑問を公に言う自由が失われて行く。
息子が周囲に翻弄されることなく、
「おかしい」、「なんで?」と聞くたびに、
父親は、しっかりと現実を見ることを教え育てる。
やがて戦争は終わり、少年Hは15歳になり、
独り立ちを決意する。
少年Hを演じた吉岡竜輝が好演。