春爛漫の奈良を訪れる(その1)
2012年 04月 14日
時まさに春爛漫、好天にも恵まれる。
名古屋駅前からバスで奈良へ向かう。
最初の訪問先は、奈良県の大宇陀である。
大宇陀にある本郷の滝桜を見学する。
又兵衛桜とも呼ばれている。
大阪の役で西方の武将として活躍した後藤基次(又兵衛)が、
豊臣家再興を夢見て暮らしていたのが大宇陀の地、
後藤家の屋敷跡に立っているのが、このしだれ桜。
誰いうとなく又兵衛桜と呼ばれるように。
樹齢300年の枝垂れ桜、根元の幹まわりは3メートルばかり。
地元でしか知られていなかった又兵衛桜は、
2000年に放映された大河ドラマ「葵徳川三代」の
オープニング場面の画像として映し出され、全国に知れ渡る。
今年初め、87歳で他界された日本画家の小泉淳作さんが、
最晩年5年がかりで完成させたのが、奈良東大寺本坊の襖絵。
40面の襖絵のうち12面は桜をモチーフに描かれているが、
3種類の桜で構成されている。
「東大寺本坊の桜」、「吉野の桜」、そして又兵衛桜をもとに
描かれた枝垂れ桜である。
今年の冬は異常気象で例年よりも長く寒い時期が続き、
桜の開花がどこも遅れ気味。
この又兵衛桜も例外ではなく、例年なら満開の時期を
迎えているはずなのに、残念ながらまだ蕾のまま。
見事な枝垂れ桜は見られず、ただ満開時を想像するのみ。
次いで長谷寺を訪れる。
前回は一昨年、牡丹の季節に訪れている。
真言宗豊山派の総本山として、
また西国三十三所第八札所として信仰を集めている。
ご本尊は十一面観音立像。
十一面観音としては、珍しく錫杖を持ち、長谷寺式十一面観音像の
特色となっている。
国指定の重要文化財、木造漆箔、像高は1018㎝と最大級の仏像。
室町時代、天文7年(1538)の作。
像内部は複雑で、前後左右に貫を通すなど堅固に組まれている。
国宝本堂は徳川三代将軍家光公の寄進により建立されたもの。
入母屋造の正堂と礼堂からなる双堂(ならびどう)形式で、
前面に懸造りの舞台がついている。
ここからの眺めは天下一品。
五重塔も望める。
花の寺として知られ、桜のほかに山茱萸(さんしゅゆ)の花が咲いている。
福寿草の花もまだ見られる。
初日はここまでで、奈良市内へ向かう。
市内のホテルに入る前に、割烹「東吉」で懐石風大和料理の夕食をとる。
二日目の朝は、宿からすぐ近くの奈良公園へ。
氷室神社を訪れ満開の桜見物。
ここは初めてである。
白木蓮も満開。
このあと2時間ばかりフリータイム。
各自好きなところを回る。
東大寺の南大門で記念撮影。
鹿せんべいが売られ、台湾、中国、東南アジアからの観光客が
鹿を相手に大騒ぎ。
山門としては日本一大きい南大門、圧倒される大きさである。
左右にそびえたつ金剛力士像(国宝)は見事である。
檜材木造、彩色、像高は阿形像が836㎝、吽形像が842cm。
鎌倉時代の作で、運慶、快慶をはじめ慶派の仏師により造立。
通常、向かって右側に口を開いた阿形像、左側に口を結んだ吽形像が
安置されるが、南大門の金剛力士像は
左右が逆に安置されている。
珍しい配置である。
昨年オープンしたばかりの東大寺ミュージアムを訪れる。
法華堂(三月堂)が現在修復作業中で、
ご本尊の不空検索観音菩薩坐像が、
東大寺ミュージアムのメインホールに安置されている。
朝一番でミュージアムに入ると、
丁度僧侶が朝のお勤め、読経をされているのに巡りあう。
しばらく静かに目を閉じ、読経に耳を傾ける。
不空検索観音菩薩坐像の頭上から、宝冠が取り外され、
現在宝冠が別途展示公開されている。
以前暗い法華堂の中で拝顔した時とは異なり、
ゆったりとした広い空間で、宝冠なしの菩薩像、
印象が全く異なる。
国宝で、奈良時代、8世紀の作。
像高は362㎝、材質は脱活乾漆造。
目が三つ、腕が8本の3目8臂。
本来異様となるはずだが、この仏像は自然な顔立ちで、
それが不思議な魅力を備えている。
宝冠は千数百個の玉で飾られている。
東大寺ミュージアムを出て、
奈良公園内を散策する。
興福寺の五重塔。
京都東寺の五重塔に次いで2番目に高い五重塔である。
奈良公園を後に天理へ向かう。
春の奈良へご旅行でしたか、
又兵衛桜は残念だったようですが、奈良公園の桜は見事ですね。
仏像好きなwatanabeさんには自由時間は貴重でしたね。
写真でしっかりと仏像を眺めさせて頂きました。