特別展「運慶~中世密教と鎌倉幕府」
2011年 02月 24日
神奈川県立金沢文庫へ出かける。
現在特別展「運慶~中世密教と鎌倉幕府」が3月6日まで開催中である。
全国から鎌倉時代を代表する大仏師、
運慶の作とされる選り抜きの仏像が集められ、
金沢文庫の2階展示室に勢揃い。
今回展示仏像の中で唯一の国宝は
奈良・円成寺所蔵の木造大日如来坐像である。
現存する運慶の最初の作である。
台座内部に墨書銘があり、安元元年(1175年)11月に作り始め、
翌年10月に完成したと記されている。
さらに「大仏師康慶実弟子運慶」と記され、
左側には運慶の花押も見られる。
この台座蓮肉の天板裏側より発見された墨書銘も展示されている。
この頃、運慶は20代と推定される。
康慶は実の父親である。
像高は98.2センチ。
この像の体躯は、若者の引き締まった肉体を写して、
さらに抑揚を持ったものとして表現されている。
緊張感に富んだ姿勢をとっている。
神奈川県・浄楽寺所蔵の不動明王立像と毘沙門天立像。
重要文化財に指定されており、いずれも文治5年(1189年)の作。
昭和34年(1959年)に、毘沙門天立像から銘札が発見され、
東国の運慶作品研究の端緒となった。
増高は不動明王が立像135.5センチ、 毘沙門天立像が140.5センチ、
いずれも木造。
堂々とした体躯で力強い作風が見られる。
量感が少し物足りない観もある。
東京・真如苑所蔵の木造大日如来坐像。
2003年7月、当時の所有者(個人)から照会があり、
専門家は以前、栃木県足利市の光得寺が所蔵していた
大日如来坐像を運慶作と判定したものではないかと同年9月に実見、
ほぼ間違いないと判断された。
2004年春、東京国立博物館にて一般公開される。
ところが、2008年2月、像の所蔵者が、この像をニューヨークの
オークションにかけることが明らかになり、
新聞紙上でも大きく取り上げられる。
3月、三越百貨店が12億円超で落札。
三越は代理店で、実際の落札者は、東京の宗教法人真如苑だと判明。
海外への流出は避けられた。
像高は61.6センチ、重要文化財。
建久4年(1193年)前後の作。
栃木県・光得寺所蔵の厨子入大日如来坐像。
建久10年(1199年)前後の作で木造、重要文化財。
像高は31.3センチ。
光得寺大日如来坐像には、心月輪としての水晶珠、五輪塔形の木注のほかに、
針金で巻いた人間の歯が納入されていた。
神奈川県・光明院(金沢文庫)所蔵の大威徳明王坐像。
運慶の晩年期における鎌倉幕府関係の造像で唯一の現存作例である。
神奈川県・称名寺の子院・光明院の大威徳明王坐像。
平成19年春、その納入品調査の結果、
奥書から建保4年(1216年)に造立されたものと判明。
作者は「肥中法印運慶」(肥中は備中の誤り?)と記されている。
木造で、増高は21.2センチ、重要文化財。
その他には、愛知県滝山寺所蔵の帝釈天立像、縁起、像内納入品などが
展示されている。
平日にもかかわらず、大勢の見学者で会場内は大混雑。
残念ながら、思う様には見学できず。
仏像ファンの多さに驚かされる。
運慶特別展を後にし、称名寺庭園を散策する。
なんだか ちょっと前では 考えられないことですよね?
いつから こういうブームが始まったのでしょう
こうして ネットで紹介してくださるので
私のように興味を持ち始めた人は
増えたせいかもですね~