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晩秋の京都(東寺)

東福寺前から九条通りをバスで東寺の南大門前に。
東寺(教王護国寺)の秋の特別公開は
11月25日が最終日。

南大門から境内に入ったものの、
五重塔、金堂、講堂を見学するための入口は
慶賀門(東門)の近く。
境内をぐるっと回る。

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先ず五重塔へ向かう。
京都の象徴として京都市民に親しまれている
東寺の五重塔は国宝。
しばしば災火をうけて復興と修理を繰り返し、
現在の塔は五代目、江戸時代に建立されたもの。
高さは55メートルあり、日本で最高最大の塔である。

10人ばかりのグループを案内されている僧侶の
一行と遭遇する。
さすが読経できたえられたと思われる
よく響く声で説明されている。
これ幸いと五重塔にまつわる貴重な話を聞かせていただく。

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内陣と呼ばれる塔の一階部分は、
心柱を大日如来に見立て須弥壇上の四方には
金剛界四仏と脇侍を配す。
四天柱には両界曼荼羅の尊像、四方の壁には、
だいぶ剥げ落ちて見にくくなっているが
真言八祖像が描かれている。

次いで金堂(本堂)へ向かう。
国宝の金堂は桃山時代の建立で入母屋造り。
構造は天竺様と和様を折衷した
雄大な桃山時代の代表的な建築物。
慶長8年豊臣秀頼により再建された。
僧侶が案内の一行も同じコースをとるようで、
金堂でも一緒になり、説明を聴かせていただく。
他の観光客も堂内にいっぱいになり、
僧侶の話が始まると、皆さんシーンとして聞き入っている。

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金堂の内部は高い天井が柱で支えられ、
内陣の須弥壇には薬師三尊像が安置されている。
ご本尊の薬師如来、脇侍の日光菩薩、月光菩薩、
台座周囲の十二神将の仏像、いずれも桃山時代に
建立された名品、重要文化財である。

次に向かったのは予定通り、講堂。
室町時代の建立で、入母屋造り。
重要文化財に指定されている。
ここでも例のご一行と一緒。
有難く僧侶の話を拝聴する。

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講堂内陣の諸仏には圧倒される。
長大な基壇の上に、大日如来を中心とした五智如来をはじめ、
五菩薩、五大明王、四天王、梵天、帝釈天の二十一体の
仏像が安置されている。
このうち15体の仏像が国宝、5体が重要文化財。
空海自身の構成による密教空間を形作り、
立体曼荼羅と呼ばれている。

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昭和の初め、火の不始末により、食堂は焼失。
現在の食堂はその後再建されたもの。
その災火により痛みの激しかった
ご本尊の千手観音像は修復され
現在宝物館に安置されている。
木造漆箔で像高は584.6センチもある。

国宝の兜跋毘沙門天立像(とばつびしゃもんりゅうぞう)も
展示されている。
また国宝の両界種子曼荼羅図のうち、
「金剛界曼荼羅図」が特別公開されていた。
もう一つの「胎蔵界曼荼羅図」は前期に展示。

北大門を出て、塔頭の観智院にもよる。
ここにもすでに御一行様が来られていたが
一緒という訳には行かず。

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観智院では、特別公開中の五大虚空菩薩像を見学。
唐の都、長安の青龍寺金堂のご本尊だったもの。
重要文化財に指定されている。

江戸時代の作、愛染明王も祀られている。

床の間には二羽の荒鷲が
今にも飛びかからんとする様を描いた「鷲の図」、
また襖図の「竹林の図」、
いずれも二刀流宮本武蔵の手によるもの。

駅前に戻り昼食をとり、
夕方の列車の時間までどうしようかと思案。
観光案内所の窓口で相談したところ、
2時間程度では近場しかない。
バスで行くところは時間があてにならない。
結局、親切に教えていただいた中から、
「妙心寺」を訪れることにする。
JR嵯峨野線(山陰線の一部)で花園まで行く。
花園駅から徒歩で5分程度と聞いたが、
確かにその通り。
以前バスできたことがあるが、こういう手もあったかと
得した気分に。
時間も早く遅れることのなく、しかも交通費が安い。

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臨済宗妙心寺派大本山、妙心寺は山内約10万坪とか、
広大な境内にあまたの塔頭。
そう簡単に回れるものではない。
桂春院、退蔵院など数か所の塔頭は
以前訪れたことがある。
今回は特別公開中の「大法院」に立ち寄る。
「且坐喫茶(しゃざきっさ)」の大法院である。
松代藩主だった真田信之(真田幸村の兄)の菩提寺。
庭は「露地庭園」と呼ばれている。
庭を眺めながら抹茶をいただく。
時の過ぎるのをしばし忘れさせてくれる。

今回の旅の締めくくり。
新幹線に乗り帰途につく。

(仏像の写真は、講談社「日本の仏像」シリーズと、
 淡交社「古都巡礼・京都」シリーズから
借用させていただいた。)
Commented by banban0501 at 2009-11-30 16:35
東寺には 弘法市を目的に なんどかいったことがありますが
仏像には 興味のない若いころでしたから
こんなにたくさんの仏像があるとは しりませんでした

こんど いくときは しっかり 拝観しなければ
もったいないって気がしました

特に講堂はすごいですね

お坊様の説明もきけて ホント よかったですね~

Commented by toshi-watanabe at 2009-12-03 09:41
banbanさん、

東寺は京都駅からすぐなのに、
実はこんなにじっくり見学したのは初めて。
講堂、金堂は素晴らしい仏像さんの宝庫で、
参拝されることをお勧めします。
弘法市、特に年の終わりの市が有名ですね。
今回は、お坊様の説明聞かれてよかったです。

by toshi-watanabe | 2009-11-30 15:55 | 旅行 | Comments(2)

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