晩秋の京都(東寺)
2009年 11月 30日
東寺(教王護国寺)の秋の特別公開は
11月25日が最終日。
南大門から境内に入ったものの、
五重塔、金堂、講堂を見学するための入口は
慶賀門(東門)の近く。
境内をぐるっと回る。
先ず五重塔へ向かう。
京都の象徴として京都市民に親しまれている
東寺の五重塔は国宝。
しばしば災火をうけて復興と修理を繰り返し、
現在の塔は五代目、江戸時代に建立されたもの。
高さは55メートルあり、日本で最高最大の塔である。
10人ばかりのグループを案内されている僧侶の
一行と遭遇する。
さすが読経できたえられたと思われる
よく響く声で説明されている。
これ幸いと五重塔にまつわる貴重な話を聞かせていただく。
内陣と呼ばれる塔の一階部分は、
心柱を大日如来に見立て須弥壇上の四方には
金剛界四仏と脇侍を配す。
四天柱には両界曼荼羅の尊像、四方の壁には、
だいぶ剥げ落ちて見にくくなっているが
真言八祖像が描かれている。
次いで金堂(本堂)へ向かう。
国宝の金堂は桃山時代の建立で入母屋造り。
構造は天竺様と和様を折衷した
雄大な桃山時代の代表的な建築物。
慶長8年豊臣秀頼により再建された。
僧侶が案内の一行も同じコースをとるようで、
金堂でも一緒になり、説明を聴かせていただく。
他の観光客も堂内にいっぱいになり、
僧侶の話が始まると、皆さんシーンとして聞き入っている。
金堂の内部は高い天井が柱で支えられ、
内陣の須弥壇には薬師三尊像が安置されている。
ご本尊の薬師如来、脇侍の日光菩薩、月光菩薩、
台座周囲の十二神将の仏像、いずれも桃山時代に
建立された名品、重要文化財である。
次に向かったのは予定通り、講堂。
室町時代の建立で、入母屋造り。
重要文化財に指定されている。
ここでも例のご一行と一緒。
有難く僧侶の話を拝聴する。
講堂内陣の諸仏には圧倒される。
長大な基壇の上に、大日如来を中心とした五智如来をはじめ、
五菩薩、五大明王、四天王、梵天、帝釈天の二十一体の
仏像が安置されている。
このうち15体の仏像が国宝、5体が重要文化財。
空海自身の構成による密教空間を形作り、
立体曼荼羅と呼ばれている。
昭和の初め、火の不始末により、食堂は焼失。
現在の食堂はその後再建されたもの。
その災火により痛みの激しかった
ご本尊の千手観音像は修復され
現在宝物館に安置されている。
木造漆箔で像高は584.6センチもある。
国宝の兜跋毘沙門天立像(とばつびしゃもんりゅうぞう)も
展示されている。
また国宝の両界種子曼荼羅図のうち、
「金剛界曼荼羅図」が特別公開されていた。
もう一つの「胎蔵界曼荼羅図」は前期に展示。
北大門を出て、塔頭の観智院にもよる。
ここにもすでに御一行様が来られていたが
一緒という訳には行かず。
観智院では、特別公開中の五大虚空菩薩像を見学。
唐の都、長安の青龍寺金堂のご本尊だったもの。
重要文化財に指定されている。
江戸時代の作、愛染明王も祀られている。
床の間には二羽の荒鷲が
今にも飛びかからんとする様を描いた「鷲の図」、
また襖図の「竹林の図」、
いずれも二刀流宮本武蔵の手によるもの。
駅前に戻り昼食をとり、
夕方の列車の時間までどうしようかと思案。
観光案内所の窓口で相談したところ、
2時間程度では近場しかない。
バスで行くところは時間があてにならない。
結局、親切に教えていただいた中から、
「妙心寺」を訪れることにする。
JR嵯峨野線(山陰線の一部)で花園まで行く。
花園駅から徒歩で5分程度と聞いたが、
確かにその通り。
以前バスできたことがあるが、こういう手もあったかと
得した気分に。
時間も早く遅れることのなく、しかも交通費が安い。
臨済宗妙心寺派大本山、妙心寺は山内約10万坪とか、
広大な境内にあまたの塔頭。
そう簡単に回れるものではない。
桂春院、退蔵院など数か所の塔頭は
以前訪れたことがある。
今回は特別公開中の「大法院」に立ち寄る。
「且坐喫茶(しゃざきっさ)」の大法院である。
松代藩主だった真田信之(真田幸村の兄)の菩提寺。
庭は「露地庭園」と呼ばれている。
庭を眺めながら抹茶をいただく。
時の過ぎるのをしばし忘れさせてくれる。
今回の旅の締めくくり。
新幹線に乗り帰途につく。
(仏像の写真は、講談社「日本の仏像」シリーズと、
淡交社「古都巡礼・京都」シリーズから
借用させていただいた。)
仏像には 興味のない若いころでしたから
こんなにたくさんの仏像があるとは しりませんでした
こんど いくときは しっかり 拝観しなければ
もったいないって気がしました
特に講堂はすごいですね
お坊様の説明もきけて ホント よかったですね~
東寺は京都駅からすぐなのに、
実はこんなにじっくり見学したのは初めて。
講堂、金堂は素晴らしい仏像さんの宝庫で、
参拝されることをお勧めします。
弘法市、特に年の終わりの市が有名ですね。
今回は、お坊様の説明聞かれてよかったです。