朝井まかてさんの出世作「恋歌」を読み終える。
講談社文庫、760円+税。
朝井まかてさんの作品は、私にとっては愛読書の範疇。
「まかて」とは面白い名前だが、朝井さんの祖母が、沖縄出身で、新里マカテさん。
祖母の名前をそのまま頂いた、とのこと。
この作品「恋歌」は2013年8月に出版され、
翌2014年に、直木賞を受賞され、一躍文学界で認められ、
その後発表された数多くの作品で各文学賞を受賞されている。
物語は、明治期の歌人・中島歌子を主人公に、
幕末の動乱に否応なく巻き込まれた女性の喪失と再生が描かれている。
中島歌子は歌人であると同時に、
和歌と書を教える私塾「萩の舎(はぎのや)」を主宰し、
当時の若い女性たちを指導した。
一時、生徒が1,000人を数えたこともあったとか。
教え子の中でも名を知られたのが、樋口夏子(後の樋口一葉)、三宅花圃(かほ)など。
最初の序章では、中島歌子が病で入院し、
歌子の自宅で、三宅花圃(本名:龍子・たつこ)と中川澄(すみ)の二人が
歌子から依頼された書類などの整理にあたる場面で始まる。
花圃は三宅雪嶺の夫人。
澄は「萩の舎」に奉仕していた女中だったが、頭がよく、
女執事の役目を果たしていた。
書きつけを目にし、二人で読みながら、中島歌子の若かりし頃の生き様を知ることに。
愈々、本題の中島歌子の物語が始まる。
当時は登世(とせ)という名で、17歳。
父親の中島又右衛門は既に亡く、母親の中島幾(いく)とともに住んでいた。
幾は小石川で宿を営んでいた。
水戸様の上屋敷とは目と鼻の先、御定宿の指定を受けていた。
登世の兄・孝三は父方の叔父の家を継ぐことになり、
幾は登世に婿取りして、宿屋の商いを引き継いでもらおうと算段したが、
宿に偶々泊まった水戸藩の中士で美男の剣士、林忠左衛門以徳(もちのり)に、
登世はすっかり惚れてしまった。
母親は婿取りを諦め、以徳と一緒になるのを認めて、登世を水戸へ送り出す。
ところが、水戸藩は天狗党と諸生党に分かれ、以徳は天狗党の主要メンバー。
1864年、天狗党の乱を起こした罪で、以徳は自害。
登世は以徳の妹・てつとともに2か月間にわたり投獄の憂き目に。
悲惨な牢内での生活に苦しめられた。
本を閉じたくなるような内容となっている。
終章は、中島歌子が60歳で亡くなり、
その後始末をするのが、花圃と澄で、歌子の手記と遺書を目にした。
書評家の大矢博子さんが、丁寧な解説を書かれている。
お薦めの一冊。
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