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再び葉室麟さんの作品である。
「刀伊入寇 ー 藤原隆家の闘い」は3年ほど前に
既に出版されているが、
今回文庫本として新たに出された。

二部構成になっており、
第一部は「龍虎闘乱篇、第二部は「風雲波濤篇」である。
主人公は中関白家の出である公卿の藤原隆家だが、
第一部では、隆家の叔父にあたる藤原道長が
頂点を極めるまでが書かれている。
隆家の姉で中宮の定子(ていし)に仕える女房清少納言も登場。

第65代天皇を退いた花山院(かざんいん)に仕える
闇の集団と隆家はかかわりを持つこととなり、
「刀伊」の事を知る。
「刀伊(とい)」とは、高麗の言葉にて北狄(ほくてき)、
すなわち北の蛮族。
関わりを持った闇の集団の人たちは高麗の北に住む女真族。

第二部では道長の娘で中宮の彰子(しょうし)に仕える
女房紫式部も登場する。
やがて隆家が太宰権師の任を受け九州大宰府へ赴任する。
寛仁三年(1019)、「刀伊の入寇」ご起こる
女真族の一派が50余艘もの大船団で
壱岐・対馬を襲い、さらに筑前に侵攻する。
かって日本にいた刀伊や隆家と刀伊の女性瑠璃との間に生まれ、
今や立派に成長した烏雅もこの一団に。

水軍松浦党の支援も受けrて、
結果としては隆家軍が敵を追いやるが、
大きな被害も蒙る。

縄田一男氏の解説を借りると、
「日本国、危急存亡の秋、真の英雄が立ち向かう!」
時は平安中期、京で心に荒ぶるものを抱いていた
貴公子・藤原隆家は、陰陽師・阿倍晴明から
「あなた様が勝たねば、この国は滅びます」
と告げられる。
叔父・藤原道長との熾烈な政争を経て、
九州大宰府へ赴いた隆家を待っていたのは、
大陸の異民族「刀伊」の襲来だった。
by toshi-watanabe | 2014-05-22 09:51 | 読書ノート | Comments(2)

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葉室麟さんの最新作品「紫匂う」を読み終える。

主人公の澪(みお)は、
黒島藩六万石の勘定方七十五石の三浦佳右衛門の
三女として生まれ、
十八歳の春、郡方五十石の萩蔵太に嫁いで十二年になる。
嫁して三年後に長女、由喜を、
さらに二年ののちに嫡男、小一郎を生した。

ところが澪が十七歳の折りに
だだ一度だけ契りを交わした隣家の幼馴染で、
家の事情で江戸藩邸の側用人となっていた
葛西笙平が突然江戸を離れ、澪の前に姿を現す。

黒島藩を揺るがす政争の嵐の中、
かっての想い人との再会が澪の心を揺らす。
心極流の達人ながら、
凡庸な勤めに留まる蔵太は、
二人の仲を知りながら、手を差し伸べる。

「ひとの生き様はせつないものだな」
という蔵太の淡々とした言葉を聞いて、
澪は思わず口にする。
「わたくしにも迷いがあったように思います。
どうすればひとは迷わずに生きられるのでしょうか」。

蔵太はぽつりと、
「さようなことはわたしにもわからぬ。
ただ、迷ったら、おのれの心に問うてみることだと私は思っている」。

「おのれの心に問うてみる。。。。。。。」
小声で繰りかえし、澪は思いをめぐらす。
「知恵を働かせようとすれば、迷いは深まるばかりだ。
しかし、おのれにとってもっとも大切だと思うものを
心は寸分違わず知っている、とわたしは信じておる」。
蔵太の答えが澪の胸にしみ、
わからぬこと、迷ったことは、わが心に問えばいい。
その通りだ、と澪は思った。

「紫草が花をつけているようだな」
蔵太に不意に告げられて、澪は庭に目を落とした。
庭の隅に小さな白い花が咲いている。
屋敷の門のそばにも、この白い花を見せたくて
蔵太が紫草の種をまいたのだが、澪は知らずに雑草と勘違いして
抜いていたことも。

蔵太のまいた紫草の花を見たいと願い、
思いをこめれば願いはかなうはずと、澪は涙ぐんだ。

紫草(ムラサキ)は古来から知られ、
万葉集にも歌われている。
薬草として、そして染料として使われる。
助六で名高い江戸紫も紫草を原料として染め上げられたもの。

葉室さんらしい、きめ細かな作品に仕上げられている傑作である。
by toshi-watanabe | 2014-05-17 09:22 | 読書ノート | Comments(2)

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以前日経新聞に連載された「等伯」以来、
安部龍太郎さんのファンである。
その安部龍太郎さんの著書「葉隠物語」を読み終える。
この作品は3年前に刊行されているが、
今回、日経文芸文庫として発行された。

「武士道と云ふは、死ぬことと見つけたり」で知られるが、
葉隠については詳しくは知らない。
この著書により、葉隠のことが多少は分かるのではと読み始める。

「序章」は、理不尽な理由で浪人を命じられた
佐賀鍋島藩の祐筆、田代陣基(つらもと)は、
切腹を決意するが、先々代藩主の仕えた曲者、
山本常朝の住む庵を訪ねるところから始まる。
武士として世に恥じぬ生き方はと問われた陣基は、
常朝の話を聞くうちに次第に強い衝撃を受け、
目が覚める思いを抱き、常朝に弟子入りする。

第1話は「沖田畷(なわて)」、
葉隠の原文、
「我は殿の一人被官なり、御懇ろにあらうも、
御情なくあらうも、御存じなさるまいも、それには會て構はず、
常住御恩の忝なき事を骨髄に徹し、涙を流して
大切に存じ奉るまでなり。」が掲げられ、
物語が始まる。
天正十二年(1584)、鍋島藩の藩祖となる
鍋島直茂は肥前一帯を治めていた龍造寺孝信の配下で、
築後柳川城を預かる身分だった。
北進を目論む島津軍との沖田畷での合戦の事が書かれている。
この戦で龍造寺孝信は討死、
佐賀三十五万石を立ち上げるための苦闘が始まる。

時代は移り、直茂が隠居し、直茂の世子勝茂の時代に、
竜造寺家の本家が途絶え、
鍋島家げ名実ともに佐賀藩の藩主となる。
更に時代が流れ、勝茂のあとを継ぐのが光茂。
光茂が藩主として江戸へ参勤するにあたり、
小姓見習いの一人として選ばれたのが、
数え年九歳の山本松亀(のちの常朝)である。
この鍋島光茂に五十年あまり曲者として仕えたのが、
この物語の主人公、山本常朝である。

この物語は第二十三話まで続く。
そして終章には「葉隠誕生」として、
「葉隠」の巻頭言(原文)が記されている。
「この始終十一巻は追って火中すべし。
世上の批判、諸士の邪正、推量、風俗等にて、
只自分の後学に覚え居られ候を、噺のままに書き付け
候へば、他見の末にては遺恨悪事にもなるべく候間、
堅く火中仕るべき由、返すがえす御申し候なり。」

老い先短くなった常朝は、
自分の思いや体験談を口述し、
弟子の陣基が筆記して行く。
出だしは、
「武士道というは死ぬことと見付けたり。
生か死かという場に立たされたなら、
迷わず死ぬ方につくと決めておくべきである。
別に難しいことではない。
覚悟を決めて進めばよいだけの話である。」

第一巻は、武道の心得、
第二巻は奉公人の心得、
第三巻は鍋島直茂の頃の逸話集、
第四巻は初代勝茂、
第五巻は二代光茂の頃の覚書、
第九巻までは鍋島家の家臣たちの逸話、
第十巻は世上の噂や諸家の由緒など。
十一巻をすべて完成し、
名前をどうするか色々と考えた末、「葉隠」とする。

全十一巻を藩主宗茂に届ける。
宗茂はこれを二日間で読破し大変喜ばれる。
ところが陣基は写本を一部作成しており、
常朝に話し了解を得る。
この写本が残ったおかげで、
現在でも、この葉隠を読むことができる。
by toshi-watanabe | 2014-05-09 14:57 | 読書ノート | Comments(2)

新緑の倉渕で咲く草花たち。

翁草(オキナグサ)も花の時期をすぎる。

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都忘れ。

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色とりどりの芝桜。

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日本菫(スミレ)やエイザンスミレなど。

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碇草(イカリソウ)。

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日本桜草。

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鈴蘭(スズラン)、花韮(ハナニラ)、深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)。

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長実雛罌粟(ナガミヒナゲシ)、スノーフレークなど。

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稚児百合(チゴユリ)など。

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近くの農家で、先代萩の苗を分けていただく。
「蛍の里」では、水仙や水芭蕉が咲いている。

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深山苧環(ミヤマオダマキ)、紫蘭(シラン)、クリスマスローズなど。

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踊子草と白鷺苔(シラサギゴケ)。

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のんびりと丸一週間過ごし、5月4日に帰宅。
高速道路も大分渋滞し始めている。
by toshi-watanabe | 2014-05-07 10:30 | 季節 | Comments(0)

新緑の群馬倉渕へ

GW前半の始まった、4月27日、
一ヵ月ぶりに群馬倉渕へ出かける。
途中車の渋滞もほとんどなく、予定通り現地到着。
国道4号線、草津街道沿いに新たに道の駅が完成。
「くらぶち小栗の里」という。
小栗上野介にちなんで名付けたようだ。

前日の26日午後オープンしたばかり。
道路に面した旧村役場(現在は高崎市倉渕支所)の横の
空き地に建てられたもので、駐車場も満杯。
地元で朝どりの野菜が並んでおり、買い求める。
小栗上野介に関する展示や、
石仏めぐりの案内などが公開されている。

山里は一気に新緑が進み、緑がきれいである。
山桜が新緑に映えて素晴らしい。

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山吹と白花山吹。

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花蘇芳(ハナズオウ)。

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花桃(照手姫)。

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雪柳。

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花筏)ハナイカダ)。

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藤。

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木通(あけび)。

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石楠花(シャクナゲ)。

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満天星躑躅(ドウダンツツジ)。

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空木(ウツギ)。

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花桃。

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花びらが道路を埋め尽くしている。

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三つ葉躑躅(ミツバツツジ)。

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紅葉傘(現地では藤吉郎と呼ぶ)、コゴメ。独活(ウド)、ワラビなど。

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蝮草(マムシグサ)。

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延齢草(エンレイソウ)。

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一人静。

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。。。。。。続く
by toshi-watanabe | 2014-05-07 09:57 | 季節 | Comments(2)