池井戸 潤著「銀翼のイカロス」を読む

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池井戸潤さんの「銀翼のイカロス」、文庫本が出たので、

早速買い求める。

文春文庫、760円+税。

ご存知、半沢直樹シリーズ、一気に読み切る。

文学的にすぐれているとは言えないが、読み物として実に面白い。

あくまでも小説の世界であるものの、政治家と金、

政界と金融界との癒着、銀行内の派閥抗争など、

実際にあるように見える。

出向先から復帰した半沢直樹は東京中央銀行の営業第二部次長。

上司である営業第二部長の内藤寛から呼び出され、

中野渡謙頭取の意向で、帝国航空の担当を命じられる。

業績不振に陥った大手企業は本来審査部の担当で、

長らく業績不振を続け破綻寸前の帝国航空は

当然審査部の重要担当先だったのだが、業績悪化の歯止めがかからず、

役員会で指摘され、審査部は頭取の信頼を損ない、

営業第二部、しかも半沢を指名しての担当替えとなる。

帝国航空は小説に登場する架空の航空会社だが、どこがモデルなのか、

この小説を読んでみれば推察できる。

民営化してからも、親方日の丸体質はそのまま、

経営の合理化が全く進まず、業績不振に陥ったのも当然の成り行き。

半沢チームは修正再興企画の骨子をまとめて、帝国航空の

担当者と打ち合わせの場を持ち、再建計画に織り込んで

欲しいを話を進める。

丁度同時期に、今までの与党が総選挙で敗れ、新たな政権が誕生。

何年か前まで民放の女子アナだった白井亜希子が

国土交通大臣に任命される、大抜擢だ。

全くの素人大臣だが、所属する派閥の領袖の後押しがあったお陰であり、

新しい内閣の目玉的な存在でもある。

独自のタスクフォースを立ち上げ、従来の再建計画を廃し、

新たな帝国航空の再建案を策定すると、白井大臣は記者団を前にぶち上げる。

この発言と呼応するかのように、突然金融庁のヒアリングの実施予定が

東京中央銀行にもたらされる。

ヒアリングのテーマは、帝国航空への追加融資と再建計画の実現性など、

今まで東京中央銀行が行ってきたことに関する審査。

過去のことなので、本来なら前任者の審査部の次長が対応すべきなのだが、

営業第2部次長が対応する。

金融庁査察官の中心メンバーは例の黒崎駿一である。

テレビで黒崎査察官を演じた片岡愛之助のイメージが強烈で、

黒崎イコール愛之助と、つい思い描いてしまう。

作者の池井戸さんも同様な思いで、

この部分を書かれたのではないだろうか。

再び黒崎駿一と半沢直樹の対決場面が続く。

旧産業中央銀行と旧東京第一銀行が合併して

東京中央銀行として誕生したものだが、

出身行同士の派閥争いがまだ続いているのが現状。

また旧東京第一銀行には、可成りの不良債権があり、

整理したはずだったのだが、闇に隠された部分があり、

今回のごたごたの起因となる。

「帝国航空タスクフォース」の策定の目玉は、

帝国航空と取引のある銀行の債権放棄を迫るもの。

よく調査せず、いたって安易な策である。

銀行の立場から債権放棄に頼らない帝国航空再建を願い、

半沢次長は躍起に動き回る。

行内では入社同期で仲の良い、渡真利忍(融資部企画グループ次長)や

近藤直弼(広報部次長)が良き相談相手に。

トミさんと呼ばれる検査部部長代理の富岡義則が半沢を大いに助ける。

トミさんはこのシリーズの以前の作品にも登場している。

半沢直樹が政治家を相手に戦う図である。

頭取にまで政界の大物から圧力がかかるが屈せず、

最終的には、銀行側が債権放棄を拒絶するところで終わる。

とはいえ、帝国航空の再建はまだスタートラインにもついていない。

この物語の続きは?

因みに、モデルとなった実在の航空会社の場合には、救済するために、

メガバンクが合わせて4千億円近い債権放棄を実施している。

まだテレビ化されていないと思うのだが、

いずれはテレビドラマとなって放映されるだろう。

楽しみである。







Commented by banban0501 at 2017-09-14 12:09
文庫でるのを楽しみにまっていました

面白そう!!

池井戸さんの小説はモデルがあるとおもいますので
イメージしながら読めるのが いいですね

J●L の日の丸体制
山崎豊子さんが 墜落事故をモデルに描いた
ころと 変わりないのかと思うと 残念ですね
Commented by toshi-watanabe at 2017-09-15 08:36
banbanさん、
早速のコメントを有難うございます。
今書店に行くと、この文庫本が山積み。
気軽に読めるのがいいです。

山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」は夢中になって読みました。
すごい迫力のある小説でした。
当時のJALは本当にひどかったです。

現在は、大西賢会長、植木義晴(片岡千恵蔵の子息)社長の元、合理化も進み、業績も上がっています。
by toshi-watanabe | 2017-09-14 08:30 | 読書ノート | Comments(2)