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「没後20年 司馬遼太郎展」を見学する


横浜そごう美術館で開催中の「没我20年 司馬遼太郎展」を昨日見学する。
副題として「21世紀”未来の街角”で」。
この特別展は全国を巡回しているようだが、
首都圏での開催は、現在開催中の横浜だけとのこと。
また「横浜開港158周年」にもあたり、横浜関連のコーナーもある。

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展示は、「戦国動乱 16世紀の街角」に始まり、
「維新回天 19世紀の街角」、そして「裸眼の思索 21世紀の街角」と
大きな時代の流れに沿っている。
「あなたが今歩いている21世紀とは、どんな世の中でしょう」と
問いかけているかのようである。

関東大震災が起きた大正12年(1923)に大阪で生まれた
司馬遼太郎さんは平成8年(1996)に72歳で亡くなられている。
秀吉の時代の伊賀忍者を主人公に描いた
「梟の城」が昭和35年(1960)(私が社会人になった年)に
「直木賞」を受賞される。
その後約36年間、戦国時代から明治に至る時代に登場した
人物に光を当てて数々の作品を書かれてきた。

初版本が並べられ、作品のテーマとなっている人物や時代背景に関連する
資料が作品の自筆原稿と共に見る事が出来る。
因みに、幻の自筆原稿と言われる「竜馬がゆく」の全自筆原稿と
「坂の上の雲」の欠落自筆原稿が最近見つかり、
「司馬遼太郎記念館」で期日限定で公開されると報じられている。
またいくつかの作品の挿絵の原画も見られる。
司馬遼太郎記念館は東大阪市にあり、安藤忠雄さんの設計による。

司馬遼太郎さんは、資料集めへの執念がすさまじく、
一度に何千万円単位という巨額を投じて買い集めたと言われる。
司馬さんが資料を集め始めると、関連する古書が業界から払底したという逸話。
同じ題材の戯曲を書いていた井上ひさしさんが古書店に出かけたところ、
資料がすべてなかったという逸話もある。

数多くの作品の中から、皆さんもよくご存じのものを列記すると、

「竜馬がゆく」 坂本龍馬と中岡慎太郎(坂本龍馬が世に知られるきっかけとなる)
「燃えよ剣」 土方歳三
「功名が辻」 山内一豊と妻の千代
「国盗り物語」 斎藤道三、織田信長、明智光秀
「関ケ原」 島左近 石田三成 徳川家康(屏風絵巻が展示)
「峠」 長岡藩の河井継之助
「坂の上の雲」 秋山好古・真之兄弟と正岡子規
「世に棲む日日」 吉田松陰 高杉晋作
「城塞」 大坂冬の陣 大坂夏の陣(屏風絵巻が展示)
「花神」 村田蔵六のちの大村益次郎
「覇王の家」 徳川家康
「播磨灘物語」 黒田官兵衛のちの黒田如水
「翔ぶが如く」 西郷隆盛 大久保利通(西南戦争)
「胡蝶の夢」 司馬凌海 松本良順 関寛斎
「菜の花の沖」 高田屋嘉兵衛
「箱根の坂」 北条早雲

いずれも司馬さん好みの人物なのだろう。

「歴史を紀行する」「街道をゆく」など、
散歩・街道シリーズも数多くの作品を書かれている。
横浜も取り上げている。

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海外もニューヨークや欧州にも。
台湾では、学徒出陣の同期生という縁もあって、
元台湾総統の李登輝さんが、現地を案内されている。

子供たちのために書かれた「二十一世紀に生きる君たちへ」が
全文パネルになって展示されている。
胸を打つ、非常に素晴らしい文章である。

(会場内は撮影禁止)






Commented by Jun at 2017-07-20 23:32 x
司馬遼太郎、大好きなんです。
私も帰国していたら行きたかったです。

帰国する度に何か買ってくるのですが、文庫本でもあまり冊数が多いのは遠慮して、だから「坂の上の雲」などはまだ読んでません(義兄が自分のを「持ってけ」と言ってくれたんですが。)

一番好きなのはやっぱり「花神」かな。それから「世に棲む日々」。

彼のエッセイも好きで、買ってきたものは同じ本を何度も繰り返し読んでいます。(昔文芸春秋に連載してた時にも良く読んでいました。)
一度しか行ってないアメリカを良く見てたり、東南アジアの事もベトナム戦争のことも、何十年も経った今読むと、「わかってたなあ~」と感心してしまうことが多々あります。
資料集めの事は知りませんでした(確かに何を書くにも良く調べてるとは思ってましたが)。興味深い逸話ですね。

ドナルド・キーン氏との対談も面白かったです。

そうそう、坂本龍馬は司馬氏が書くまで殆ど知られてなかったんだそうですね。これを後で知ってびっくりでした。
Commented by toshi-watanabe at 2017-07-21 08:56
Junさん、
コメントをいただき有難うございます。
司馬遼太郎ファンでしたか。
歴史上登場した人物にスポットを当てて、見事にその時代を描き切った司馬さんでした。
蔵書の数がすごいらしいです。
今も多くの作品が書店に並んでいます。
Commented by 若松若水 at 2017-08-22 00:25 x
私も司馬遼太郎のファンです。
拙ブログの8月20日付け記事で
「司馬遼太郎と福井の寿司屋」という話を書きました。
司馬の器の大きさが感じられる話だと思います。
ご高覧いただければ光栄です。
Commented by toshi-watanabe at 2017-08-25 09:23
若松若水 様
コメントをいただき有難うございます。
司馬遼太郎の街道シリーズはどれも、読んでいて本当に楽しいです。
貴ブログ、拝見させていただきました。
「越前の諸道」でしたでしょうか、福井が登場するのは。
by toshi-watanabe | 2017-07-01 11:08 | 一般 | Comments(4)

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