人気ブログランキング | 話題のタグを見る

内田 康夫著「孤道」を読む

内田 康夫著「孤道」を読む_d0037233_09184617.jpg


最近出版された内田康夫さんの「孤道」を読む。

お馴染みの浅見光彦名探偵が登場する。

内田さんの新作著書は、3年前の2014年の7月に出版された、

「遺譜」が最後で、久しぶりの作品を手にした。

因みに「遺譜」をもって、浅見光彦シリーズは

幕を閉じたのだと思っていた。

実はこの作品「孤道」、毎日新聞に2014124日から

連載されていたのだが、2015年夏、内田さんが脳梗塞で倒れ、

命はとりとめたものの左半身のマヒが残った。

そのために毎日新聞の連載は2015812日を最後に、

未完のままになっていた。

その後リハビリに励まれたが、現在に至るも

思うようにいかず、小説を続けることは困難に。

内田さんは筆を折る決意をされたようだ。

未完のまま、今回単行本として出版され、

未だ世に出られずにいる才能のある方に完結を託す決断をされた。

関係者が共同で「孤道」完結プロジェクトを発足させた。

この書の終わりには、

「孤道」完結編の募集要項が載っている。

締め切りは20184月末日である。


熊野古道を舞台に繰り広げる、壮大な歴史ロマンミステリー。

実際に起きた事件などを軸に、筋立ても大変興味深い。

物語が盛り上がったところで、未完とは実に残念だ。

大毎新聞に入社した鳥羽映佑は和歌山支局、そして

和歌山県田辺市の田辺通信部勤務となり、暇を持て余している。

熊野古道の「箸折峠」にある牛馬童子像の首がのこぎりで切られて

持ち去られるという事件が起きる。

熊野古道でも人気スポットの一つで、牛と馬の背に一体のように

跨った法衣姿の童子像、高さ60センチ足らずだが、

とりわけ女性ファンに人気がある。

内田 康夫著「孤道」を読む_d0037233_09325960.jpg

この特ダネをものにした鳥羽は第一報を支局に届け、

全国紙にも掲載され報道される。

この特ダネを知らせてくれたのが、田辺市役所の鈴木真代である。

彼女は市役所に勤めながら観光ガイドも行い、

新米の鳥羽の面倒を見て、色々な情報源となっている。

ところが、真代の主人、鈴木義弘が大阪天満橋近くで殺害される。

八軒家殺人事件と呼ばれる。

殺害された土地は、熊野古道の出発点の一つ。

鈴木義弘は、妻の真代とともに田辺市役所に勤めていたのだが、

8年前に父親が急逝したために、海南市の実家に戻り、

家業である不動産業を継いでいる。

鈴木家はかっては、海南市や和歌山市付近ばかりでなく、

大阪の市街地にもかなりの土地を持っていたらしい。

全国に散らばる鈴木姓の御本家になるとか。

そこへ登場するのが、浅見光彦である。

浅見は鳥羽の大学の先輩であり、旧知の間柄。

この後、牛馬童子像の首は発見されるが、

誰が何のために首を持ち去ったのかは不明。

また八軒家殺人事件も未解決のまま。

藤原鎌足と阿武山古墳の話などが出てくる。

古墳に興味のある方には面白い読み物だろう。

中途半端な読書ノートになってしまった。

内田康夫さんのご回復を切に祈るものである。

できれば、内田さんにより

この作品が完結されればと願うばかり。





by toshi-watanabe | 2017-06-11 09:19 | 読書ノート | Comments(0)

日々見たこと、 感じたこと、気づいたことをメモする


by toshi-watanabe