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池井戸 潤著「アキラとあきら」を読み終える

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久々に、池井戸潤さんの作品を読み終える。

「アキラとあきら」(徳間文庫、\1000+税)である。

現在書店に行くと、山積され、大々的に宣伝されている。

実は、この作品200612月号から20094月号まで、

「問題小説」に連載されていたもので、大幅に加筆、修正し、

今回単行本として出版された、オリジナル文庫である。

池井戸ファンにとっては待望の作品と言える。 705頁もの大作である。

本来は直木賞受賞作「下町のロケット」の前に書かれていた作品。

題名にある通り、二人のあきらが主人公。

同い年の二人、1人は東伊豆にある零細工場の息子、山崎瑛(やまざきあきら)、

もう1人は大手海運会社、東海郵船の御曹司、皆堂彬(かいどうあきら)。

最初の部分は二人がそれぞれの環境の中、

小学高学年から大学に進学するまでの物語が進行する。

その間唯一度、二人がすれ違う場面があるが、二人の間には全く接点はない。

山崎瑛の父親孝造は下請けの町工場を営んでいたが、

不良品の付けを回され、経営が立ち行かなくなる。

取引銀行からの融資も断られ、夜逃げ同然で母親の実家へ。

大学進学をあきらめていた瑛だが、父親の勧めもあり進学する。

階堂彬の祖父雅恒は東海郵船の事業を拡大し、長男の一磨が事業を継ぐのだが、

雅恒の遺志により、本体の海運部門を一磨が引き継ぎ、

一磨の次の弟、晋が東海商会、そして末弟の崇が東海観光を

それぞれ分社化して経営を任せられる。

一磨は彬の父親であり、晋と崇は叔父にあたる。

彬は本来であれば、長男として家業を引き継ぐ立場なのだが、

その気は全くない。

山崎瑛と階堂彬はともに、東京大学に合格、入学する。

さて話は一気に二人が大学卒業の時期、就職活動の場面に。

二人は同じ大学で、優秀な成績を上げている。

ご存知の半沢直樹は、この作品には登場しないが、

半沢直樹と言えば、産業中央銀行。

その産業中央銀行に、二人のあきらは就職する。

二人とも、金融業へのこだわりがあり、

敢えてトップ銀行である産業中央銀行を就職先として決めた。

その年、産業中央銀行に入行した新卒の新入社員は約300名。

恒例の三週間に及ぶ新人研修が行われる。

その目玉が、最後の五日間に行われる融資戦略研修。

新入行員が三人一組になって、実戦に近い取引先データを元に、

与信判断で優劣を競う。

百組ものチームが二日間にわたり検討し、提出される稟議書を審査し、

上位の二チームを選び出す。

選ばれた二チームが本店の講堂で行われるファイナルに登場するのだが、

山崎瑛のチームと階堂彬のチームである。

この場面が何とも面白い。

この物語で、二人のあきらの活躍を示唆するかの如く。

経営感覚のない叔父の二人がロイヤルマリン下田というリゾート施設を

立ち上げたものの、バブルが崩壊する時期にもあたり、

赤字が続き、事業として全く成り立たない状況に。

悪いことに、東海郵船は債務保証をしている。

ところが一磨が倒れ、長男の彬は事業を継ぐ意思が全くなく、

次男の龍馬が継ぐことになるものの、まだ経験も浅く、経営センスにも欠ける。

最終的には、彬が銀行を辞めて、東海郵船グループの立ち直りのために、

東海郵船の社長に就くのだが、銀行と企業とのやり取りが

池井戸流の筋書きで、物語に引き込まれてしまう。

この作品は、すでにドラマ化が決定しているとか。

ドラマで観るのも楽しみである。





Commented by banban0501 at 2017-06-02 13:45
読みたいな・・と思っていた作品
文庫で読めるのですね

ご紹介ありがとうございます

池井戸流の切込み しかけ 楽しいですね
Commented by Jun at 2017-06-02 20:30 x
相変わらずすごい読書量ですね。

この写真(絵)は本のカバー表紙ですか?
一瞬少女漫画かと思いました。
今はこういうのが普通なんでしょうか・・・・
Commented by toshi-watanabe at 2017-06-03 08:46
banbanさん、
コメントをいただき有難うございます。
「下町のロケット」以来、すっかり池井戸ファンになってしまいました。
文庫版ですが、結構読みでがあります。
Commented by toshi-watanabe at 2017-06-03 08:51
Junさん、
この度はたくさんのコメントをいただき有難うございます。
1枚目の写真は、表紙カバーです。
2枚目の写真は、栞の表と裏。
若者向けを狙ったのでしょうか。
こういう装幀の絵、結構見かけます。
by toshi-watanabe | 2017-06-02 10:36 | 読書ノート | Comments(4)