特別展「奈良西大寺・叡尊と一門の名宝展」を見学する

4月18日、日本橋室町の三井記念美術館にて開催中の
特別展「奈良西大寺・叡尊と一門の名宝展」を見学に出かける。
6月11日まで、東京で開催された後、
7月29日から9月24日まで、大阪のあべのハルカス美術館にて、
そして10月20日から12月10日まで、山口の山口県立美術館にて
それぞれ開催予定。

さて18日の朝、前夜から明け方まで、可成り雨風が強かったようだが、
朝9時過ぎに家を出るころには、すっかり青空が広がる。
電車に乗ったのだが、田園都市線に事故か何かあったらしく、
途中からのろのろ運転が始まる。
いくつかの駅ではしばらく動かずの状態が続き、
半蔵門線内も同様のノロノロ運転、結局目的地に着いたのは11時過ぎ。
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パンフレットの案内をそのまま転記させていただく。

西大寺は、奈良時代の後期に、女帝孝謙上皇(後に称徳天皇)によって
発願され、平城京の東大寺に相対する位置に建立された西の大寺です。
平安時代には疲弊しますが、鎌倉時代の中頃に叡尊(興正菩薩)という
高僧が、密教と戒律を柱とする宗教活動さらには社会事業を広く
展開して、その一門は大きく発展しました。

本展覧会は、西大寺創建1,250年を記念する展覧会です。
展覧会の構成は、まず昨年国宝に指定された興生菩薩像をはじめ
優れた彫刻・絵画・工芸品・典籍など総本山西大寺の寺宝を展示します。
次にその展開として、元興寺・浄瑠璃寺・白毫寺・岩船寺・
般若寺・不退寺・法華寺など著名な一門の古刹が所蔵する
貴重な宝物が多数出品されます。
そして最後に真言律宗のひろがりが分かる地方の寺院、
三井記念美術館では東国の鎌倉極楽寺、さらに稱名寺などの
名宝を一堂に展観いたします。

出展されたものの中からいくつか紹介したい。

国宝「金銅透彫舎利容器」
鎌倉時代、金銅製、高さは37.0㎝。
外部を透かし彫りの燈籠形とした舎利容器で、内部に舎利瓶を納める。
燈籠形の頂上には水晶入りの火焔宝珠形舎利容器を置き、屋根は六花形で
雲龍と蓮華唐草紋を肉薄に鋤彫りし、火袋は6間に分かち、
最上段を透かし彫りの欄間とし、中断は透かし彫りした花菱形の高欄を付け
吹玉を連ねた瓔珞を垂らす。
下段は雲龍や牡丹・蓮華などの草花文を肉薄に透かし彫りし、
株の格狭間には獅子・牡丹を透かし彫りする。
内部の舎利瓶は、蓋付きで中に金剛界大日如来を安置する。


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国宝「興生菩薩坐像」
鎌倉時代、木造彩色、像高は91.0㎝、作者は善春。
西大寺を中興し南都律宗の振興に寄与した興生菩薩・叡尊の精神性を、
見事なまでに写し伝えた肖像である。
本像は叡尊を慕う門弟たちが合力で造立した叡尊80歳の寿像だある。
垂れさがったた眉毛に窪んだ眼孔、大きく丸い鼻に結んだ口元の迫真的な相貌表現は、
まさに叡尊の真を写したと言っても過言ではない。


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重要文化財「愛染明王坐像」
鎌倉時代、木造彩色、像高は31.8㎝、愛染堂安置。
愛染堂の厨子内に安置される秘仏愛染明王坐像である。
宝瓶に支えられた大円相内の赤色蓮華座上に坐しており、
三目六臂で瞋目、頭髪は焔髪を逆立て、
獅子冠を載せ、獅子頭に五鈷鈎を置く。
檜材寄木造、玉眼嵌入で、截金彩色をはじめ持仏・装身具ともに
造像当初のままを伝えている。

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国宝「月輪牡丹蒔絵経箱」
鎌倉時代、蒔絵、縦32.7㎝、横20.3㎝、高さは14.0㎝。
「金光明最勝王経」を納める長方形の二段重ねの経箱である。
蓋には緩やかな甲盛りがあり、金の研出蒔絵の技法を用いて、
蓮華座の上に大きく月輪をあらわし、輪郭には細かい粉を密に蒔くき、
月輪の内側には荒目に粉を疎らに蒔いて、強弱を表現する。
総体黒漆塗で、側面から蓋鬘にかけて牡丹の花枝を大きく描き、
蓋裏には蝶々をあらわす。

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重要文化財「文殊菩薩騎獅座像(及び四侍者像)」
鎌倉時代、木造彩色、像高82.5㎝、本堂安置。
右手に宝剣、左手には経巻を載せた蓮華茎を持ち、
獅子の背中の蓮華座上に結跏趺坐して騎乗する文殊菩薩像である。
高く髻を結い、肉身は金泥による紛溜塗とし、
衣は盛上彩色にによって華麗ンいあらわされ、衣文のしのぎも高く、
総じて鎌倉時代後期の装飾性が見られる。
造像仏師の名は明らかでない。
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重要文化財「大黒天立像」
鎌倉時代、木造彩色、像高は82.7㎝。
頭に烏帽子を被り、袴姿で左肩に大きな袋を背負い、
右手の拳を握って腰に当てて、草鞋を履いて直立する姿に亞ラわされる。
わが国では鎌倉時代以降、厨房神・財神として祀られる場合が多い。
像内には木造大黒天の小像他の納入品が納められていた。


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重要文化財「聖徳太子立像(孝養像)」
鎌倉時代、木造彩色、玉眼、像高は119.7㎝、元興寺蔵。
父用明天皇の病気平癒を祈る16歳の聖徳太子の姿を
あらわした孝養太子像。
像内納入品中の文書に、木像を造った善春以下9人の仏師と
11人の絵仏師の名が記されている。
1268年(文永5年9の作。

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まだまだ数多くの仏像その他が出展されている。

愛染明王像について追記:
上記の愛染明王坐像は秘仏で、西大寺で参観できるのは、
1月15日~2月4日と10月25日~11月15日の期間に限定されている。
普段愛染堂で観られるのは御前立像の愛染明王坐像(江戸時代の作)である。
西大寺にはもう一体、鎌倉時代の作で、重要文化財の愛染明王坐像が
安置されていたのだが、現在は奈良国立博物館が保管している。
京都高雄の神護寺にも鎌倉時代の作で重要文化財、愛染明王坐像が
安置されていたのだが、現在は東京国立博物館が保管している。


Commented by moriann at 2017-04-20 17:45
仏像のことは良くわかりませんが、なんとも言えない気品のあるお顔 表情 指の先 着衣の繊細さ・・どれもこれも素晴らしいしか言いようがないすごいです 写真でこれですから実物はさぞさぞ・・芸術の力は何百年前と変わってない いや昔のほうがもっともっと優れてたのかも?って感心させられます
Commented by toshi-watanabe at 2017-04-21 08:49
moriannさん、
コメントを有難うございます。
国宝或いは重要文化財に指定されている仏像ですので、たんなる信仰の対象としてばかりでなく、芸術として一級品ということでしょうね。
寺院を訪れて、直接拝観すると更にその素晴らしさを感じます。
by toshi-watanabe | 2017-04-19 15:59 | 寺院・仏像 | Comments(2)