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安部 龍太郎著「家康」第一巻(自立篇)を読む

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安部龍太郎の最新作「家康」第一巻(自立篇)を読み終える。

徳川家康は1616年に亡くなっており、

家康没後400年記念として刊行される。

第一巻の内容は6章からなっている。

1章: 桶狭間

2章: 清洲同盟

3章: 信康の婚礼

4章: 宿敵武田

5章: 天下の争乱

6章: 三方ヶ原

本書は桶狭間から三方ヶ原までの時代をカバーしている。

今川家に人質のような暮らしを強いられて12年、

松平元康は19歳、織田信長との合戦が始まり、

今川義元軍の先陣として、桶狭間の戦いに初陣を果たす。

今川義元は討たれ、元康は信長との同盟を決意する。

清洲同盟である。

永禄6年(1563)、信長は長女の徳姫と元康の長男、竹千代(信康)

との縁組を元康に求める。

その年、今川義元が付けた諱(いみな)の元康を改めて、家康を名乗る。

3年後の永禄9年(1566)には、徳川姓を名乗る。

徳川家康の誕生である。

その後三河、遠江と家康は版図を広げて行くものの、

強大な軍力を有する武田信玄が立ちはだかる。

信玄との壮絶な戦いが続く。

天下統一を狙う信長も、朝倉義景・浅井長政と対立し、

豪族や本願寺そして比叡山とも敵対し、

家康の応援もままならない状況にある。

家康は信長の命を受けて派遣された、わずかな援軍とともに、

武田信玄と戦うのだが、信玄の圧倒的な戦力と策略に

敢え無く敗れ、千人余りの兵士を失う。

三方ヶ原の戦いである。

安部龍太郎さんは、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、

活躍した絵師の生涯を描いた「等伯」で直木賞を受賞されている。

数多く手掛けて来られた戦国時代小説の

仕上げと位置付けて、徳川家康を取り上げることを決意される。

安部さんはこのように語られている。

「徳川家康は戦国という乱世を終わらせ、250年以上に及ぶ

 平和を実現させた。

 その偉業はなぜ達成できたのか、平和を維持する仕掛けとは

 何だったのか、さらに家康の思いの本質とはどういうものか、

 といった点に興味を抱きました。」

物語の始まりは今川義元が織田信長に打たれた桶狭間の戦い。

「名門・今川家の人質だった家康は古い価値観の中で育ったが、

 信長との出会いで新しい感覚を持った。

 桶狭間が家康にとって戦国時代の始まりだった。」

家康の祖母の源応院(尼)、母の於大といった女性たちも存在感がある。

「儒教が広まった江戸時代の女性は良妻賢母タイプが求められたが、

 戦国時代はアグレッシブで、近年の研究では戦国武将の金庫番を

 務めていたとの説もある。

 能力を生かし、独自の人脈を築いていたともいわれ、

 むしろ現代の女性に近いのではないか。」

日本の戦国時代は世界の大航海時代。

「貿易と外交は大きなテーマで、当然目配りしなくてはいけない。」

「信長・秀吉は重商主義・中央集権を志向したのに対し、

 家康は農本主義・地方分権へと向かった。」

今後7年以上かけ全5巻の予定とのこと。

「家康は我々と同じような悩みを抱えながら、

 志を強く持ち課題を一歩ずつ乗り越えた。」

「そうした偉大なる凡人と評する武将とじっくり付き合う。」

大作のこれからが楽しみである。


by toshi-watanabe | 2017-01-31 14:22 | 読書ノート | Comments(0)