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宇江佐 真理著「うめ婆行状記」を読み終える

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昨年11月7日がんのため満66歳で亡くなられた、
宇江佐真理さんの遺作にして最後の長編時代小説
「うめ婆行状記」を読み終える。

朝日新聞夕刊に、本年1月12日から連載が始まり、
故人の遺志により3月15日を最後に未完のまま終える。
新聞で読まれた方も多いかと思う。
人生の哀歓、夫婦の情愛、家族に絆が綴られている
宇江佐文学の最高傑作だろう。
早くも朝日新聞出版から単行本として出版された。

場面は江戸時代、主人公のうめは商家伏見屋の娘、
望まれて北町奉行の同心、霧降三太夫の妻になった。
伏見屋は大伝馬町の酢・醤油問屋である。
二男二女に恵まれ、ひたすら夫や舅姑に仕えてくらして
来たものの、うめは婚家の窮屈な暮らしに
息苦しく感じていた。
子供たちを育てあげ、舅姑や夫を彼岸へ送り、
嫡男の雄之助が妻子を得て家督を継ぐどころを見届けるまでは、
不平不満を腹におさめ、良妻賢母を演じてきた。

うめは念願の一人暮らしを始める決意をする。
うめの弟市助が瓢箪新道に空き家を見つけ、
その仕舞屋に移る。
庭に大きな梅の木があり、隣人の助けを得て、
梅干しづくりを始める。
一人暮らしのうめのまわりで、季節の移ろいと共に
様々な出来事が起こる。
盂蘭盆があり、祝言があり、弔いがあり、
親子、夫婦、隣人、喧嘩も、許されざる恋も、病も。

伏見屋の主でうめの兄、佐平の一人息子、鉄平が
五つ年上の水茶屋の女、おひでと生さぬ仲となり、
二人の間には男の子まで。
甥の鉄平のために、うめが一肌脱いで、兄夫婦を説得し、
めでたく伏見屋に落ち着く。
日常のありふれた出来事が流れてゆく。

うめは病に倒れるものの、回復する。
未完のまま、物語はここで幕を閉じる。

宇江佐さんの生前、親密に付き合ってこられた、
同じ時代小説を書かれている諸田玲子さんが、
解説としてあとがきを書かれている。
宇江左さんの遺言がちりばめられた貴重な作品と
諸田さんは絶賛されている。



by toshi-watanabe | 2016-04-12 15:22 | 読書ノート | Comments(0)