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宇江佐 真理著「糸車」を読み終える

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知人のお薦めもあり、宇江佐真理さんの著書を初めて手にする。
宇江佐さんの作品は、度々直木賞の候補になりながら受賞叶わず、
癌に侵され、約20年間の作家生活に別れを告げ、
惜しまれつつ、昨年11月に他界された。 享年66歳。
追悼版として出されている一冊が、集英社文庫の「糸車」である。
読むうちに物語に引き込まれて行く。

蝦夷地松前藩で家老を務めていた市次郎が
参勤交代の藩主のお供をして江戸へ上って2年後、
まだ10代前半の嫡子、勇馬を江戸へ呼び寄せた。
勇馬が江戸の藩邸に到着して安心したのも束の間、
藩邸内で不穏な動きがあり、市次郎は藩内の不平分子の
手によって命を落とす羽目となった。
早飛脚の知らせに、妻のお絹は動転、
さらに追い打ちをかけるように、息子の勇馬が行方知れず。

市次郎が亡くなって3年後、
お絹は単身、勇馬を探し求めて江戸にやってくるところから、
この小説は始まる。
深川常盤町の今でいう長屋に当たる、宇右衛門店(うえもんだな)で、
1人暮らしを始めたお絹は、生活の糧にと、
店から小間物を仕入れ、小間物の行商を始める。
馴染みのお得意先も増え、
日々、お得意先を回りながら、勇馬の行方を探し求める。

この小説に登場する人たちはいずれも、
多少お節介なところもあるものの、思いやりがあり、親切である。
下町の人情味に溢れている。

お絹は、やがて息子の勇馬と巡り合えるのだが、
そのあたり、興味のある方は本書を読んでいただきたい。
そして、作品名の「糸車」も最後の場面に出てくる。
素晴らしい作品で、お薦めの一冊である。



Commented by semineo at 2016-02-10 23:48
こんばんは
ほんとうに読書家ですね~
いつもあらすじを読ませて頂くと、読みたくなる本ばかりです。
葉室燐さんや内田康夫さんの本を数冊を楽しみました。
今は我家の本棚にあった「人間 吉川英治」を読んでいます。
・・・私の読書は睡眠薬代わりなのであまり進みませんが・・・
糸車も読んでみたいと思います。
Commented by toshi-watanabe at 2016-02-11 08:39
semineoさん、
早速コメントをいただき有難うございます。
偏ったジャンルの小説が多いですが、ついつい読んでしまいます。
本ばかりたまってどうしようもないのですが。
漱石の本も読み返してみようかなと思ったり。
「糸車」ぜひ読んでみてください。

by toshi-watanabe | 2016-02-09 10:12 | 読書ノート | Comments(2)