内田 康夫著「戸隠伝説殺人事件」を読み終える

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内田康夫さんの著書「戸隠伝説殺人事件」を読み終える。
この作品は1983年7月、角川ノベルスとして刊行され、
1985年9月角川文庫、1992年8月徳間文庫に収録された。
その後、1996年7月に角川春樹事務所から、
単行本が新たに刊行されている。
そして昨年12月、講談社文庫として新装出版された。

著者の内田康夫さんは、1945年、終戦の年の4月13日夜、
東京のご自宅が空襲で被災、家財道具一切含めて丸焼きに。
ご家族とともに信州へ疎開される。
疎開先として1年半ほど住んでいたのが、戸隠村宝光社というところ。
この作品の舞台として登場する。

この作品は、内田さんが作家生活に入って間もないころに
書かれたもので、内田さんにとって忘れられない一冊だと、
ご本人が言われている。
お馴染み名探偵の浅見光彦はまだ登場しない。
“信濃のコロンボ”と称される竹村岩男警部が活躍する。
どの作品でも、最初にプロローグが初めにあり、
これから起こる事件を示唆する場面が書かれているが、
この作品では、可成りのページ数を割いている。
終戦の直前、戸隠村宝光社で起きた痛ましい事件が書かれてる。
大火があったのは事実らしいが、話はもちろんフィクション。

戸隠神社は一度訪れたことがある。
ごつごつした岩山が続き、奥社までの長い参道を思い出す。

さて戦後39年経って、戸隠で殺人事件が起きる。
この物語の始まりである。
信州戸隠には、紅葉伝説が古くから伝えられている。
平惟茂が鬼女の紅葉を討伐する物語で、
これは能の「紅葉狩」としても知られている。
因みに水芭蕉などでも知られる鬼無里(きなさ)では
毎年「鬼女紅葉まつり」が開催されている。

この紅葉伝説ゆかりの土地で殺人事件が次から次に起こり、
竹村警部が事件の解決に向かって奔走する。
39年前の事件が絡みながら、物語は展開する。
推理を楽しみながら、興味深く読める一冊である。

因みに、名探偵浅見光彦シリーズはすでに終了しているが、
「浅見光彦記念館」が本年4月に、軽井沢にオープンする予定。
いずれ名探偵再登場するのだろうか。




by toshi-watanabe | 2016-02-06 09:33 | 読書ノート | Comments(0)