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植松 三十里著「繭と絆」を読み終える

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植松三十里(うえまつみどり)の最新書下ろし著書
「繭(まゆ)と絆(きずな)」を読み終える。
植松さんの作品を読むのは初めて。
副題として「富岡製糸場ものがたり」とある通り、
昨年、世界遺産に登録されたばかりの富岡製糸場の
創業時代の話である。

官軍の手を逃れて、武蔵国榛沢郡下手計村(現在は深谷市下手計)で
居を構えた尾高淳忠(じゅんちゅう)は「尾高塾」を開いて
近隣の子弟を集めて教えていた。
明治3年、日本初の官営製糸場を富岡に開くことになり、
尾高淳忠が初代場長として任命される。

フランスから指導に当たる技術者を招聘し、
最新式の機械設備を整えるものの、
働き手となる工女がなかなか集まらず、
実際の操業開始がままならない。
淳忠は自身の長女、勇(ゆう)を伴って、
明治5年富岡に向かう。
時に勇はまだ14歳、許婚の約束を胸に
富岡製糸場に入所し、西洋式製糸技術の習得に励む。

「尾高塾」で淳忠の指導を受けていた一人が
隣村の渋沢栄一、淳忠とはいとこの間柄にあり、
のちに淳忠の妹と結婚し、義兄弟となる。
淳忠が富岡製糸場の場長となったのは、
渋沢栄一の強い要請によるもの。

5年間にわたる、父と娘の悪戦苦闘が描かれる。
繭から糸を手繰り寄せ、次の繭の糸とをきれいに繋げるのは、
非常に難しい作業なのだが、これはまさに絆、
人間同士の絆も同じで大事なことと、勇はだんだん悟り、
人間としても成長する。

そして5年後、淳忠は場長を辞職し、新たな職に就く。
娘の勇はめでたく婚約者と結婚、勤務地の東京へ向かう。
ここで物語は終わっている。

今年、富岡製糸場を訪れたばかりであり、
見学した建物や設備機械を思い出しながら、
大変興味深く、この著書を読み終える。
目まぐるしく世の中が変化した明治初期、
当時の人々がどう考えどう動いたかも知り得て、
すぐれた作品だと思う。



Commented by banban0501 at 2015-09-21 00:28
見学された工場を思い出しながら
読まれた上に 読後感も良かったというのは
いいですよね

物語に知った場所が描かれていると嬉しいですよね

歴史秘話もの 大好きです
Commented by toshi-watanabe at 2015-09-21 08:37
banbanさん、
コメントいただき有難うございます。
物語に登場する場所を知りながら、その物語を読むというのも
場面を思い描くことができ、なかなか楽しいものです。
明治初期の秘話、大変興味深く読み終えました。
歴史秘話、私も好きです。
by toshi-watanabe | 2015-09-20 09:16 | 読書ノート | Comments(2)