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平岩 弓枝著「ベトナムの桜」を読み終える

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久し振りに平岩弓枝の著書を読む。
最近ハードカバーで出版されたばかりの「ベトナムの桜」である。

徳川幕府により「鎖国令」が布かれたばかりの江戸時代初期の話。
瀬戸内海に浮かぶ小島、高取島は花の名所として知られていた。
島の南側に広がる村落を囲むように桜樹林があり、
花の色は濃く、満開になると薄紅色の霞がたなびくような景色、
海上を通る舟人の目を楽しませた。

高取島には名家が二軒。
その一軒が高取家で、京の都から赴任する国司に代わって
政務を執り行う「目代(もくだい)」の家柄で、
実質的には島長(しまおさ)として、代々島を統治してきた。
ところが八代目の当主高取武右衛門が若くして病死。
跡目を継ぐのが長男、大介。
彼には5歳下の弟、次介がおり、仲の良い兄弟。
跡目を継ぐには、まだ若く独身の大介、
しかも先代の残した借財もあり、豪商の茶屋本家に頼み込み、
茶屋船(御朱印船)の水夫として、南の国へ出かける決意をするが、
腕白の弟、次介が船に乗り込む。

南シナ海の荒波にもまれながら、到着したのが大越の国
現在のベトナムである。
河口の港町ダナンから川を上り、ホイアンに落ち着く。
すでに明(清)との交易地として日本人も住み着き、
日本人町も形成されていた。
川を渡るために、日本人が橋を建設した「日本橋」も。
次介は現地の生活に次第に慣れて行く。

話がそれるが、過日テレビを見ていたら、大和田兄弟が
ベトナムを南から北へ列車で旅する番組が放映されていた。
現在、世界文化遺産に登録されているホイアンにも立ち寄る。
通称「日本橋」が画面に現れる。
もっとも現在の橋は全く和風ではなく中国風の橋。
日本人のつくった橋ではなく、のちに新たに建設された
橋と思われる。

「鎖国令」がますます厳しくなり、
海外に住む日本人が帰国するのが困難になりつつあった。
高取大介は、弟の次介を連れ戻すためにベトナムに出かける。
色々な困難を乗り越えて、ホイアンで兄弟は再会を果たし喜び合う。
愈々帰国の手筈が整ったところで、
次介は現地に残らざるを得ない事態が発生し、
大介のみが帰国の途に。

運命に翻弄される兄弟の絆を、海洋を舞台に
繰り広げられる人間ドラマである。



by toshi-watanabe | 2015-08-08 09:00 | 読書ノート | Comments(0)