内田 康夫著「金沢殺人事件」を読む

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内田康夫の「金沢殺人事件」を読み終える。
北陸新幹線が北陸の古都、金沢まで開通、
金沢が注目の観光地となっている。
金沢の案内書という意味合いもあるのだろうか、
装いも新たに、祥伝社文庫として、出版されたばかりである。
おなじみ素人名探偵、浅見光彦シリーズの一冊で、
平成元年に発表された作品である。

事件の発端は、東京北区、京浜東北線の上中里駅近く、
平塚神社の裏山で起こった中年男性の殺害事件。
偶々死産した子猫を捨てに来ていた若い女性が
奇妙な男性の声を耳にし、死に瀕した男性のそばへ。
最後の力を振り絞るように、男性は何かを伝える様に、
「オ・ン・ナ・ニ。。。。。。ウ・シ・ク。。。。。。。」、
そして息絶える。

若い女性はある事情があって、身分を名乗らずに、
公衆電話を使って警察に連絡する。
現場に到着した警察官は死体を発見し、
被害者が千葉県松戸市に住む山野稔、37歳と判明。
平塚神社のすぐ近くに住む浅見光彦が平塚亭に
団子を買いに来たところで、この事件に遭遇。

この段階では、警察は第一発見者の女性を見出すことが出来ず。
平塚神社殺害事件の数日後、金沢兼六園の近く、
通称「美術の小径」で女学生が殺害される。
市内に住む公務員、北原勇作さんの長女で、
東京の音楽大学三年、千賀さんと判明。
光彦はこの事件に関心を持ち、「旅と歴史」の取材も兼ねて、
加賀、能登方面に出かける。

浅野光彦シリーズでは、登場する若い女性は
主人公の光彦と親しくなり物語が進行する、
というのが通常の段取りだが、今回は別の方向に行く。
地元警察の協力を得ながら、光彦は金沢で殺害された女性が
東京の殺害現場の第一発見者であることを突き止める。
こうして光彦の推測と行動力により、
絡み合った糸が次第に解けて、事件解決の糸口を見つける。
花火造りの話や朱鷺の話が登場するが、
特に「牛首紬」の話は面白い。
紬と言えば、結城紬、大島紬がよく知られているが、
牛首紬は初めて知る。
登場する土地も金沢ばかりでなく、白山市白峰、鶴来、羽咋、七尾など、
訪れてみたい土地も出てくる。

殺害された山野が最後に口にした「ウ・シ・ク」は
結局、「牛首紬」の「牛首」。
意外な結末を迎えることになる。
犯人は誰なのかは読んでのお楽しみである。

因みに光彦が住んでいる平塚神社に近い西ヶ原の情景は、
別の作品「北の街物語」に詳しく書かれている。
私自身も多少は知っている町である。


Commented by semineo at 2015-06-19 22:34
watanabeさん、旅行ではお世話になりました。
楽しさを引きづりながら、毎日時差ボケ状態です。
金沢は,以前,娘家族の転勤地でしたので、
金沢殺人事件は興味津々です。
本を沢山読まれるwatanabeさんの、感想文に感化させられて、
葉室燐さんの作品を読むようになりました。

Commented by toshi-watanabe at 2015-06-20 08:57
semineoさん、
此方こそいろいろとお世話になりました。
帰宅した翌日は調子よかったのですが、その後夕方になると睡魔が襲ったり、暫く時差ぼけの影響がったようです。
写真をどう整理しようか全く手が付きません。
この作品は新作ではありませんが、面白いです。金沢に詳しいsemineoさんが読まれたら、斯の坂道は通ったことがあるとか、思い出されるかもしれません。
葉室麟の作品にはすっかりはまっています。
by toshi-watanabe | 2015-06-19 14:39 | 読書ノート | Comments(2)