山本 兼一著「おれは清麿」を読み終える

d0037233_13360344.jpg


山本兼一の「おれは清麿」を読み終える。
山本作品の感動の一冊である。
月刊「小説NON」に「破邪の剣」と題して平成22年3月号から
平成23年9月号まで連載され、平成24年3月に単行本として刊行、
そしてこの4月、祥伝社文庫として出版される。
文庫本の帯には「天才刀工、波乱の生涯」と記載されている。
巻末には葉室麟さんの解説が付記されており、
「清麿は山本さん自身であり、鍛刀は人生そのもの」と書かれている。

江戸時代末期に活躍した名刀工の物語。
刀鍛冶の名前は、山浦環(やまうらたまき)、のちに源清麿(みなもときよまろ)。
文化10年(1813)、信州小諸藩、赤岩の郷士、山浦昌友の次男として誕生。
実兄の真雄は信州上田藩のお抱え鍛冶であった河村寿隆に鍛刀の基礎を学び、
優れた刀鍛冶となる。
清磨は、この兄に鍛刀のイロハを学び、才能が花開くことになる。
若くして近郷大石村の郷士、長岡家に婿入りし、一男を授かったものの、
普段の生活に飽き足らず、鍛刀への情熱も絶え難く、
妻子を残して江戸へ旅立つ。

時に弱冠20歳、鋭敏な感性を持つ、若き刀鍛冶に才能を見出したのが、
幕臣、窪田清音(くぼたすがね)。
清音は清磨が鍛刀に打ち込める作業場の環境を整え、
親身になって資金の援助をする。
清音の計らいで、古名刀に対峙する機会を与えられ、
また武器講で刀の注文を得、資金が集められ、
清磨は鍛刀の鍛錬を重ね、自らが理想とする刀の姿を追い求める。
刀の初銘は正行、のちに源清磨となるが、
この「清」は窪田清音の「清」をとったものと言われている。

清磨は2年程、萩藩にて鍛刀に打ち込むが、
あとは甲斐甲斐しく面倒を見てくれる女性とともに江戸で過ごす。
故郷の妻子の元にはついに戻らず。
嘉永7年(1815)、42歳の若さで江戸四谷の自宅で自らの命を絶つ。
絶頂期でもあり、その自害は謎とされているが、
本書では、体の大きかった清磨は大の酒好きで、
酒の飲みすぎが原因で肝臓がんになり、
最後は血を吐いて意識がなくなるところで、物語を終えている。

山本兼一は刀工には早くから関心を抱き、
平成19年に「いっしん虎徹」、平成21年に「狂い咲き正宗」を書いている。
刀工の小説を書くにあたっては、数多の資料を調べたり、
刀の専門家に話を聞いたりしている。
現代の名刀匠と称される河内國平さんからは、鍛刀を実地で基礎を学んでいる。
その間の事情を山本さんは、「仕事は心を叩け、刀匠・河内國平鍛錬の言葉」
という著書を書かれている。

源清磨については、吉川英治の「山浦清磨」と、
主人公ではないものの重要人物とし清磨が登場する
隆慶一郎の「鬼麿斬人剣」がすでにある。
山本兼一さんがこれらの著書を読んで、
「違う、これは清磨ではない」と思われたのではと、
葉室さんは推察している。

一昨年の平成25年、「生誕200年記念 清磨展」が
佐野美術館にて開催され、清磨の数々の銘刀が出展された。
この清磨展の準備も兼ねて、山本さんは山口県長門市の
村田清風記念館に出かけて、膨大な資料の調査に当たっている。



Commented by banban0501 at 2015-04-26 13:43
今 若い女性に刀ブームがあるのを
ご存じですか?

娘も ちょいはまっています

この本 興味深いですので 探してみましょう~

先日紹介の「春告げ坂」 よみました
とても よかったです
紹介 ありがとう~
Commented by toshi-watanabe at 2015-04-26 14:46
banbanさん、
早速のコメント、有難うございます。
山ガールとか仏像ガール、耳にしていたのですが、刀に関心のある若い女性の皆さんおられるのですか。
初めて知りました。
この著書も大変面白く、お薦めです。
Commented by 高兄 at 2015-04-27 21:05 x
toshiさん、こんにちは

コメントで、教えて頂いたので

図書館で借り、本日「おれは清麿」読み終えました

100ページぐらいから、グッと引き込まれ

最後まで、一気に読めました^^

最後の、死に向かい描写は

作者の「花鳥の夢」のラストを、想い起しました

ご紹介、ありがとうございました^^
Commented by toshi-watanabe at 2015-04-30 09:30
高兄さん、
さっそく読んでいただいたのですね。
最後まで一気に読まれたとのこと、
私も同様でした。
山本兼一さんの筆力だと思います。
コメントいただき有難うございました。
by toshi-watanabe | 2015-04-26 13:37 | 読書ノート | Comments(4)