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内田 康夫著「天城峠殺人事件」を読み終える

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内田康夫さんの「天城峠殺人事件」を読む。
ご存じ素人探偵、浅見光彦の日本列島縦断シリーズの一冊。
伊豆半島の天城峠が懐かしく、この書を手にする。
この作品は、浅見光彦シリーズの第7作で、
光文社文庫創刊1周年記念のために書き下ろしたと、
自作解説で書かれている。
初版が出たのは1985年9月のことで、
2001年5月にカッパ・ノベルスとして刊行されたのを機に
書かれたのが自作解説で、今回出された新装版光文社文庫にも
後書きとして載せられている。

事件の発端は、旧天城峠の崖下で老人男性の死体が発見されたこと。
光彦が偶々知り合った女性の父親がこの老人で、
すでに会社を定年退職、何故か「下司」と書かれた千社札を携え、
年に一度社寺巡りをしていた。
この千社札がキーワードとして、この物語の重要なポイントとなる。

事件に巻き込まれた光彦が捜査を開始した直後、
最近インタビューしたばかりのアイドル女性が
東京目黒のマンションでマネージャーと心中事件が起きる。
彼女がロケに出かけていた岩手県大船渡市に謎を求めて
大船渡へ向かった光彦は、土地の社寺を訪れた際、
亡くなられた老人が貼ったと思われる千社札を発見する。

光彦の推理と行動により、事件の解決に向かうのだが、
思いもよらぬ結末が待っている。
興味のある方は本書を読んでいただきたい。

光彦が老人の娘さんと初めて話を交わすのは伊豆の修善寺。
光彦は取材のために、一方娘さんは亡き父親の足跡をたどって
三島から修善寺に。
ところで、この作品が書かれた時には、
静岡県田方郡修善寺町だったが、現在は伊豆市となっている。
田方郡のほとんどの町村は伊豆市に組み込まれ、
田方郡として残っているのは函南町のみである。

大船渡は4年前の東日本大震災の折、
巨大津波により、大きな被害を蒙っているのは、
ご存じのとおりである。
復興が進んでいるとはいえ、この著書が書かれたときとでは、
すっかり景色が変わっているのでは。

遠く離れた二つの土地を結び付けた物語、
面白い着想だと思う。


by toshi-watanabe | 2015-02-13 14:02 | 読書ノート | Comments(0)