折々の記

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山本 一力著「べんけい飛脚」を読み終える

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今年最後の一冊は、山本一力さんの著書「べんけい飛脚」。
時は寛政の頃、加賀前田家の江戸上屋敷の隣で店を構えているのが、
浅田屋で、主は七代目浅田屋伊兵衛、加賀藩の飛脚を生業としている。
外様ながら百万石の禄高を誇る加賀藩上屋敷は、敷地が十万坪を超え、
浅田屋玄関前の加賀様通りは、上屋敷正門へとつながる。

或る時、享保便覧五巻を手にした伊兵衛は、
享保2年に行われた加賀藩主の帰国に伴う大名行列に関心を持つ。
当時の浅田屋がいかに苦労したかも含め、読み物の作成を思いつく。
さっぱり売れない、戯作者の小林雪之丞に白羽の矢が立つ。
雪之丞は便覧五冊に目を通し、大名行列が最初の宿所とした
板橋の宿まで出かけ本陣を見学し現地を確認、準備を進める。
伊兵衛は物語の筋立て運びは一任するが、
御公儀あっての前田家、そして前田家安泰なればこその
三度飛脚を拝命している浅田屋であることからは、
半歩たりとも踏み外さぬよう、雪之丞に強く注意する。
加賀藩が抱く公儀への忠誠心を極上の読み物に仕立てよと
雪之丞は依頼され、難題に立ち向かい筆を執る。

こうして出来上がった「綱紀道中記」へ。
前田綱紀と時の八代将軍、吉宗とは昵懇の間柄なのだが、
老中の水野忠之とは色々と確執があり、問題を起こしている。
前田家五代目藩主、前田綱紀公の帰国に際しての
大名行列は4千名近くという大人数だが、
吉宗が黙認しているものの、老中が認可したものではない。
一方受け入れ先の宿所は準備で大わらわ。

ところが、予想していない事態が途中で起こる。
鉄砲隊100名が行列に加わっているが、
これはご法度であり、当然通行許可書が出ていない。
是では木曽福島の関所を通ることが出来ない。
あわてて関係者が協議を重ね、浅田屋伊兵衛が知恵を絞る。
そして浅田屋の三度飛脚の活躍場面となる。
「べんけい飛脚」のべんけいは何を意味するのかも解き明かされる。

できあがった「綱紀道中記」を読んで、伊兵衛はほっとする。
この書著の大半は「綱紀道中記」である。
きちんと時代考証もされた、素晴らしい作品だと思う。


by toshi-watanabe | 2014-12-31 10:00 | 読書ノート | Comments(0)