安部 龍太郎著「冬を待つ城」を読み終える

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安倍龍太郎の最新作「冬を待つ城」を読み終える。
2013年4月号から2014年6月号まで
「小説新潮」に連載された小説が
今回ハードカバーとなって出版される。

秀吉の小田原攻め(小田原征伐)の翌年、
天正19年(1591)奥州の地で起こった
「九戸政実の乱」がこの小説のテーマである。
奥州北端の地で勢力を拡大している南部仕置きのために、
秀吉は大軍を奥州に送り込むことに。
ところが南部氏一族の有力者、九戸政実が豊臣政権に反旗を翻す。
すでに高橋克彦がこの事件をテーマに
「天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実」を書いている。

この奥州征伐、実は石田三成の進言によるものとされ、
秀吉の命により大量の軍隊を朝鮮半島へ派遣するにあたり、
三成は厳寒の敵地に攻め込むには、
寒さに慣れた足軽や人足を徴用しなければ軍㔟は維持できないと考え、
秀吉に進言し、十五万の軍㔟を奥州に侵攻させて
人を駆り集めようとした。
また冬場の合戦の課題や問題点を探るため、
出陣を長期化させて全軍に奥州の冬を経験させるつもりだった。

先陣を切って蒲生氏郷率いる六万の軍勢が九戸政実を主とする
およそ三千ばかりの城兵が陣取る九戸城を取り囲む。
政実は罠を仕掛けて、厳寒の冬を待つ。
冬を待つ城である。
結局氏郷は和議を結び、三成が心血を注いで
築き上げた計略は水の泡と化してしまう。

「冬を待つ城」はここへ至る物語である。
政実は九戸家の長男で、次男の九戸実親、三男の中野康実、
そして四男の久慈政則と四人兄弟だが、
この小説の主人公は政実ではなく、末っ子の政則である。
物語も久慈政則を中心に進展する。
読み始めてみると登場人物が数多く、混乱してしまいそうなので、
登場人物を拾い上げ、系図を作成する。
是で混乱を防ぐことが出来、読み進める。

史実に基づいた長編小説だが、
筆者の筆力で、ぐいぐい物語に引き込まれてしまう。
骨太の素晴らしい作品である。
by toshi-watanabe | 2014-11-19 09:40 | 読書ノート | Comments(0)