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内田 康夫著{白鳥殺人事件」を読む

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光文社文庫で長く愛読されてきた作品が、
読みやすい文字に組み直し、新たなカバーデザインで、
「光文社文庫プレミアム」として最近刊行されている。
その一冊として出版されたのが、
内田康夫さんの著書「白鳥殺人事件」である。
文字も若干大きめか確かに読みやすくなっている。
内田さんの作品として刊行順では18番目、
好評の「浅見光彦」シリーズとしては第6作にあたる。

著者も書かれているが、モチーフは、当時のニュース
「グリコ・森永事件」、テレビや新聞の報道を見ながら、
構想を練られた。
事件進行中に同時進行の形で執筆したことになる。

菓業タイムスという菓子業界紙の芹沢社長からの依頼で、
浅見光彦は「全国ふるさと自慢菓子自慢」の執筆のため、
社長とともに、東方方面へ出かける。
二人は4泊5日の取材の旅へ、途中水戸で
社長は一人娘の玲子を浅見に紹介。
そして4日目の晩、新潟の新津のホテルに宿泊。
近くの瓢湖にも出かけ、白鳥を見物する。
ところが、その晩芹沢社長がホテルの部屋で
何者かに殺害される。
死に際に渾身の力を込めて、「白鳥の」と
床の上に赤い血で書き終え、息を引き取る。
この言葉が「ダイイング・メッセージ」として
物語の進展に重要なキーワードとなる。

「白鳥」が何を意味するかは読んでのお楽しみ。
因みに「白鳥町(しろとりまち)」という町が
岐阜県にあり、この物語でも登場する。
霊峰白山への岐阜県側登山口だそうである。


ご存知の方も多いと思うが、「グリコ・森永事件」は
当時世間を大いに騒がせた事件だ。
1984年3月、江崎グリコの社長が誘拐され、
身代金を要求されたのが事件の発端。
阪神を舞台に、食品会社を標的にした一連の企業脅迫が
その後続いた。
「かい人21面相」と犯人が名乗ったため、
「かい人21面相事件」とも呼ばれた。
数回にわたり、小売店に青酸入りの菓子を置き、
日本国中を不安に陥れた。

「白鳥殺人事件」の初版本が出たのが1985年6月。
その2ヵ月後の1985年8月7日の事、
標的にされた一社、ハウス食品事件で、不良車両を
取り逃がした滋賀県警本部長が不始末の責任を取るように、
自身の定年退職の日に、公社の庭で投身自殺。
その5日後の8月12日、犯人から香典代わりだと
「くいもんの会社いびるのもおやめや」と終息宣言が送り付けられ、
その後は何も起こらず、終息。
結局、この大事件、未解決のまま時効となった。

因みに8月12日には、日航ジャンボ機の御巣鷹峰墜落事故が発生。
ハウス食品工業の社長が、同社の創業者で前社長である父親の
墓前に向かうため、偶々日本航空123便に搭乗していた。
墜落事故に巻き込まれ、命を落としている。
by toshi-watanabe | 2014-09-22 13:52 | 読書ノート | Comments(0)