「ボストン美術館・華麗なるジャポニスム展」を見学

9月2日、世田谷美術館に出かける。
用賀駅で下車し、何度か歩きなれている
用賀プロムナード、通称いらか道を通って、
環八通りに出、砧公園を抜けて行く。
このプロムナードの路面には、
百人一首が刻まれている。
秋晴れとは言え、木陰は涼しいのだが、
日差しが強く、日当たりを歩くと汗があふれ出てくる。

因みに用賀駅前からは臨時の直行バスが出ている。
片道100円である。

6月28日に始まった「ボストン美術館・華麗なるジャポニスム展」も
今月15日で終了する。
そのあとは京都、名古屋と巡回展示の予定。

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「印象派を魅了した日本の美」とサブタイトルがついており、
浮世絵や工芸品など、日本の美術工芸が西洋の画家たちに
大きな影響を与えた、その軌跡をテーマにしている。

ボストン美術館の数多ある所蔵品の中から
150点を厳選し、今回出展している。
「日本趣味」、「女性」、「シティ・ライフ」、「自然」、「風景」と
コーナーを設け、順番に見学できる。
浮世絵と西洋画家の描いた作品を並べて展示し、
比較しやすいように工夫されているのは有難い。

歌川広重の「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」
視点が少し高い位置に置かれているばかりか、
僅かに傾く特殊な構造となっている。
殆ど垂直に降り注ぐ直線的な雨。

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フィンセント・ファン・ゴッホの「雨中の橋」。
四周には様々な浮世絵から切り取った漢字を書き加えている。

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同じく歌川広重の「名所江戸百景・亀戸梅屋鋪」

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フィンセント・ファン・ゴッホの「花咲く梅の木」。

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ポール・ルグランがデザインし、パリのブシュロン社が
1876年に製作した「インクスタンド」。
浮世絵、漆工芸、鍔、型紙などから引用した模様や図像を
高度に様式化、七宝で表現している。
狛犬、扇子、松の枝、鳥などに加えて日本風の文様、
富士山を望む風景と釣り人も描かれている。

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今回の展示会の目玉ともいえる作品、
クローネ・モネの「ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)」。
クローネ・モネの夫人がモデルで、
等身大の大きさで描かれている大作である。
作品は痛みが激しかったため、一年にわたり修復作業を行い、
今回修復後初の展示。

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喜多川歌麿の「母子図 たらい遊」。

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メアリー・スティーヴンソン・カサットの「湯あみ」。
西洋美術では描かれてこなかったジャンル。
母親と子供の絆を親密に描写している。

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歌川国貞と歌川広重による
「当盛十歌撰 夏菊(二代目沢村訥升、初代沢村由次郎)」。

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フィンセント・ファン・ゴッホの「子守唄、ゆりかごを揺らす
オーギュスティーヌ・ルーラン夫人」
パターン化された背景装飾、鮮烈な色彩、
線の動きが織りなすダイナミズム。

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エミール・ガレの「花瓶」。
ぽつんと花を咲かせる一本の枝は
いかにも日本的な主題。

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歌川広重の「東海道五拾三次之内 岡崎 矢矧の橋」。

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ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラーの
「オールド・バターシー・ブリッジ」。
日本的な構図手法を応用。
要素の少ない構図の中、斜めに角度をつけ、
複数の視点から捉えるようにして、橋を描いている。

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歌川広重の「東海道五拾三次の内 四日市 三重川」。

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クロード・モネの「トルーヴィルの海岸」。
表情豊かに激しく描写された一本の木を
中央に配して、西洋の遠近法や陰影法の使用を避けている。

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平日にもかかわらず、見学者は多く、
人の肩越しにに観なければならない場面もあり、
ゆっくりと見学できなかったのは残念。

ちょうど昼時になり、館内のレストランに足を運ぶも、
既にランチ受付終了とある。

出展された浮世絵の作品に限ると、
数も少なく、少々物足りない感じがする。
今年初めに、東京江戸博物館にて見学した
大浮世絵展」の方が出展作品数が多く、
それぞれ質の高い作品が見られ、
大いに見応えがあった。


御断り(使用した写真は、すべて図録からのコピーである)
Commented by fukuchan at 2014-09-04 12:30 x
UP有難うございます。京都へ見に行けるかも知れません。

 解説も、展のキュレーターでなく主さんなのかしら?分かりやすいですね。

 でもでもでも、どんなに模写したくなっても、似て非なるものですよね?それでよいのだと思いますけど。
Commented by toshi-watanabe at 2014-09-04 15:00
fukuchanさん、
早速のコメント有難うございます。
京都市美術館にて開催されます。
日程は9月30日から11月30日までです。
全く日本の美術工芸を模写するのでなく、題材とか構図をそれぞれ取り入れて作品を作っているということですね。
浮世絵の描き方はずいぶん影響を与えたようです。
Commented by fukuchan at 2014-09-04 15:43 x
>題材とか構図をそれぞれ取り入れて< 勿論、そうでしょうね。私は、印象派が野獣派やキュービズムに移ってゆくその間に夢のように現れた世紀末芸術アールヌーヴォも、実はジャポニズムの影響じゃないかと思ってるんですよ。装飾的、平面的、有機的・・な作品が思い浮かびます。クリムトなども。
Commented by toshi-watanabe at 2014-09-05 10:16
fukuchanさん、
世紀末アールヌーヴォの事はよく知りませんが、ジャポニズムの影響は大きかったのでしょうね。絵画だけでなく、エミール・ガレの作品でも見られますし。
Commented by desire_san at 2014-09-22 13:56
こんにちは
私も世田谷美術館で「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展~印象派を魅了した日本の美」を見てきましたので、興味深く読ませていただきました。
当時の西洋の人々魅了したジャポニスムの熱気の様子、日本美術を模倣したジャポネズリー美術工芸品が流行、印象派などの画家たちが日本美術すらいろいろな技法を学んだ様子などが分かり易く展示されてしていろいろまなぶものがありました。
私はこの美術展見たことに触発されて、ジャポニスムが印象派などの画家たちをとらえた魅力、そこから何を学んで行ったかを自分なりに整理してみました。自分なりの見解も書いてみましたので、異論のある方もおられると思いますが、ご一読いだき、ご感想、ご意見などコメントいただけると感謝致します。
Commented by toshi-watanabe at 2014-09-22 15:33
desireさん、
コメント有難うございます。
この展示会ご覧になられたのですね。
早速desireさんのブログ拝見しました。
かなり詳細に書かれており、勉強させていただきました。
私は専門家ではありませんので、あまり難しい話は苦手です。
自分なりに十分楽しめ、それでよかったのではと思います。
上野で開催中の同じボストン美術館の北斎浮世絵展も見学したいと思っています。
by toshi-watanabe | 2014-09-04 11:26 | 一般 | Comments(6)