折々の記

tnabe.exblog.jp

日々見たこと、 感じたこと、気づいたことをメモする

ブログトップ

安部龍太郎著「葉隠物語」を読み終える

d0037233_14561356.jpg



以前日経新聞に連載された「等伯」以来、
安部龍太郎さんのファンである。
その安部龍太郎さんの著書「葉隠物語」を読み終える。
この作品は3年前に刊行されているが、
今回、日経文芸文庫として発行された。

「武士道と云ふは、死ぬことと見つけたり」で知られるが、
葉隠については詳しくは知らない。
この著書により、葉隠のことが多少は分かるのではと読み始める。

「序章」は、理不尽な理由で浪人を命じられた
佐賀鍋島藩の祐筆、田代陣基(つらもと)は、
切腹を決意するが、先々代藩主の仕えた曲者、
山本常朝の住む庵を訪ねるところから始まる。
武士として世に恥じぬ生き方はと問われた陣基は、
常朝の話を聞くうちに次第に強い衝撃を受け、
目が覚める思いを抱き、常朝に弟子入りする。

第1話は「沖田畷(なわて)」、
葉隠の原文、
「我は殿の一人被官なり、御懇ろにあらうも、
御情なくあらうも、御存じなさるまいも、それには會て構はず、
常住御恩の忝なき事を骨髄に徹し、涙を流して
大切に存じ奉るまでなり。」が掲げられ、
物語が始まる。
天正十二年(1584)、鍋島藩の藩祖となる
鍋島直茂は肥前一帯を治めていた龍造寺孝信の配下で、
築後柳川城を預かる身分だった。
北進を目論む島津軍との沖田畷での合戦の事が書かれている。
この戦で龍造寺孝信は討死、
佐賀三十五万石を立ち上げるための苦闘が始まる。

時代は移り、直茂が隠居し、直茂の世子勝茂の時代に、
竜造寺家の本家が途絶え、
鍋島家げ名実ともに佐賀藩の藩主となる。
更に時代が流れ、勝茂のあとを継ぐのが光茂。
光茂が藩主として江戸へ参勤するにあたり、
小姓見習いの一人として選ばれたのが、
数え年九歳の山本松亀(のちの常朝)である。
この鍋島光茂に五十年あまり曲者として仕えたのが、
この物語の主人公、山本常朝である。

この物語は第二十三話まで続く。
そして終章には「葉隠誕生」として、
「葉隠」の巻頭言(原文)が記されている。
「この始終十一巻は追って火中すべし。
世上の批判、諸士の邪正、推量、風俗等にて、
只自分の後学に覚え居られ候を、噺のままに書き付け
候へば、他見の末にては遺恨悪事にもなるべく候間、
堅く火中仕るべき由、返すがえす御申し候なり。」

老い先短くなった常朝は、
自分の思いや体験談を口述し、
弟子の陣基が筆記して行く。
出だしは、
「武士道というは死ぬことと見付けたり。
生か死かという場に立たされたなら、
迷わず死ぬ方につくと決めておくべきである。
別に難しいことではない。
覚悟を決めて進めばよいだけの話である。」

第一巻は、武道の心得、
第二巻は奉公人の心得、
第三巻は鍋島直茂の頃の逸話集、
第四巻は初代勝茂、
第五巻は二代光茂の頃の覚書、
第九巻までは鍋島家の家臣たちの逸話、
第十巻は世上の噂や諸家の由緒など。
十一巻をすべて完成し、
名前をどうするか色々と考えた末、「葉隠」とする。

全十一巻を藩主宗茂に届ける。
宗茂はこれを二日間で読破し大変喜ばれる。
ところが陣基は写本を一部作成しており、
常朝に話し了解を得る。
この写本が残ったおかげで、
現在でも、この葉隠を読むことができる。
Commented by banban0501 at 2014-05-10 12:28
なんだか難しいそうな本ですね

等伯は私も日経でよみました
利久の時代の混沌とした時代が
よくわかり興味深かったです
Commented by toshi-watanabe at 2014-05-10 15:10
banbanさん、
こんにちは。
この作品、全然難しくありません。
分かりやすく書かれており、葉隠とは何ぞやが理解できます。

長谷川等伯を描いた「等伯」は素晴らしい作品でした。
この等伯がライバルとして絵師としての仕事に命を懸けていた
狩野派の総帥、狩野永徳を主人公に、山本兼一さんが「「花鳥の夢」を書かれていますが、この作品も素晴らしいです。
by toshi-watanabe | 2014-05-09 14:57 | 読書ノート | Comments(2)