折々の記

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葉室麟著「川あかり」を読む

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葉室麟さんの著書をまた読み終える。
今回読んだのは「川あかり」。

主人公は綾瀬藩の武士で六十石とり、
伊東七十郎、まだ18歳乍ら、
父親が早死にし、一家の主である。
七十郎は藩で一番の臆病者と言われながら、
突如命じられたのが、
派閥争いの渦中にある家老の暗殺。

家老が江戸から藩に入る前に討つために、
七十郎は巨勢川の渡し場へ向かう。
ところが長雨で川はしばらく渡れず。
ひょんなことがきっかけで顔見知りになる
浪人に連れられ、町はずれの粗末な
藁葺二階建ての木賃宿に宿泊。

巨勢川は九州浮羽、久留米を流れる川で
筑後川の支流。

この後、天候が回復し、
渡しが再開して、家老が川を渡って来、
愈々刺客として家老と対面。
此処で物語は終わるのだが、
その間に、人との触れ合い、数々の事件に
巻き込まれたりする。

ところで伊東七十郎という名前は
実在の人物名で、仙台藩の伊達騒動に登場する。
伊達藩の騒動を巻き起こした罪人として、
38歳の若さで刑死するが、
死後名誉を回復する。
著者は、史実を重ね合わせる意図があったのかもしれない。

藩の中で最も臆病な武士であると、
自他ともに認める伊東七十郎が、
内紛による藩の大混乱の中で、
あろうことか刺客の役目を引き受けさせられる。
からしき剣を使えず、失敗する確率の高い
ただ状況に流されるだけの生き方が、
何とも切なく悲しい。

題名の「川あかり」には、
川明けを待つという意味あいもあるが、
物語の終盤、川明けの直前に、
老人が語った言葉が紹介されている。

「日が落ちて辺りが暗くなっても、
 川面だけは白く輝いているのを見ると、
 元気になれる。
 なんにもいいことがなくっても、
 ひとの心が残っていると思えるから。」

読んでみると、希望や勇気を与えてくれるような
心持になってくる。
葉室さんのお奨めの著書の一冊である。
Commented by banban0501 at 2014-03-21 16:46
時代小説は 想像力をたくましくして
よむと 楽しいですよね

私は今 iPodミニでアイチューンストアの
無料本をダウンロードして毎晩
寝酒ならぬ寝読書をしています

今読んでいるのは 新・平家物語

本屋に行く暇のない私には便利で
こうして 紹介してくださるのも
参考になり ありがたいです
Commented by toshi-watanabe at 2014-03-22 08:35
banbanさん、
iPodで読書、いかがですか。
目が疲れるのではと思ったりしますが。
葉室麟さんの著書、以前の作品はまだ読んでいないのがたくさんありますので、少しづつ読もうと思っています。 どの作品も素晴らしいです。
by toshi-watanabe | 2014-03-21 09:36 | 読書ノート | Comments(2)