折々の記

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内田康夫著「風のなかの櫻香」を読む

内田康夫さんの「浅見光彦」シリーズの一篇、
「風のなかの櫻香」を一気に読み終える。
この作品は2010年11月に発刊されているが、
最近、徳間書店から文庫版が出たばかり。
大好きな奈良の話なので、迷わず購入し、
夢中になって読んでしまう。

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「櫻香」は「さくらこ」と読み、
今回の事件の中心人物。
事情があって、生まれたばかりで施設の前に捨てられ、
施設で育てられた櫻香(さくらこ)は、
5歳の時、養女として尼寺の尊宮寺に迎えられる。

御前様と呼ばれる日野西光尊の養女として、
お母さんと呼ぶことになる若い尼僧、秋山妙蓮により
大事に育てられた主人公が、もうすぐ中学に進学
しようとする頃に、異変の兆候らしきことが起き、
物語がスタートする。

横道にそれるが、「櫻」といえば、
私自身中学生の時、ある教師が、
「二階の女が気にかかる」と覚えなさいと言われ、
今でも忘れることはない。
確か、その頃だったかちょっと後だったか、
佐藤弘人さんの「はだか随筆」がベストセラーとなり、
この著書にも同じことが出ていたような気がする。

櫻香に妙なことが続いておき、
光彦の母親が御前様と旧知ということで、
相談を受けた母親から光彦に助けてあげるよう指示が出る。
浅見光彦の登場となる。
櫻香の誕生にまつわる秘密が明らかになって行く中、
櫻香が誘拐されたりと事件はとんでもない方向へ。
結局思わぬ結末で事態は解決。

この作品に登場する「尊宮寺」は、作品を読めば
法隆寺と接している「中宮寺」であることは直ぐ分かる。
著者もあとがきで、間違いなく中宮寺であることを
書かれている。
更に登場する人物、日野西光尊は中宮寺御門跡の実名、
また秋山妙蓮さんも実在、御門跡の秘書役をなされている。
この作品を書くに当たっては、
事前に実名を使用することについて御門跡のご了解を得、
作品の中で使われる言葉遣いなどをご教示頂いたと、
あとがきの中で著者が書かれている。
秋山妙蓮さんも実名で、取材協力からゲラチェックまで
お世話になったと感謝の言葉が見られる。

今回の文庫本の出版にあたって
著者は自作解説を付け加えておられる。
尼寺をテーマに書き至った経緯なども書かれている。
著者の内田康夫さんは太平洋戦争当時、
1年近く、静岡県の静浦村(現在沼津市)に学童疎開。
中宮寺の秋山妙蓮さんも偶然、この静浦のご出身とか。
不思議な縁である。
by toshi-watanabe | 2014-02-22 15:09 | 一般 | Comments(0)