世田谷山観音寺

6月7日、強い日差しの中、世田谷山観音寺を訪れる。
東京世田谷区下馬にあり、地元では世田谷観音として
知られる、単立の仏教寺院である。
どの宗派の信徒でも受け入れる。
その点では長野の善光寺に似ている。
田園都市線の三軒茶屋と東横線の祐天寺のちょうど中間、
閑静な住宅地に位置する。

「神奈川の仏像を学ぶ会」(最近は神奈川県内
というより南関東から山梨、伊豆方面までをカバー)の
メンバー20名ほどで現地参拝見学会。
講師のEさんもご一緒。

境内入口では、ご住職の太田兼照師が出迎えられる。
観音寺の3代目住職を務められ、
境内も庭園もきれいに手が行き届き、
立派に寺院を維持されているのがうかがえる。
丁寧に説明をされ、院内を案内していただく。

正面入口の横に立つ寺院の門標。
吉田茂が揮毫したもの。

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すぐ左手に「さざれ石」が無造作に置かれている。
そして一対の狛犬が出迎えてくれる。
鉄製南蛮渡来の狛犬像は、清国四代康煕皇帝に
辛未年(1691年)に進献されたものと説明書きがある。

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仁王門には仁王像(金剛力士像)が立っている。
この像は平安時代後期(12世紀)の造作とされ、
重要文化財の指定を受けてもよい金剛力士像。
元々は新潟新津の寺に祀られていたようだ。

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仁王門を潜ると正面に本堂(観音堂)があり、
その裏側には階段を下りると裏門に出る。
境内を取り囲むように新緑の木々があり、
落ち着いた雰囲気を与える。
三鈷の松という珍しい松の木が1本、
そして桜の古木も多く見受けられる。

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観音堂に入り、ご本尊の聖観世音菩薩像に参拝。
脇侍には日光菩薩、月光菩薩、布袋尊、
マリア観音が安置されている。
本尊はかって、伊勢長島の名刹興昭寺(すでに廃寺)の秘仏
であったが、浅草寺にて開眼法要を営み、
現在は観音寺の本尊として祀られている。
天正年間(16世紀)に造立されたとある。
刀印を結んだ姿である。
日光・月光菩薩像は南北朝時代(14世紀)の作とされ、
本来は薬師如来像の脇侍である。
マリア観音像は隠れキリシタンが信仰していたもの。

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観音堂を出ると、すぐ右手に特攻観音堂、
世界平和の礎(吉田茂揮毫)、神州不滅特別攻撃隊の碑、
鐘楼などがある。
堂内には特攻平和観音尊像が祀られ、その胎内には
特攻作戦で若い命を犠牲にした2,615人の英霊の名が
奉蔵されている。
この梵鐘は数少ない貴重なもので、
豪徳寺の梵鐘よりも古く、
世田谷で最も古いものと言われている。

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阿弥陀堂に入り参拝。
ご本尊の阿弥陀如来像はまだ新しい。
両側には観世音菩薩、地蔵菩薩の脇侍像。
左甚五郎の作とされる鬼念仏、スポーツの神様とされる
韋駄天神、東方朔も安置されている。
さらに最も注目されるのが8躰の羅漢坐像。
この寺院には9躰祀られているはずだが。
以前訪れた目黒羅漢寺に安置されていた五百羅漢坐像
の一部である。
羅漢寺では撮影禁止だったが、
観音寺では許可いただいた。

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阿弥陀堂の堂宇は京都二条城から移築されたもの。
三層からなる建物は金閣寺を模したと言われる。
阿弥陀堂の向かい側に、六角堂がある。
堂内には、鎌倉時代の大仏師運慶の孫に当たる
康円の手による「不動明王ならびに八大童子像」が安置されている。
元は奈良内山永久寺(すでに廃寺)にあった秘仏で、
国の重要文化財に指定されている。
残念ながら28日にのみ御開帳で、
今回は拝顔はできず。

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境内の一部に旧小田原藩(大久保家)の代官屋敷の一部、
門と母屋が移築されている。
屋根は本来の茅葺が瓦葺に改造されている。
住職のご厚意で、この母屋の内部も見学。

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今度は個人的に六角堂参拝に
訪れようと思う。
帰りは仲間のKさんと三軒茶屋まで歩く。
途中で道を尋ねると、
地元の気さくな感じのおかみさん、
丁度行くところだからと駅の入口まで
町の話などしながら一緒に行ってくれる。
有難いことである。
Commented by banban0501 at 2010-06-09 17:13
さすが~ お代官様の屋敷 門も立派ですね

中も綺麗に保存されて お寺全体を維持するのも大変でしょうね

六角堂の姿が美しいです
今度は 中の仏像をみにいかれるのですね

毎月28日というのは 何か意味がありますか?

Commented by toshi-watanabe at 2010-06-10 09:13
banbanさん、

おはようございます。
寺の境内も、代官屋敷の母屋もきれいに手入れが
行き届いています。
維持管理も大変ではないかと思います。
この寺には霊園墓地がなく、葬儀・法事などは
一切営まないと、ご住職は仰っていました。
生活しなければならないし、
維持費はどうしているのだろうと
仲間からも疑問が出ていました。
檀家に代わるような、支援する人や団体が
居られるのか、
何か収入源があるのかも知れません。

28日はお不動さん(六角堂には不動明王が
祀られている)の縁日のようです。
Commented by amtask at 2010-06-11 04:03 x
息子が幼少の頃、この近くに住んでいました。私の通った高校も下馬なのに、こんなに立派で由緒あるお寺があるのを知りませんでした。まさに「灯台下暗し」です。
このお寺に、マリア観音があるのも興味深いことです。

このブログのきれいな写真と丁寧な説明のお蔭で、行ったような気になりました。有難うございました。でも、いつか実際に行ってみたいと思います。
Commented by toshi-watanabe at 2010-06-11 10:22
amtaskさん、

コメントいただき有難うございます。
この付近にお住まいになったこともあるのですね。
付近は閑静な住宅街です。
手入れの行き届いた、なかなか由緒あるお寺です。

実は今回、豪徳寺を計画していたのですが、
太人数は受け入れないと
寺院から丁重に断られたいきさつがあり、
観音寺訪問となりました。
by toshi-watanabe | 2010-06-09 11:15 | 寺院・仏像 | Comments(4)