秩父 慈光寺を訪れる
2009年 09月 16日
「神奈川の仏像を学ぶ会」では、年に一度バスをチャーターして遠出。
今回は埼玉県ときがわ町、都幾山(慈光山)の東側中腹にある
天台宗の慈光寺を訪れる。
朝7時40分に集合。
勉強会の仲間23名ほどが参加。
小型バスは東名高速、環八、関越道と順調に進み、
出発1時間後、三芳SAで休憩をとる。
嵐山小川ICで高速道路を降り、
一般道路を慈光寺に向かう。
慈光寺は都幾山一乗法華院と号す。
本尊は十一面千手観音だが、現在は観音堂に安置されている。
当寺の創建は古く、天武天皇の時代に開かれた観音霊場とされ、
1300年の歴史を有している。
鎌倉時代には、頼朝から仏像と田畑1,220町歩の寄進を受けたといわれる。
一時は一山75坊を擁する大寺院として隆盛を極めた。
観音堂は坂東三十三観音霊場の第九番札所。
文化財が保存されている。
特に、法華経一品経29巻と開経の無量義経、lこれに阿弥陀経・般若心経
各1巻を加えた写経全33巻は国宝に指定されている。
後鳥羽上皇と九条家ゆかりの人々によって、書写、奉納されたもの。
小型バスは狭い山道をゆっくり登る。
昔はこの山道を徒歩で登り降りしたのだろう。
しばらく行くと、山門跡に来る。
山門らしきものは跡かたもなし。
ただ道路脇に板石塔婆が立ち並び、バスを降りて見学する。
青石塔婆とも呼ばれ板碑は県指定文化財で2mを超す5基の
大型板碑を含み9基が林立している。
ほとんどが14世紀に彫られたもの。
一番高いもので、275cm、幅の広いもので、65cm、厚みでは10cm。
板碑の周りは秋海棠の群生。
ピンクの花が今を盛りと咲いている。
再びバスに乗り、山道をさらに登り、本堂近くの駐車場に到着。
若いご住職が出迎えられ、本堂(坊)に案内され、
丁寧なご説明をお伺いする。
本堂の内陣正面には阿弥陀三尊仏が安置されている。
本堂の前には、県指定天然記念物の多羅葉樹(たらようじゅ)の古木。
葉書のもとと言われる。
本堂近くには、文化財収納展示施設「金蓮蔵」がある。
中には、上記の経の展示のほか、県指定文化財の
木造宝冠阿弥陀如来像、
木造聖僧文殊菩薩像などが安置されている。
阿弥陀如来像は像高56.5cmと小型な像だが、頭上に宝冠を戴き、
弥陀の定印を結んで端然と坐した姿は、写実の利いた厳しい面貌描写や
各部均整のとれた無駄のない偉容表現と相まって、
拝する者の心を静謐な境地に誘うかのよう。
ヒノキ材の寄木造り、玉眼、漆箔からなる。
慶派仏師に寄る鎌倉時代中期の作と思われる。
木造宝冠阿弥陀如来座像と木造聖僧文殊菩薩坐像。
いずれも資料より転載。
観音堂への石段。
観音堂。
観音堂は閉じられたまま。
秘仏とされ、4月に御開帳があり、それ以外はご本尊の千手観音は
残念ながら拝観できず。
十一面千手観音立像、資料から転載させていただく。
ヒノキ材の寄木造り。
彫眼。
像高は265cm。
室町時代前半の造立とみられる。
時の鐘として現在使用されている梵鐘は平成に入り造られたもの。
「寛元の梵鐘」として知られる梵鐘は別の場所に保管されている。
国の重要文化財に指定されている梵鐘は、
鎌倉時代、寛元3年(1245年)に奉納されている。
作は当時の名工、物部重光。
高さ150cm、重さ709kg。
物部重光は鎌倉建長寺の梵鐘の作者として名高い。
慈光寺拝観後、当初予定していた定峰峠越えを諦め、
寄居から長瀞を回り、秩父へ向かう。
予定がだいぶ遅れ、午後2時過ぎ秩父に到着、
「弁天茶屋」にて昼食をとる。
「そば膳」を美味しく頂く。
そのあと、秩父神社に立ち寄り参拝。
現存する社殿は、天正20年(1592年)、徳川家康が寄進されたもので、
江戸時代初期の建築様式をとどめている。
毎年12月3日に行われる例祭は、「秩父夜祭」として名高い。
国の重要無形民俗文化財に指定されている。
慈光山の案内図。
帰途は順調に車も流れており、
予定通り夕方6時半に帰着。
天候に恵まれ、事故もなく、
秋の一日をゆっくり楽しむことができた。
仏像を学ぶ会では遠くまで見学に行くのですね~。
「仏像は歩かないから会いに行こう」・・・という事なのですね。
楽しそうな秋の一日を過ごしましたね♪
至れり尽くせりでした
慈光寺観音堂の建物も趣があって立派ですが
みれなかった 千手観音の写真をみて さらに立派で
驚きました
すごい!
鐘も そうですが 保存をしっかりされているのですね~
若い住職さんの手で 大切にこれからもされていくのでしょうね!
こんにちは。
そうですね、仏像さんは歩いてきてくれません。
こちらから会いに行かないと。
「神奈川の仏像を学ぶ会」なのに、
関東一円の寺を訪ねています。
お陰さまで楽しい一日でした。
かなり山の上にある古寺ですが、
かって全山75もの僧坊があった言うだけに、
その名残をとどめ、趣のある寺院でした。
住職さん、まだお若い方ですが、
懇切丁寧に寺のいわれとか仏像その他の文化遺産
について説明してくれました。
千手観音、残念ながら拝顔できませんでしたが、
これだけ大型の仏像は関東では珍しいです。