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秩父 慈光寺を訪れる

秋晴れに恵まれた今週月曜日、9月14日、秩父路へ。
「神奈川の仏像を学ぶ会」では、年に一度バスをチャーターして遠出。
今回は埼玉県ときがわ町、都幾山(慈光山)の東側中腹にある
天台宗の慈光寺を訪れる。

朝7時40分に集合。
勉強会の仲間23名ほどが参加。
小型バスは東名高速、環八、関越道と順調に進み、
出発1時間後、三芳SAで休憩をとる。
嵐山小川ICで高速道路を降り、
一般道路を慈光寺に向かう。

慈光寺は都幾山一乗法華院と号す。
本尊は十一面千手観音だが、現在は観音堂に安置されている。
当寺の創建は古く、天武天皇の時代に開かれた観音霊場とされ、
1300年の歴史を有している。
鎌倉時代には、頼朝から仏像と田畑1,220町歩の寄進を受けたといわれる。
一時は一山75坊を擁する大寺院として隆盛を極めた。

観音堂は坂東三十三観音霊場の第九番札所。
文化財が保存されている。
特に、法華経一品経29巻と開経の無量義経、lこれに阿弥陀経・般若心経
各1巻を加えた写経全33巻は国宝に指定されている。
後鳥羽上皇と九条家ゆかりの人々によって、書写、奉納されたもの。

小型バスは狭い山道をゆっくり登る。
昔はこの山道を徒歩で登り降りしたのだろう。
しばらく行くと、山門跡に来る。
山門らしきものは跡かたもなし。
ただ道路脇に板石塔婆が立ち並び、バスを降りて見学する。

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青石塔婆とも呼ばれ板碑は県指定文化財で2mを超す5基の
大型板碑を含み9基が林立している。
ほとんどが14世紀に彫られたもの。
一番高いもので、275cm、幅の広いもので、65cm、厚みでは10cm。
板碑の周りは秋海棠の群生。
ピンクの花が今を盛りと咲いている。

再びバスに乗り、山道をさらに登り、本堂近くの駐車場に到着。

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若いご住職が出迎えられ、本堂(坊)に案内され、
丁寧なご説明をお伺いする。

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本堂の内陣正面には阿弥陀三尊仏が安置されている。

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本堂の前には、県指定天然記念物の多羅葉樹(たらようじゅ)の古木。
葉書のもとと言われる。

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本堂近くには、文化財収納展示施設「金蓮蔵」がある。
中には、上記の経の展示のほか、県指定文化財の
木造宝冠阿弥陀如来像、
木造聖僧文殊菩薩像などが安置されている。
阿弥陀如来像は像高56.5cmと小型な像だが、頭上に宝冠を戴き、
弥陀の定印を結んで端然と坐した姿は、写実の利いた厳しい面貌描写や
各部均整のとれた無駄のない偉容表現と相まって、
拝する者の心を静謐な境地に誘うかのよう。
ヒノキ材の寄木造り、玉眼、漆箔からなる。
慶派仏師に寄る鎌倉時代中期の作と思われる。

木造宝冠阿弥陀如来座像と木造聖僧文殊菩薩坐像。
いずれも資料より転載。

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観音堂への石段。

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観音堂。

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観音堂は閉じられたまま。
秘仏とされ、4月に御開帳があり、それ以外はご本尊の千手観音は
残念ながら拝観できず。
十一面千手観音立像、資料から転載させていただく。
ヒノキ材の寄木造り。
彫眼。
像高は265cm。
室町時代前半の造立とみられる。

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時の鐘として現在使用されている梵鐘は平成に入り造られたもの。
「寛元の梵鐘」として知られる梵鐘は別の場所に保管されている。
国の重要文化財に指定されている梵鐘は、
鎌倉時代、寛元3年(1245年)に奉納されている。
作は当時の名工、物部重光。
高さ150cm、重さ709kg。

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物部重光は鎌倉建長寺の梵鐘の作者として名高い。


慈光寺拝観後、当初予定していた定峰峠越えを諦め、
寄居から長瀞を回り、秩父へ向かう。
予定がだいぶ遅れ、午後2時過ぎ秩父に到着、
「弁天茶屋」にて昼食をとる。
「そば膳」を美味しく頂く。

そのあと、秩父神社に立ち寄り参拝。
現存する社殿は、天正20年(1592年)、徳川家康が寄進されたもので、
江戸時代初期の建築様式をとどめている。
毎年12月3日に行われる例祭は、「秩父夜祭」として名高い。
国の重要無形民俗文化財に指定されている。

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慈光山の案内図。

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帰途は順調に車も流れており、
予定通り夕方6時半に帰着。

天候に恵まれ、事故もなく、
秋の一日をゆっくり楽しむことができた。
Commented by semineo at 2009-09-16 23:52
こんばんは
仏像を学ぶ会では遠くまで見学に行くのですね~。
「仏像は歩かないから会いに行こう」・・・という事なのですね。
楽しそうな秋の一日を過ごしましたね♪
Commented by banban0501 at 2009-09-17 08:24
本日の御案内は 最後に地図までついていて
至れり尽くせりでした

慈光寺観音堂の建物も趣があって立派ですが
みれなかった 千手観音の写真をみて さらに立派で
驚きました

すごい!

鐘も そうですが 保存をしっかりされているのですね~

若い住職さんの手で 大切にこれからもされていくのでしょうね!
Commented by toshi-watanabe at 2009-09-17 15:29
semineoさん、

こんにちは。
そうですね、仏像さんは歩いてきてくれません。
こちらから会いに行かないと。
「神奈川の仏像を学ぶ会」なのに、
関東一円の寺を訪ねています。
お陰さまで楽しい一日でした。
Commented by toshi-watanabe at 2009-09-17 15:38
banbanさん、

かなり山の上にある古寺ですが、
かって全山75もの僧坊があった言うだけに、
その名残をとどめ、趣のある寺院でした。
住職さん、まだお若い方ですが、
懇切丁寧に寺のいわれとか仏像その他の文化遺産
について説明してくれました。

千手観音、残念ながら拝顔できませんでしたが、
これだけ大型の仏像は関東では珍しいです。
by toshi-watanabe | 2009-09-16 09:34 | 寺院・仏像 | Comments(4)

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